誰かが誰かを照らしていく物語――『魔法少女リリカルなのは Reflection』感想
是か非かわからなくても真っ直ぐの想いというものは感動させられる。惑星エルトリアに住むキリエは、故郷の星と父親を救うため、人工知能*1イリスとともに地球へやってくる。はやての持つ闇の書を奪うことを計画するが、人様に迷惑をかけてはならないと追いかけてきた姉・アミティエと対立することになる。『リリカルなのは』の物語では、このような何かを犠牲にしなければならない事態に悩むキャラクターが度々現れる。主人公・キリエの物語は『リリカルなのは』シリーズ1作目のフェイトと重なる。
本シリーズは闇に堕ちたものを光で照らしていく作品だ。スピンオフ『ViVid Strike』でも、フーカという光の存在*2が、闇に堕ちたリンネを照射していくように描かれてる。『Reflection』での照射といえば、「データ」になるだろうか。例えば、闇の書から召喚された王たちは、はやて=ディアーチェ、なのは=シュテル、フェイト=レヴィ、といった個体情報をもとに身体と能力を得ている。これもキャラクターからの照射によるもの。元気があるというか、どんな相手にもひるまない高町なのはと、大人しいフェイトの関係。逆に落ち着いたシュテルと、子供っぽく元気なレヴィの関係性といい、照射といっても性格が入れ子になっていたりと面白い相関図になっている。得意のアリシアネタから、バルディッシュ解放、水樹奈々の挿入歌発動のフェイト無敵シーンの終焉に、バインドからの砲撃を放つフェイトの姿は1stのなのはじゃないだろうか。キャラクターの相関関係以外にも、戦闘までキャラクター間の繋がりが見られる。
主題歌に関しては、『PHANTOM MINDS』、『BRIGHT STREAM』に比べると、落ちるんだけど、2回目見てたら不思議とエンドロールで涙が出てきたので、好きになっていくんじゃないかと。『リリカルなのは』シリーズは、誰かのためになりたいと強い想いを持った者が助け合っていく、美しいドラマだなと再認識した。
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