西尾維新「戯言シリーズ」をイッキ読みした。

物語シリーズ」をつまみ食いしかしてなかった西尾維新だけど『悲業伝』が面白かったので、代表作である戯言シリーズをイッキ読みした。



スピンオフ作品もあるらしいけど、本編は、9冊に連なる大作。まあ、最初はあまり期待もせず読んだのだけど、シリーズ1作目『クビキリサイクル』から結構面白かった。


あまり僕様ちゃん(本エントリーの一人称はこれで)*1は、ミステリーをそこまで読んでいる人ではないけど、それでも面白いミステリー作品として読めた。また、西尾維新の真骨頂である萌えキャラの活用がデビュー作からやっているし、ブレないな〜と関心。


ただ、ミステリー要素たっぷりでシリーズ終わるのかと思ったら、ラブコメ、バトル、SF、少年ジャンプな展開と、だんだん一般人が立ち入れぬバトル小説化していく。決定的なのは『クビツリハイスクール』からになるのかな、閉鎖された空間から逃げるというお話だけど、主人公いーちゃんは殺されそうになるし、他の人もどんどん殺されるし、漫画化しても面白そう。


「伝説シリーズ」でもどんどん人が死んでいくけど、「戯言シリーズ」も殺されまくるし、死ぬのが身内だったりして、かなり後味悪くて嫌いだって人もいるだろうな。身内が、萌えキャラがバッタバッタ死んでいくってのが、やっぱし西尾っぽいし、結構尖ってたんだろうなこの頃。



【ここからネタバレあり】

しかし、雑なそろえ方だよな…



正直、物語が最後どのように集束していくかと思えば、「世界の終わり」だった。


なんつー”中二感”と思いつつ完走。このお話での「世界の終わり」って何だったんでしょうね。ラスボスの戦闘能力的にも、物理的に世界を終わらすことが出来るような気がするけど、世界のこんな狭い国で戦っているということは、全世界含めたらもっと、強い奴出てくるんじゃないかなという気もしないでもない。西尾さんジャンプ好きならDBだって少なからず思うところあるでしょ。


「つえーやつ出てきた。オラわくわくすっぞ!!」ってね。


でも、「世界の終わり」ってのは難しい。だって、SEKAI NO OWARIが売れても世界なんて終わらないし、誰の世界が終わるのか?と、なる。そもそも物理的だとしても「壊す」という言葉ではなく、「終わり」すなわちワールドエンドなのだ。「世界の終わり」なんて考えているやつは、そもそも、”こじれている”のですよ。誰にとっての世界か、誰の世界が終わるのか、そんなことは誰にもわからない。『ネコソギラジカル(中)』くらいまでは、『悲痛伝』じゃないけど、一歩も進んでいない小説なんじゃないかな?って思ってた。それは、所詮「戯言」だから、何をやっても「戯言」だから終わらない…と。


ただ、それを覆すようなハッピーエンド。たくさんの人が死んでいったが、最高のハッピーエンドで終わらしたのは素直に良かったなーと思う。


それと読んでて想起したのが、白石監督のOVA作品「コワすぎ!」シリーズに近しい。というのは、ジャンルレス、ハチャメチャなバトルってのもあるけど、人がどんどん死んでいく、後味悪い死に方もある。物語の最初から最後まで大テーマに覆われている感。「世界の終わり」的な雰囲気。そんなところが似ていると感じた。まあ、「コワすぎ!」はハッピーエンドじゃないけど。


総括すると、なかなか面白かったです。僕様ちゃんでも2週間掛からないくらいで全部読めましたし、とても読み易い。ただ、結構わけわからないSFちっくな単語だとか、少年ジャンプ(特にジョジョとか)ネタとか入っていますので、知らない人は「?」になるかも。ややこしい話もありますが、シリーズ通すと、とてもシンプルな作品だと思うので。小説より漫画好きな人にオススメかな〜。以上、僕様ちゃんでした。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

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*1:本作品の”玖渚友”の一人称