『【解析読本】虚淵玄Lives』を読んだ。
週末は東京に帰っていたので、なかなか映画も観る時間がなく、しかし地味に時間はあるなと、ジュンク堂を彷徨っているときに発見。特に事前情報仕入れていなかったので、とりあえず時間つぶしにも良いかなと『虚淵玄Live』を購入し、あっという間に読んでしまった。
本書は360ページを超えるボリューミーな評論本。タイトル通り「虚淵玄」を研究・評論する本である。こちらは、文芸評論家の山川賢一(代表策として「成熟という檻『魔法少女まどか☆マギカ』論」がある)が、総括してまとめている本。主に、誰かの誰かによるインタビューや山川賢一はもちろん、樫原辰郎、小財満などによる虚淵玄の作品論を展開している。
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あまり細かく言及しても仕方ないので、気になった点を2項ほどあげる。
彼のまどマギ叛逆論で面白かったのは、「ほむら=ファン」という構造で物語を読み解いているところ。「叛逆の物語」のOPは、ほむらが作り出す見滝原市に彼女の想い人たち(まどか、さやか…略)を誘い込み、ほむらが見たかった・過ごしたかった時を過ごす。確かに、これはファンが見たかったまどマギであり、「ピュエラマギホーリークインテット!!」とマミさんや他の魔法少女たち(同人誌を求めるファンか?)も楽しそうな時間を過ごせている。すなわち二次創作物(同人)のような意味合いを持っているのだ。しかし、ほむらは「楽しいけど、何か違う」と思い始める。確かに、同人においても自らが見たかったものを自分で創作することは可能だが、オリジナルからどんどん遠ざかる。自分が見たかった物を創造する、だが、それによって、好きだったものの「像」がハッキリしなくなってきて、追い求めているのに遠ざかるという矛盾に葛藤する。ここで狂ったファンが…というと、角が立つので辞めるが、ほむらのようにこじれる(悪魔になる)。
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ここでは、映画監督「黒沢清」と対に持論を展開している。ここは中々面白かったのは、エロゲ出の虚淵玄と、長編デビューがピンク映画(『神田川淫乱戦争』ゴダールオマージュに溢れているが傑作)だったこともあり、同じ土壌(エロ)の視点を展開されている。
確かに、ピンク映画やロマンポルノといった映画は、絡み(SEX)を数シーン(3シーンだったかな?)入れれば、結構自由に想いのまま映画を作れたので、優秀なメロドラマ(天使のはらわたシリーズ)や、作家性の強いアヴァンギャルドな作品が多い。『愛欲の罠』なんかは、一応絡みはあるが、殺し屋ナンバーワンを目指す主人公が、2人組の最強の殺し屋に狙われるという、007なんだか漫画でありそうな話が展開され、ネタバレになるので言えないほど狂いに狂っている映画である。(是非見てほしい)
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まあ、その後、黒沢清は『ドレミファ娘の血が騒ぐ』という映画を撮ってからは、ホラー作家というか映画監督として一段飛び抜けたような存在になっているし、虚淵氏に関しては、日曜の朝に仮面ライダーなどをやっちゃうほどの売れっ子になってしまった。(『語ろう!クウガアギト龍騎』でも仮面ライダーについて虚淵氏は語っています)二人は出は似たような物かもしれないが、全然違う作家だし、どちらも作品が出るたびに気になる。
ざっくりと2項に着目して書いたが、他にも気になる評論が展開されているので、これからもちょくちょく眼を通していこうと思う。
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