『映画秘宝EX 究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』を読んだ
人さまのベストを見るのはとても楽しいことだ。ベストを見る行為はその人の人となりが見えてくる…といったことが言われるが実のところ、人となりが見える/見えないってのは鑑賞者側が勝手に思惑を推測したりする愉しみのひとつ。まあ、真実が見えるかといわれると、見えたりするし、見えなかったりするんだろうと。
映画秘宝EX 究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX)
- 作者: 映画秘宝編集部
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2017/05/06
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さて、総合ベストは、いつも通りかなといった感じだ。さいきんの映画でいえば『マッドマックスFR』がやはり強い。主題と脚本の結びつきが素晴らしく、全部見せるぜ!と言わしめるアクションが好評だったろうか。面白いには面白かったが、実のところそこまでノレなかったのだけど。『ブレードランナー』は大好き。記憶と結びつきやすい霧がかったモヤモヤ映画。『ゾンビ』より『死霊のえじき』派。ブルースリーも好きだけど、僕のカンフー初体験はジェットリーなのだ。意外と『ファントム・オブ・パラダイス』が低い位置に来てる。
各人のベストですが、さいきん映画秘宝に引っ張りだこの内山昂輝がなんと11ページを割いての登場。『彼岸花』(1958)好きなんですねー。僕も好きだ。小津のカラー作品の中でもいちばん好きかもしれない。ブニュエルとか入れてるのも意外で面白かった。古泉智弘氏が『マイアミ・ブルース』(1990)を入れている。これ大好きで、ベスト15くらいには入ってしまう。なかなか『SHARING』を見れていないのだけど、篠崎誠氏のベストが結構好みかな。餓鬼だらくさんさすがなのが『さくら』を入れていること!僕はどうも『封印されたカード』派なんですが1作目のさくらちゃんもくそかわいいですからね。傑作です。
順不同で10本選んでみたのだけど、「人生」を考えるとこのような感じになる。なるべく題材が被らないようにしたけど、なんとなく傾向は出ている気がするな。それと、1位ってなかなか選べないんだよね。だって全部1位じゃん!って感じもするし、気分によっても変わる。あまり原体験を過信してはいけないなってのは思っているけど、なんだろ、ずっと原体験なんだよね(笑)ずっと幼少期なのかもしれないな…。10歳の頃初めて出会ったものだろうが、30歳の時に出会ったものだろうが、その作品との「出会い」はいつも初めての体験なんだよね。当たり前だけどさ。この中だと『フランケンシュタイン対地底怪獣』が、たぶん一番最初に見ている作品。それでも小学生くらいだろうか。以下簡単に選んだ理由を。
『河内カルメン』野川由美子が動けばこれぞ映画になる!というか単に顔が好みというところもある!『ウテナ』永遠の人生ベスト。無理矢理選べと言われたらウテナがナンバーワンかな。『天使のはらわた』すれ違い映画フェチとして大好きすぎます。すれ違い映画として例えばここに『忘れじの面影』を入れるものいいかもしれない。『ヤンヤン』クーリンチェもカップルズも大好きだけど、ヤンヤンの風景になぜかグッとくるんですよね。風景というか情景なんだけど。『エースをねらえ!』120パーセント出崎統!出崎は人生!『フランケンシュタイン〜』悲しい物語すぎて見るとビービ―泣いてしまう!『エクソシスト3』世界一の長回しxホラー演出じゃないだろうか。あの廊下の恐ろしさよ。また、まさかのCryptopsyとの予期しないクロスオーバーにひっくり返った。『次の朝は他人』繰り返されるやりとり!次の朝は他人!次の朝は他人!ホンサンスはこれと『カンウォンドの恋』と迷いますね。『ミッドナイトクロス』映画好きになりたての時、デパルマにハマって彼の映画で一番好き。やっぱり、ものすっごい泣くんだけど、あの回転と花火が美しくて永遠に脳に焼き付いている。『襲られた女』サイコ―の記念撮影映画!そして俺の大好きな『ヒーロー・ネバー・ダイ』、『エグザイル/絆』、『男たちの挽歌』の成分が濃縮された完璧な映画!高橋伴明だと『人妻拷問』も捨てがたい。
