映画

この暑い夏に見た映画

簡単に記入できてしまうということから、フィルマークスの利便性に甘えてしまい、なかなか映画の感想を書けていないので、たまにはブログにでもアップと思い、面白かった/面白くなかったは別として印象に残っているものを挙げてみる。 『西部の人』アンソニ…

ブリランテ・メンドーサ『ローサは密告された』感想

デジタルビデオカメラの発明によって映像メディアは格段に便利になり、高価なフィルムを使用しなくても済むことでローコスト、現像といった工程をなくすこと*1によって時間を圧縮してしまった。もちろん今でもフィルム派*2は存在するが、フィルムとは違った…

武内宣之『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想

「あの時、あーしていればよかった」と思うことが、これまでの人生で何度かあった。そのたびに、そっちに進んだとして成功したかどうかなどわからないんだと自分に言い聞かせるように考えるのをやめてきたのだけど。岩井俊二の『打ち上げ花火、下から見るか…

夏休み映画 vol.3――山内重保『も〜っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ』(2001)

小学生の夏休みといえば、田舎に住む祖父/祖母の家に遊びに行って毎日グーたら過ごすというのが一般的にも多いのではないだろうか。『も〜っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ』も、どれみの祖父の家にいつものメンバーを連れて帰省した2日間を描いて…

Vimeoでジョルジュ・シュヴィツゲベルの『魔王』(2015)を見た(感想)

昨年、愛知県トリエンナーレ2016にてシュヴィツゲベル『魔王』(2015)がかかっていたのだが、会場が豊橋でもあったことでなかなか足が遠のいていた。そして、いくぞと構えたときにはすでにトリエンナーレは終了していた…。そんな絶望の淵から、Vimeoで購入…

転落するヒーロー――『スパイダーマン:ホームカミング』感想

ジョン・ワッツ『スパイダーマン:ホームカミング』を見た。奪われた車を追って広大な土地を懸命に駆け抜けるケヴィン・ベーコン。その奪われた車を運転するのはまだ幼い子供2人組だ。ジョン・ワッツの前作『コップ・カー』はひたすら追っかけっこ。横へ横へ…

誰かが誰かを照らしていく物語――『魔法少女リリカルなのは Reflection』感想

是か非かわからなくても真っ直ぐの想いというものは感動させられる。惑星エルトリアに住むキリエは、故郷の星と父親を救うため、人工知能*1イリスとともに地球へやってくる。はやての持つ闇の書を奪うことを計画するが、人様に迷惑をかけてはならないと追い…

愛おしい映画って――『彼方からの手紙』『無言日記』『心霊玉手匣』

日本映画専門チャンネルで放送されていた『密使と番人』。三宅唱だからってかなり期待したのだが、肌に合わなかった。ロケハンや撮影技術(照明,カットバック…)、音響(録音)、ショットの精度含めレヴェルの高さを伺えるが、どうも馬が合わない。ジャンル…

米林宏昌『メアリと魔女の花』感想

昨年『君の名は。』(2016)が大ヒットしたのは、男女の出会いがドラマチックに演出された物語に多くの人が惹かれただろうか。それまでの新海誠を考えてみると、職人監督的なきらいがあり、普遍的な恋愛映画という物語面よりも背景美術に定評があり、『君の名…

ちょっと頭おかしいけど抜群にかっこいい――『ズーム・イン暴行団地』(黒沢直輔,1980)感想

黒沢直輔『絶頂姉妹 堕ちる』(1982)がオールタイムベスト級によかったので、次いで見た『ズーム・イン暴行団地』(1980)だったのだけど、これがあまりにも気が狂った映画でびびる。夫が長期外出しているなかで、ピアノの調律使との不倫が始まるが、巷では連続…

富田克也『国道20号線』(2011)感想

曇天模様の空を見上げながら肌にベタっと張りつく湿気に思わずしかめ面をする。「名古屋の夏がやってきた」と、先日からクーラーをつけ始め、人類はなんだかんだすごいのだなと感心していたが、その文明をもってしても景気は一向によくならないし、世界がい…

年代別映画ベストについて

ついこの間、何度目かのハッシュタグ遊びが流行っていて、自分も色々と出したのでそれのまとめです。ツイだと流れてしまうので。ツイの文字数制限上10作品の見映えが良かったので10選にしています。■21世紀ベスト ガーゴイル (クレール・ドニ) 魔法少女ま…

2017年上半期に見た新作映画ベスト10

今年も早いもので気がつけば半年経過してるらしいです。例年のごとく映画を見る日々が続いております。見逃した映画もたくさんあるのですが、上半期は心霊ビデオを入れて63本見ていたようです。下半期はジェームズ・グレイやボネロの新作が待ち遠しいのです…

少し遅れてきたボーイ・ミーツ・ガール――アダム・レオン『浮き草たち』感想

今年はボーイ・ミーツ・ガールが調子がいい。時代や容姿を飛び越えて異形なモノとの出会いを描いた『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』はこれまでのティム・バートンの総決算的な映画で、優しさがあふれた愛おしい映画だった。昨年、東京国際映画祭で上…

物語から遠く離れて――M・ナイト・シャマラン『スプリット』感想

M・ナイト・シャマラン『スプリット』を見た。短め感想。『スプリット』及び彼の過去作品の結末(次の段落から早速してます)にも言及しているので注意してください。どんなに結末だけの人と言われようともシャマランのよさって、彼の作家性の極地である『レ…

