『映画秘宝EX 究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』を読んだ

人さまのベストを見るのはとても楽しいことだ。ベストを見る行為はその人の人となりが見えてくる…といったことが言われるが実のところ、人となりが見える/見えないってのは鑑賞者側が勝手に思惑を推測したりする愉しみのひとつ。まあ、真実が見えるかといわ…

時間と空間の生成術――ペドロ・コスタ『蓮實教授との三時間、日本の列車の車中にて』

ツイッタ―にも書いたんですが、何度か繰り返し読んでいる『蓮實教授との三時間、日本の列車の車中にて』。これは『論集 蓮實重彦』に収録されている映画監督ペドロ・コスタの寄稿文。本論集のなかでも、短い文章で、さらっと読めてしまうのだけど、ひとつの…

『NHKスペシャル 終わらない人 宮崎駿』 『ユリイカ2016年11月号 特集=こうの史代』――アニメーションと運動

『NHKスペシャル 終わらない人 宮崎駿』と『ユリイカ2016年11月号 特集=こうの史代』見て(読んで)、考えることがあったので少し残しておく。『NHKスペシャル 終わらない人 宮崎駿』ドワンゴの川上会長とのいざこざで話題になっており、鈴木敏夫の策略だと…

ふたりが出会うとき−−−『キャロル』から中村章子『同級生』について(感想)

「キャロルが片手をゆっくりと上げて髪をかき上げるのを見て、テレーズは微笑んだ。あまりにもキャロルらしい仕草だったからだ。テレーズが愛している、いつまでも愛し続けるキャロルだった。もちろん以前とは違う形で愛することになるだろう。なぜならキャ…

スパイ戦ならぬ思考戦/西尾維新『悲亡伝』を読んだ。

西尾維新の伝説シリーズ最新作『悲亡伝』を読みました。このシリーズぶ厚さの割に速いペースで新作が出ていたのですが、前作『悲業伝』から約1年半の時間が空いてしまいましたね。ほとんど内容も覚えていなかったし「四国ゲーム終わってたんだっけ?」くらい…

『「アニメージュ」が見つめたTMSアニメ50年の軌跡』から出崎統『ゴルゴ13』の演出について

『「アニメージュ」が見つめたTMSアニメ50年の軌跡』なんて本が発売されていたので金額には目をつぶって一瞬のうちにカウンターに持って行ってしまった。(といいつつリサーチ済みだったのだけど)今年はこの本と『ハーモニーという世界』(まだ未購入)と、…

さいきんの「ハッシュタグ遊び」+雑感

ツイッターでは定期的にベストのハッシュタグ遊びが開催される。 従来こういうベスト遊びはブログが担っていたのだろうけど、ツイッターの手軽さで頻繁にみられるようになった。 ベストは集計結果より、「誰が何を選んだか」だったり、自分が「選ぶ」という…

『アニメクリエイターの選んだ至高の映画』をさらっと読んで。

『アニメクリエイターの選んだ至高の映画』なかなか面白い。普段属しているジャンルとは別のジャンルのベストって非常に興味がある。あまり熟読してないですが、気になった人の映画ベスト。 ◼新房昭之の怪奇映画ベスト 『死霊のはらわた』 『エクソシスト』 …

『アート鑑賞、超入門!』から見る映画の鑑賞方法について

僕は日頃「鑑賞すること」について関心があって、例えば、この映画をどう見ればいいんだろう?他の人はどのように見ているのだろう?と気になることがしばしば。興味を持つ理由の一つとして、映画の鑑賞方法を教わってこなかったからではないだろうか。教わ…

西尾維新『悲録伝』 大いなるアホには、大いなる責任は伴わない。

冗長と言ってしまえば、そこで思考停止してしまうが、西尾維新『伝説シリーズ』はその冗長さを、逆に使いまくって強靭な物語にしている。そしてとうとう『悲痛伝』から始まった「四国ゲーム」も5巻目にしてやっと終焉する。(画像下から軽くネタバレ含みま…

年末年始のお供にいかがでしょうか… 『その女アレックス』

「このミス」やら各ミステリ部門で圧巻の1位全制覇という驚きな『その女アレックス』を読みました。「ネタバレ」という言葉には、人によってどんな意味合いを持つか結構曖昧である。例えば、「ストーリー」。 実は○○が犯人だったんだよ。とか、「なんで犯人…

『イニシエーション・ラブ』を映画化するにはどうすればいいのか?

