やーーーーーーーーーーっと『悲業伝』に追いついた。

西尾維新の『悲業伝』を読みました。

西尾維新の作品はそこまで読んでいるほうではないので、別にファンってわけでもないのですが、「伝説シリーズ」はカバーが、かっちょよかったり、「英雄」とか「魔法少女」って言葉に弱いので、『悲惨伝』まではリアルタイムで読めていたのだけど、『悲惨伝』のラスト。氷上と左右の絡みがあまり面白くなくて、長ったらしくて、次の『悲報伝』も買っていたのに積読していた。

悲報伝 (講談社ノベルス)

悲報伝 (講談社ノベルス)

んでまあ、最近『悲業伝』が刊行されたので、これは読むしかないぞ読み始めたら、『悲報伝』がすごく面白かったこともあり、スイスイと『悲業伝』まで進むことが出来た。正直、前巻で、空々空とパンプキンが揃ったので、「そろそろ四国ゲーム終わりじゃね?」とか高をくくっていたのだけど…


過去戻っちゃったよ。というか、この本、9割以上が、氷上と左右の話なんすよ。言うなれば、主人公ほっぽりだして、1巻丸ごと、氷上と左右が四国についてからどういう行動をとったかという、いわば「主人公レス」で話が進む。個人的には『悲報伝』より劣るが、なかなか面白かった。


「伝説シリーズ」らしく一貫して、第三者(神目線)が入ったり、会話よりも思考戦。果たして人間は、その一瞬に、それほどまで物事が考えられるのかというほどの、情報量の思考戦だ。そして、果てしない遠回りと、必要以上の情報過多な冗長性。むしろ、これが無ければ「伝説シリーズ」とは言えないのだが、今回は彼女らの目的を果たす為に、ものすごく、必要以上に遠回りをしている。さすがに、一歩も進んでなかった…という『悲痛伝』よりは進んでいるが、というか、スタートラインに立ったというか…。


そんなこのシリーズらしい要素は抜けていないが、今回珍しかったのが、氷上と左右の視点では「誰も死んでいない」ということだろう。もちろん、時間軸だけとって四国という大きい枠内で考えれば、同じ時間軸で「誰かが死んでいる」ことになるのだが、黒衣の魔法少女たちと出会い、しかも、誰も殺されず、殺しもせず、終わったのは、このシリーズ史上初だ。あれだけ雑作も無く人殺しをする西尾維新が…。しかしまあ、手袋視点で考えると、回想時に「首を絞めた」という描写が説明されるので、一人は殺していることになる。でも、「もともと読者が知っている死」なので、新しい「死」が発生しなかったのは凄い。それほどまでに、このペアが、良かったのか、逆に、災難だったのか…


ともかく、500ページくらいある本ですが、さらっと2日間(実質3時間くらいかな)で読めてしまったので、面白かったと思います。まあ、いつまで経っても終わるかわからないので、あまりオススメしませんガーーー

悲業伝 (講談社ノベルス)

悲業伝 (講談社ノベルス)