最近見た映画まとめ

最近といえば転勤があり引っ越しが忙しく前回のエントリーで書いたようにアニクリさんに寄稿した文章以外ほとんど手付かずだった。映画自体あまり見れていないのですが、少しでも見た映画について短文で。

これは映画学校の卒業制作設定? すでに見てから一ヶ月程度経っていて設定を忘れたのだが、主人公が監督に抜擢され中原翔子にしごきを受けて精神を病み始めたり、障壁にぶつかったり…といった内容。松本若菜が売春をするために男を見つけたシーン。「私を買ってください」までの流れがスマートで素晴らしかった。

今のところ新作ベスト候補。圧倒的にすごかった。『聲の形』(2016)と同様に牛尾さんが音楽を作っていてそれが最高にいい。サントラだけでも十分な価値があるのだけど、映像と組み合わさることで空間が浮かんでくる。外部を完全に外に追いやり内部を追求して作った作品といったものだろうか。しっかりと書きたいなという反面で凡庸なことしか書けなさそうで断念している状況。山田尚子の作家的な側面、またそうではない側面から整理して書いてみたい。

  • 岩澤宏樹『心霊玉手匣constellation』

本シリーズは3作目4作目が心霊ビデオ史上で見ても素晴らしい作品だった。特に4作目の様々な視点と時間軸が組み合わさった瞬間は凄まじかった。シュミット『デジャヴュ』(1987)のあの振り向いた瞬間と似たような感覚があった。そんな期待の中、最終作を見たわけだが、つじつま合わせで作りましたって印象でつまらなかった。「constellation」なのであらゆるものがつながってしまうということは百も承知であるが、わざわざつなげる意味を見出せないし、金がかけられないのもわかるが「元気玉」的なシーンで適当に音楽を流し生まれてもないエモーションに回収させようという魂胆がダメ。4の視点と時空のつなぎはどこに行った。

シャイニングステージが最高だった。それ以上に面白いのは最後に全うも言えるメッセージ(ゲームを労働に見立てたと考えて)が「リア充」とか「オフパコ」のような言葉に回収される感想が目立ったことだろうか。だってリアルでおばさんが殺されているからね、強制労働で人が死んでいるし全うなメッセージだろう? ただそれをムカつくメッセージに見せてしまうスピルバーグの趣味悪なテクニックだったのだなーと。

これは面白い。見るまでは『トゥルーマン・ショー』(1998)的な「実は街はホンモノではありませんでした」オチなのかなと思っていたが、予想とは全く違う方向の映画だった。白人しかいない街にある日黒人が入居者としてやってくるのだけど、そこからデモというか強烈な嫌がらせが始まってくる。しかし実は人種差別されている隣の家でこの映画の事件が起きる。面白いのは隣同士の家でおいて直接的にやりとりするのは子供達だけということ。人種差別の物語は外側にあり続け、一定の距離を保ち続ける。『トゥルーマン・ショー』とは違うものであるが、照明演出など、確かに作りものっぽさが追求されていたなと。

多分昨年の『女神の見えざる手』があるから余計に退屈させられたのだと思うけど、ポーカーやロシアンマフィアなど特殊な職業柄の人がたくさん出てくるのに職業的なものはいっさい撮られていない。だから賭博モノなのにサスペンスフルな時間を演出できない。あるのは「ドーン!」といった衝撃を少し持ってくるだけ。脚本も本当にアーロンソーキンが作ったのか? というくらいぬるい。『スティーブ・ジョブズ』(2015)のキチガイっぷりはどこに行ったのだろう。

どうやら一作目の前日譚といった話だったらしいのだが、正直なところ「これは一体何の話なのだろうか?」といったことが終始続いてしまった。怪獣が出てくるわけでもなく宇宙船でのトラブルを描いているのであるが、これが全くサスペンスフルな時間を演出するかといえばそうではなく、「エリザベス・デビッキ背が高いな〜」とどうでもいい感想しか出てこなかった。

『タンジェリン』(2015)が面白かったので期待していたのだが、期待を遥かに超えてきた。再鑑賞して個別エントリーを書きたいと思っている。先ず子供の扱い方がいい。「子供=自由奔放」であり、予測できない行動をする。興味は次から次へと映ってくるので前のカットに未練はなくバッサバッサと過程をぶった切って「事」だけを撮っていく。モーテルとその街という撮り続け、外部(ディズニーランド)へ視線を向ける。内/外のバランスがいい。ロケ地がいいのでそれが映える。ただあるところから物語が顔を乗り出してきて一時的にぐっとスピードが落ちてくる。そこから持ち直す一連のシークエンスはあるのだけど、それとラスト数分がとても残念な結果だった。ただ力はある監督なので今後も期待したい。

実際に起こった事件を元にしているといった話らしい。小学生の頃だったのでほとんど覚えていないのだけど、聞いたことがあったようにも思えるし知らないようにも思える。スケートがダンスしていない。結局「事実」はなんだろうか? はたまたその事実をどう扱っているかにしか興味がないのだろうか。面白くなかった。強いて言えば気の狂った妄想狂のデブと雇われた襲撃犯のキャラクターが面白かったくらいだろうか。

何年か前に見逃していてネトフリにあったので。POVやフェイクドキュメンタリーとしては新しみは全くないが、フェイクドキュメンタリーも方法論的なものが確率されており、お手本となる技巧的な映画だった。何よりも教祖がガチでヤバいやつで本当に死ぬとは思わなかったんだな。面白かったっす。