アニメ

後にも先にも忘れ去られそうな映画とは――『名探偵コナン ゼロの執行人』と『パシフィック・リム アップライジング』

先に断っておくが「後にも先にも忘れ去られそうな映画」とは別にこれから対象にする映画についての悪口で書いているわけではない。では何なのか? といったことは置いておいて先に後世に残りそうな映画とは何なのか? 例えば名作といわれる映画。ジョン・フ…

ディズニー長編アニメーション――『白雪姫』(1937)、『ダンボ』(1941)、『バンビ』(1942)

最近ディズニー長編アニメーション『白雪姫』(1937)、『ダンボ』(1941)、『バンビ』(1942)を立て続けに見た。恐らく見るのは幼稚園か、小学校の低学年以来のように思える。おおよそ、二十数年ぶり。どれも間違いなく面白い上に、アニメーションとして…

クロード・バラ『ぼくの名前はズッキーニ』(2016)

66分のランタイムがちょうどいい。ちょうどいいというのは、母親を自らの手で殺してしまった子どもが、愛するもの/愛されるものを見つける、また見つけられるといった題材を扱うに重すぎず、軽すぎずバランスがとれているからである。またクレイを使用した…

湯浅政明『DEVILMAN crybaby』感想

昨年から期待を寄せていた『DEVILMAN crybaby』面白かった。新千歳空港国際アニメーション映画祭のときに湯浅監督他がめちゃくちゃエログロと言っていたので覚悟して見たが、そこまでエロくもグロくもなかった印象を持った。というのも、『マインドゲーム』…

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

毎年参加するのが恒例になってきた新米小僧さんの話数単位ベスト企画。今年も参加させていただきます。来年も面白いアニメに出会えますように。(画像を用意できなかったものはその他で代用)ルール ・2017年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメから選…

今期は『Just Because!』でキマリ!

ズバリ今季は『Just Because!』を推していきたい。ハイブリッドアニメ『宝石の国』や、力強いショットが魅力の『ボールルームへようこそ』など、飛びつきやすく批評されやすそうなアニメも大好きだけど、『Just Because!』のような派手さはないが、丁寧に積…

トラヴィス・ナイト『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』覚書

血肉を失った骸骨はダンスするように軽やかに動いて見せることができるはずだ。それが物語に縛り付けられた骸骨なのだろうか。骸骨がダンスして見せない。「口承」という嘘か誠かわからない物語でさえ、継承されていく芸術がこんなに鈍重な骸骨を出していい…

新千歳空港国際アニメーション映画祭2017

ユーリーノルシュテインの研究をされている土居伸彰さんがディレクターを務める新千歳空港国際アニメーション映画祭2017(11/2〜11/5)に遊びにいってきた。1日目は仕事だったので2日目から参加。以下に見たプログラムと大まかな感想。(見た順番通り) イン…

あの時のこと、あの子のこと、俺が見つけた大切なもの――『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』感想

「すべては夢なのよ。すべての知的生命体は夢を見なければ進化することはできないの。夢を見るには何が必要かわかる?夢を見るには記憶が必要なの。私たちイマージュはそれを持ち合わせていない。この世界、すべての生命が持つ遺伝子情報、すべての生命が歩…

「山村浩二 右目と左目でみる夢」を見てきた

恐らく名古屋での上映はないだろうと高をくくっていたが、シネマスコーレで公開されたので見てきた。インディペンデント・アニメーションは、映像と音響の関係性についてよくよく考えられて作られているので、なるべき大きなスクリーンと音響施設で体験した…

夏休み映画 vol.3――山内重保『も〜っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ』(2001)

小学生の夏休みといえば、田舎に住む祖父/祖母の家に遊びに行って毎日グーたら過ごすというのが一般的にも多いのではないだろうか。『も〜っと!おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ』も、どれみの祖父の家にいつものメンバーを連れて帰省した2日間を描いて…

Vimeoでジョルジュ・シュヴィツゲベルの『魔王』(2015)を見た(感想)

昨年、愛知県トリエンナーレ2016にてシュヴィツゲベル『魔王』(2015)がかかっていたのだが、会場が豊橋でもあったことでなかなか足が遠のいていた。そして、いくぞと構えたときにはすでにトリエンナーレは終了していた…。そんな絶望の淵から、Vimeoで購入…

誰かが誰かを照らしていく物語――『魔法少女リリカルなのは Reflection』感想

是か非かわからなくても真っ直ぐの想いというものは感動させられる。惑星エルトリアに住むキリエは、故郷の星と父親を救うため、人工知能*1イリスとともに地球へやってくる。はやての持つ闇の書を奪うことを計画するが、人様に迷惑をかけてはならないと追い…

米林宏昌『メアリと魔女の花』感想

昨年『君の名は。』(2016)が大ヒットしたのは、男女の出会いがドラマチックに演出された物語に多くの人が惹かれただろうか。それまでの新海誠を考えてみると、職人監督的なきらいがあり、普遍的な恋愛映画という物語面よりも背景美術に定評があり、『君の名…

「アニメクリティークvol.6.0 新房昭之ノ西尾維新、『傷物語』完結記念号」への寄稿について

告知です!このたび、5月7日(日)に開催される文学フリマで発売開始となる、「アニメクリティークvol.6.0 新房昭之ノ西尾維新、『傷物語』完結記念号」に寄稿させていただきました。企画主旨等は以下リンク先をご覧ください。場所は「カ-31〜32」です。 文…