ぱっと考えただけでも、『まどマギ叛逆の物語』、『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』、『幽霊と未亡人』、『続・夕陽のガンマン』、『ラブホテル』、『東京上空いらっしゃいませ』、『心のともしび』、、、なんかが抜けているし、「小津も成瀬も溝口もドライヤーもムルナウもブレッソンも入っていない…(オールタイムベスト特集のコメント欄のオマージュ感)」。それと、出崎統は人生なので、『あしたのジョー2』や『クラナド』『AIR』『ゴルゴ13』『ハム太郎オーロラ谷の奇跡』もここに入れたい気持ちもある。むしろ全部出崎でもいいくらいだ。(実際、柳下氏はアレで固めてきましたね)
あと内山くんみたいに劇場鑑賞限定で考えると…
こんな感じだろうか。リバイバルでやったのが多いかな。『夜会vol.18』中島みゆき歌うめーなーとか思っていると、『神無月の巫女』的な輪廻転生が始まったり、突如『風立ちぬ』かよ!?みたいな感じになる。これだけはスクリーンで見たくて1回しか見てない。人生のてんこ盛り。『クーリンチェ』は①ビデオ②クライテリオン版ブルーレイ 後のスクリーン視聴でしたが、やっぱり怪物のような映画。4時間経っても終わって欲しくないって思うほど。そういった感覚だと『天国の門』もそうだった。マイケル・チミノの映画はカメラワークが好きな場合が多いかな。広々としたところや、まるで祭りのように撮るところ。デカいものみてるぜ!ってのが好きなんだよね。『東京上空いらっしゃいませ』は初見がスクリーンで本当によかった。完全なるアイドル映画。『Playback』は『次の朝の他人』と双璧な記憶映画。『まどマギ』TVシリーズはまあ普通くらいの感想だったんだけど、『叛逆』は完全なるすれ違い映画。一生交わることのない二人の物語。ザ・トラウマ映画。『サンローラン』はランウェイの画面分割を見た瞬間涙腺が決壊した。自分で泣いていたのがわからないくらいに自然と。これまた人生の映画なんですね。『荒野の千鳥足』は、日常生活において社会人ってこんなんだよな…と抜け出すことのできない「檻」について考えてしまってね。『ロストワールド』スピルバーグのベスト!!車が落ちるか/落ちないかだけであそこまでサスペンスフルな時間を作り出し、最後まで残忍でとにかくサイコー。『ゴジラvsデストロイア』特撮的にもいいかといわれるとありゃりゃなところがあるが、ゴジラをもう一度脅威として描き平成シリーズに幕を閉じたところが好き。とにかく当時小学生だった僕には「ゴジラが死んでしまった…」とトラウマ映画になるのでした。怪獣と驚異でいうと『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)なんでしょうね。こちらは大傑作。人生ベスト(映画館で見てないので今回はノミネートしてません)
あとはルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』とか、ワイズマンとかよかったかな。ワンビンとか…(あげるときりがない)
今年は友だちのオールタイムベスト100を選ぼうみたいな話に乗ってしまったので、年末くらいにボチボチ考えようとしているのだけど、100本選ぶのと10本選ぶのと順位つけるのと…といったもので多少の差が出てくるもんだよね。まあ、あまり変わらないだろうなって感じもするけど。あと、秘宝の企画に乗っ取ってベストガイ/ガールを選出してさようなら。
- ベストガイ
自分にとってのアクションスターといえばジェットリーだ。ジェットリーを見てカンフーの真似事をして遊んでいた。彼のカンフーは見ていて華があり美しい。ほんと憧れてた。身体のほうが大変そうだけど、健康に過ごして欲しいですね、ほんと。。
- ベストガール
『春婦伝』の戦地を爆走する野川由美子を見ていると「映画は野川由美子に任せとけ!!!」と言われているようである。単純に顔が好みでもあるが…。また、芦川いづみの圧倒的かわいさは映画史に刻まれているし、近年でいえばミア・ワシコウスカ(あの未見の皺よ!)やルーニー・マーラが人生ベスト級に好き。
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