『映画秘宝EX 究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』を読んだ

人さまのベストを見るのはとても楽しいことだ。ベストを見る行為はその人の人となりが見えてくる…といったことが言われるが実のところ、人となりが見える/見えないってのは鑑賞者側が勝手に思惑を推測したりする愉しみのひとつ。まあ、真実が見えるかといわ…

ウィルソン・イップ『イップ・マン 継承』感想

17年上期で最も楽しみにしていた映画『イップ・マン 継承』を見に行ってきた。(以下、タイトルを『継承』と略します)物語の始まりはマイク・タイソンが「あの小学校の土地がほしい」と、部下たちに小学校を襲わせるところから。たまたまその学校に通ってい…

ポップに!ディープに!繋げよ乙女『夜は短し歩けよ乙女』感想

一夜の映画がこれまでポップであってもいいのだろうかと思うくらいに、『夜は短し歩けよ乙女』は黒髪の乙女がポップな世界に没入していく。黒髪の乙女が一夜にして体験した不思議な出来事は洗礼といったものだろうか。今まで彼女が体験してこなかった出来事…

『イップ・マン 継承』が公開されたので何となくドニー・イェン ベスト5選+α

みんな大好きドニーさんの主演新作の『イップ・マン 継承』がやっと公開(地方順次公開)とのことでTLも賑わっておりますので、この勢いのままドニーさんベストをやってみようといったことに。といっても、ドニーさん主演作品を全て見ているわけではないので…

地獄でド派手にドンパチやるぜ!『キングコング: 髑髏島の巨神』を見た!!!感想

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ『キングコング: 髑髏島の巨神』IMAX 3Dで鑑賞。物語はベトナム戦争後、未知の島・髑髏島を発見したアメリカが、ロシアより早く地質調査に踏み切るぞと、軍隊を引き連れ満を持して髑髏島を目指すが、そこはバケモノが済む地獄…

ガース・ジェニングス『SING/シング』(字幕版)を見た【感想】

先日℃-uteの『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』リリイベ*1の待ち時間の合間に『SING/シング』を見てきたのだけど、これが傑作でした。イルミネーション・エンターテイメントは『ミニオンズ』撮ったところだったよな〜程度しか覚えてなか…

ある日、山から帰ってきたら人が変わってしまっていた――ナ・ホンジン『哭声/コクソン』感想

ナ・ホンジン『哭声/コクソン』を見た。(演出について書いていますが、物語の結末には触れていません)古くからの言い伝えで「神隠しにあった」とか、「道を歩いていたらいつの間にかに全然違う場所にいた」といった物語がある。どうだろうか、最近だとデ…

スティーブン・キジャック『WE ARE X』感想

スティーブン・キジャック『WE ARE X』鑑賞。『DAHLIA』から既に21年経ちアルバムを作るんだか、壊しちゃったんだか、そんなことばかり持ち上げられるYOSHIKIですが、長年のファンとして『WE ARE X』は足を運ばざるを得ないというか、見なければならない義務…

恋愛の不格好さ――デミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』感想

恋愛に夢中になると「この人とどんな風に歩んでいくのだろう」と未来に希望を見出したり、本当にうまくいくのだろうかと、少し不安になったりする。もちろん、全てが上手くいくわけでもなく、喧嘩したりしまいには破綻することもあるだろう。あの時あーして…

今、このアクション映画がアツい!『トリプルX:再起動』と『ドラゴン×マッハ!』!!!!!!

アカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』と思いきや、『ムーンライト』だったということで世間がざわざわしているらしいですが、アクション映画界隈というかドニ―・イェン大好きクラスタたちの間では、『トリプルX:再起動』の話題で持ちきりのタイムライン!僕も…

嘘っぽさがつきまとう――ロバート・ゼメキス『マリアンヌ』感想

ロバート・ゼメキス『マリアンヌ』たいへん素晴らしかった。ゼメキス新作は『フライト』ぶりに鑑賞。昨年『ザ・ウォーク』をスルーしてしまったのだけど、そちらも見なきゃな〜と。スパイものというと昨年スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』があった…

ジョン・ヒューストンの『ゴングなき戦い』をBlu−rayで見たよ!

ジョン・ヒューストンの『ゴングなき戦い』(1972)をBlu−rayで見たよ!この前夜中にAmazon徘徊していて、『ゴングなき戦い』Blu−ray出てたんだ!!って衝撃(しかも結構前)を受けて即ポチした話(他にも『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』ク…

村瀬修功『虐殺器官』覚書

Project Itohとしては『屍者の帝国』、『ハーモニー』に続いて3作目になる『虐殺器官』を見てきた。個人的な伊藤計劃についての思い入れはあまりなくて、『ハーモニー』は好きだけど『虐殺器官』に関しては殆ど忘れていて映画を見ながら物語も思い出した。SF…

出崎統『劇場版エースをねらえ!』について

先日放送された「ニッポンアニメ100年史」にて、庵野秀明と押井守が出崎統について語ったらしい。特に『オンリー・ユー』で「映画ではない」と気づいた押井守は『劇場版エースをねらえ!』を繰り返し見て、アニメを映画にする方法を学んだというのは有名な話…

これぞ日本のカルト・ノワール!――中平康『猟人日記』(1964)感想

中平康『猟人日記』(1964)を見た。中平康って『狂った果実』(1956)が有名で、大学生のころに「ヌーヴェルヴァーグに影響を与えた」とか評判で『狂った果実』を見たんだけど、全然面白くなくて「まだまだ修行が足りないんだな」とか思ってた。社会人にな…