ポップに!ディープに!繋げよ乙女『夜は短し歩けよ乙女』感想

一夜の映画がこれまでポップであってもいいのだろうかと思うくらいに、『夜は短し歩けよ乙女』は黒髪の乙女がポップな世界に没入していく。黒髪の乙女が一夜にして体験した不思議な出来事は洗礼といったものだろうか。今まで彼女が体験してこなかった出来事…

続『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナの総合力

2017年4月2日で放送開始から『少女革命ウテナ』20周年ということで先日からやっているエントリー。『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナとの出会い - つぶやきの延長線上ウテナは『美少女戦士セーラームーン』でシリーズ・ディレクターや『劇場版美少女…

『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナとの出会い

あまり普段こういうことを書かないのですが、永遠のアニメ・オールタイムベスト・ナンバーワンである『少女革命ウテナ』が、2017年4月2日を持って1997年4月2日の初回放送開始から20周年ということで、ウテナとの出会いを書いておきたいな…といった気持からの…

ガース・ジェニングス『SING/シング』(字幕版)を見た【感想】

先日℃-uteの『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』リリイベ*1の待ち時間の合間に『SING/シング』を見てきたのだけど、これが傑作でした。イルミネーション・エンターテイメントは『ミニオンズ』撮ったところだったよな〜程度しか覚えてなか…

インターネットでの再放送――久しぶりに『輪るピングドラム』(2011)をAbemaTVで見返した

ツイッターでやたらやかましく宣伝活動をしてたのだけど、AbemaTVで『輪るピングドラム』(2011)を鑑賞した。『ピングドラム』は2010年代のなかでもベストクラスに好きだし、オールタイムベストを考えても少なくても100本に入るだろう。好きな作品なので個…

舞い落ちる黄色い葉――『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』第七話・第八話【感想】

例のごとくスロースターターの僕は『ACCA13区監察課』くらいしか追えていなかったのだけど、HDDにたまってた『落語心中』2期を見たら、あまりにも傑作で感動した。1期のときから素晴らしき声優たちの活躍、劇伴とショットの選択など、完璧な作品だと思ってい…

『ハイキュー‼』3期までイッキミした(覚書)

昨年『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』が話題になっていたのと、フォロワーさんも激押ししていたのでぜひ見たいなと思っていた『ハイキュー‼』でしたが、なんとか1期から3期まで見れた。初めは1ヵ月くらいかけるかな〜と思ってけど、王道ジャンプ…

村瀬修功『虐殺器官』覚書

Project Itohとしては『屍者の帝国』、『ハーモニー』に続いて3作目になる『虐殺器官』を見てきた。個人的な伊藤計劃についての思い入れはあまりなくて、『ハーモニー』は好きだけど『虐殺器官』に関しては殆ど忘れていて映画を見ながら物語も思い出した。SF…

出崎統『劇場版エースをねらえ!』について

先日放送された「ニッポンアニメ100年史」にて、庵野秀明と押井守が出崎統について語ったらしい。特に『オンリー・ユー』で「映画ではない」と気づいた押井守は『劇場版エースをねらえ!』を繰り返し見て、アニメを映画にする方法を学んだというのは有名な話…

『ViVid Strike!』#5.5「総合魔法戦競技」感想

『ViVid Strike!』Blu−ray2巻の特典 #5.5「総合魔法戦競技」を見た。 絵コンテ:のりみそのみ 演出:新子太一 アクション監修:飯野まこと 作画監督:池田広明 楽しみにしていた『ビビスト』の特典エピソード。5.5話は本編でいうと、リンネがジルと出会う5話…

アニメ鑑賞しているとつきまとうこと

いまさらながら新米小僧さんが集計された『話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選』の投票集計をじっくり見ていた。 「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」投票集計: 新米小僧の見習日記 1位の『ユーフォ』5話は自分も選んだけど、1期から通してみても上位の…

祝!『ユーリー・ノルシュテイン作品集』2K修復版Blu−ray 『ソング・オブ・ザ・シー』『レッドタートル ある島の物語』Blu−ray発売

『ユーリー・ノルシュテイン作品集』の2K修復版がBlu−rayで発売!上映は東京からスタートしていて名古屋でもすでに公開されていたのだけど、あまり大きいスクリーンではないから行くのを渋っていたのだけど、なかなか熱い展開になってきた。【初回限定版】ユ…

話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選

今年も早いものでもう師走なんですけど、あまりにも早くて師走すらないなあと歳を重ねるごとに感じるこの頃。先日、音楽版の2016年ベストはやりましたが、今回はアニメ編です。例によって一昨年から参加させて頂いている「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10…

『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』Site10「本当のワタシ」覚書――認識と仮装性

『オカルティック・ナイン』10話すごかった!神戸守コンテ回!『すべてがFになる』のコンテワークもたいへん素晴らしいものでしたが、今回、全てがトチ狂ってた。画面から重力が消えたかのように上下反転に、左右反転に、遠近感の消失に……これはキリキリバサ…

根性でぶっ飛ばせ!『ViVid Strike』 #11「撃ち抜く一撃(ストライク)」感想

9話から始まったフーカvsリンネの闘いにとうとう決着がついた。『ビビスト』ほんっとにフーカとリンネの物語なんだなと思えた決着。しかしなぜリンネはフーカに負けてしまったのでしょうか。フーカは一度リンネに喧嘩で負けている。あれだけ鍛え抜かれたリン…