『イニシエーション・ラブ』の映画化について考えてみた。 乾くるみ小説「イニシエーション・ラブ」映画化! 松田翔太×前田敦子×木村文乃で三角関係 | cinemacafe.net 『イニシエーション・ラブ』が来年映画化するということで「ラスト2行はどうするんだ!」…

「キャラ×キャラ=世界」の構図 ー 西尾維新『掟上今日子の備忘録』を読んだ。

人は忘れたくても忘れられない記憶を引きずっていたり、逆に、大事なことをスッカリ忘れてしまうこともある。後者の場合は、ちょっとしたキッカケで朧気だった記憶がくっきりとすることがある。でも、何をどう努力しても「一日で記憶がリセットされるとした…

西尾維新「戯言シリーズ」をイッキ読みした。

「物語シリーズ」をつまみ食いしかしてなかった西尾維新だけど『悲業伝』が面白かったので、代表作である「戯言シリーズ」をイッキ読みした。 スピンオフ作品もあるらしいけど、本編は、9冊に連なる大作。まあ、最初はあまり期待もせず読んだのだけど、シリ…

「鎧武」と「アルドノア・ゼロ」に見られる虚淵玄の作家性

『仮面ライダー鎧武』の43話と『ALDNOAH.ZERO』9話を見ていて、特に前者が物語の終盤に差し掛かり、虚淵玄の作家性が濃密に出てきたことで、簡単にまとめておくことに。まず、虚淵玄が関わる作品として、「まどマギ」の10話を見てわかるように「実はこんなこ…

やーーーーーーーーーーっと『悲業伝』に追いついた。

西尾維新の『悲業伝』を読みました。 西尾維新の作品はそこまで読んでいるほうではないので、別にファンってわけでもないのですが、「伝説シリーズ」はカバーが、かっちょよかったり、「英雄」とか「魔法少女」って言葉に弱いので、『悲惨伝』まではリアルタ…

『【解析読本】虚淵玄Lives』を読んだ。

週末は東京に帰っていたので、なかなか映画も観る時間がなく、しかし地味に時間はあるなと、ジュンク堂を彷徨っているときに発見。特に事前情報仕入れていなかったので、とりあえず時間つぶしにも良いかなと『虚淵玄Live』を購入し、あっという間に読んでし…

これぞ「お、ねだん以上」のお買い物/大友克洋『POSTERS』

「東京のバッキャヤロー!」と地方民は思ったかもしれない。大友克弘の「POSTERS」の展示会が東京であったとのこと… 僕と大友克洋作品の距離感って、映画でも漫画でも「オールタイムベスト1です。」みたいな感じではなくて、わりと客観的に観てると思う。で…

CARCASS来日確定か!?/『ヘドバン Vol.2』俺たちのメタル文化祭!

今年17年ぶりの新譜を発表し、日本のメタルキッズたちをわかせたCARCASSが5年ぶりに来日したラウドパークのサイン会で「来年5月にくるぜ」と言ったらしいとTL上をざわつかせた。そんな中、先日発売になったメタル系ネタ雑誌『ヘドバン』の掟ポルシェ氏とトゥ…

”今”をオールジャンルから切り取る『STUDIO VOICE MY NAME IS BEAMS』

本屋でおや?「STUDIO VOICEが売っとる?」とビームスの特集号が出ていたので立ち読みもせず即決してしまいました。内容を簡単に説明すると、「ビームスって何なの?ビームスとは?」とビームスが事業として行っていることを掘り下げ、服は勿論のこと、スト…

繰り返しの美学『七回死んだ男』

一般的にSF作品と言えば、これまで見たことが無かった世界やガジェット、アクション超大作など見ていてハラハラドキドキするような作品やそれとは対極に、ディストピア作品のような暗い未来が描かれたりもする。 そんな中、SF設定で良くあるのは、タイムトラ…

村上氏の名古屋的なもの『色彩を持たない 多崎つくると、彼の巡礼の年』

やっと読めました。村上春樹氏の新作『色彩を…』(長いから省略)村上春樹小説でわりと発売日から数ヶ月満たない期間で新作を読むということは僕にとって初めての体験です。 なぜわりと早く読めたのかという、理由が2つあって、まず1つ目が、”名古屋”が舞…

アオイホノオからの30年・・・島本和彦先生の『熱血時代』を読んで。

僕の大ファン島本和彦先生の『熱血時代が』刊行されました。同時に売っていた『アオイホノオ』9巻と並べると‥‥ あだち充怒ってるよ!笑 いい煽りの販促だなーって感心するばかりです。肝心な内容は、島本先生の過去作品を絡めつつ、アオイホノオからの30年を…

9月読書月間と言いつつ、8月よりも読んでなかった件について

読書が出来ない期間、それは、読みたい衝動後に、突如、追突事故のようにやってくる。 夏もピークを過ぎ、さあ、読書の秋だと思い本を開くが、、、読めない‥‥ 不可思議なまでの眠気に苛まれ、たまっていく積読本‥‥9月は読書月間にするぞといいながらも、全く…

読書月間と意気込んだつもりだったが‥‥

8月は映画ばかり観てないで、たまには本でもしっかり読むかなと思ってたのですが、いつもと変わらない結果に‥‥ 8月に読んだ&買った本でも‥‥黒い家 (角川ホラー文庫)作者: 貴志祐介出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1998/12/10メディア: 文庫購入: 38人 クリ…

積読リスト〜動かぬ文鎮達〜

新年度が始まったということで、会社のそばのそば屋では何処かの企業の人事担当者らしき人が新人3人を引き連れていて、「お昼おそばだけど、いい?」って言うやりとりを必ずやってるだろうなと思いながら、新人の初々しさを感じていました。年度が変わった…