年末年始のお供にいかがでしょうか… 『その女アレックス』
「このミス」やら各ミステリ部門で圧巻の1位全制覇という驚きな『その女アレックス』を読みました。
「ネタバレ」という言葉には、人によってどんな意味合いを持つか結構曖昧である。
例えば、「ストーリー」。
実は○○が犯人だったんだよ。とか、「なんで犯人言うんだよ!」という怒り。
いやいや、内容もたいしたものだよ!といっても肝心な「驚き」が足りなくなる。
例えば、「本質」や「テーマ」。
○○が犯人だった、トリックのネタバレは良しとしても、この小説のテーマは○○であり、あれは〜こういう解釈だった…のような類。こちらは、ストーリーバレではないし、人の解釈によっても変わってくるので、まあ、ギリギリなんじゃないかな?ただ、説明するのに最低限の情報量は必要だから、感がいい人にはバレる可能性がある。
この『その女アレックス』に関して呼んでから、ネタバレ探ったり、他の人の感想文を見ていないので、どうこう言うつもりはないけれど、この作品「ネタバレ」は厳禁だろうが、それ以上に二転三転する物語に、果たして自分は何を呼んでいるのか?と問う。ただ、単に「ネタバレ」と言っても緻密に作られたこの物語の面白さは損なわれないだろう。
ーここから軽くバレ含みますー
本屋で手に取ったときに「表紙から察し、女が「監禁」される話なんだろうな」ということが容易にわかると思う。それは間違ってもいないのだけど、序章に過ぎない。
説明なく、監禁されると「なぜ監禁されるのだろうか?」と考える。単純に『隣の家の女』のように監禁をピックアップさせて拷問を描くって作品ではなく、「なぜ?」と見る者に問いかける。
事前情報なく読んでいると「実はアレックスって男だったんじゃないのか?」なんて雰囲気でページをめくっていたのだけど、そんな「叙述トリック」的な爽快感はなく、ひたすら「このアレックスは一体なんなのだ?」という疑問が物語を牽引する。
本書は、第一部〜第三部に構成されており、それぞれ「監禁」「殺人」「呪い」というジャンルに物語を変えてくる。3部目で全てが明らかになるのだが、1部を読んでいた頃には、こんな風に締めくくるとは思ってもみなかったと思うだろう。単純なオチによる衝撃というより、自分が、「アレックス」に翻弄される気分。
恐らく既に多くの方々が読まれているかと思いますが、読まれていないのならオススメしときます。
- 作者: ピエールルメートル,橘明美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/09/02
- メディア: 文庫
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