『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナとの出会い

あまり普段こういうことを書かないのですが、永遠のアニメ・オールタイムベスト・ナンバーワンである『少女革命ウテナ』が、2017年4月2日を持って1997年4月2日の初回放送開始から20周年ということで、ウテナとの出会いを書いておきたいな…といった気持からのエントリー。

ウテナとの出会いは小学生までに遡る。当時ゴジラが大好きで昭和ゴジラ、平成ゴジラは全て見ていたし、アニメは、宮崎駿の映画やテレビ(『未来少年コナン』)をそれこそビデオが擦り切れるくらいにって表現がしっくりくる感じで見ていた。テレビでは『ドラえもん』とか一般的なアニメしか触れる機会がなかったけど。

平日の夕方の放送だったと記憶しているのですが、学校から戻ってきてランドセルを置いて外で友達と遊んで帰ってきたときにたまたまテレビをつけたとき、ウテナが放送されていた。その頃、X JAPANにお熱を上げていた時期でもあったので、ちょっと大人への憧れがあったかもしれない。そんな気分も相まってスマッシュヒットした。

当時、よく昔のテレビ映像で『ベルばら』を見たことがあって、第一印象はキャラクターはまんま「ベルばらっぽい!」って思ってた。そしてアダルティな世界観で川上とも子さんの声に夢中になり、「なんだかよくわからないけど、すごいものを見た!」ってインパクトがすごかった。見始めたのは1話からじゃなくて「生徒会編」の途中からだったと思うけど、好奇心旺盛な小学生の心を鷲掴みにされたのだった。外で友達と遊ぶのが大好きだったのと、「危険なものを見ている!」って感覚だったので、親に録画は頼まず、見れるときに見るってスタイルだった。

結構ベタ好きなので基本的に好きなキャラクターというと、メインキャラが多くて、やっぱり、天上ウテナが大好きだった。それは、川上とも子さんの声が好きだったからかもしれない。なんだろうか、巧いといったよりも、ウテナみたいに本当に「王子様」を目指している女性の声といったほうがいいのか、ウテナの役にドンぴしゃだなって思っていた。それとウテナ以外のキャラクターにも惹かれた。ウテナの登場キャラクターはみんな個性があって、みんな何かしら「痛み」を抱えているキャラクターだった。

今でも「痛み」を抱えた作品が好きで、いくら美しいものを描こうとしても「痛み」が無ければ本当に美しいものを語れるわけがないと思っていたりする。というのもやはりこのころ好きだったX JAPANが関係しているところが大きくて、THE LAST LIVEのTOSHIのこの言葉なんかが示唆的。

「同じ時代に、同じ様な痛みを持った、同じ様な傷を持った、同じ様な寂しさを持った、同じ様な孤独を持った仲間がひとつの音楽を通して出会いました。そのバンドの名は、XJAPANです。Xという名は、YOSHIKIがつけました。何だがわけわかんねぇーからXってなまえにしようって。
Xとは、無限のしるしです。無限の可能性という意味です。俺たちみんな一人一人が本当に今のまんまで無限で、未知で、本当に美しいぜ!
何もなる必要なんかない。何も身につける必要なんかない。今のみんなの無垢な顔がXそのものです。 本当にみんなありがとう」

彼はこのとき洗脳されていたこともあって、YOSHIKIとhideは何かあったらすぐにマイクの電源をオフにしようなんて語っていたらしいけど、多分、この言葉は本物なんだよね。

それで『ウテナ』に戻るけど、特に樹璃さんのエピソードに惹かれた。その中でも、29話『空より淡き瑠璃色の』に。ウテナ全体のエピソードのなかでもいちばん好き。

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以前もウテナのベストエピソードについて書いているけど、29話はすれ違いのエピソード。絵コンテ担当・橋本カツヨ細田守)がエグるだけエグってくる。ウテナは前衛的な演出が特徴的でもあるけど、橋本カツヨのコンテ回は強い情念が宿っている。それが、世界一の椅子演出までに昇華している。完全に「橋本カツヨ回」になっている。それでいて以後に、本編でこのエピソードに深入りしないのがいいんだよね。多くを語らず、残った想いだけを自分だけで受け止めるってのが……。これが「奇跡を信じて。想いは届くと」ってね……

多分小学生の頃に見た29話が衝撃過ぎたせいなのか、『天使のはらわた 赤い教室』(1979)、『忘れじの面影』(1948)、『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』(2013)のようなすれ違って想いが残っていくような作品フェチになってしまった。それは歳をとるうちに余計に強くなっていて、例えば昨年のベストに選んだ『夜会vol.18 橋の下のアルカディア』なんてものすごい「痛み」を内包した作品で、見てる最中ずっと泣いていた。

そんな風に育てくれたウテナには感謝しているのだか、なんなのやらって感じなのだけど。ちなみに、このエントリーは先日AbemaTVで見直した『輪るピングドラム』(2011)で、あたたかい気持ちになって書いていたりする。今日はここまで(続くのか)