映画

祝!『ユーリー・ノルシュテイン作品集』2K修復版Blu−ray 『ソング・オブ・ザ・シー』『レッドタートル ある島の物語』Blu−ray発売

『ユーリー・ノルシュテイン作品集』の2K修復版がBlu−rayで発売!上映は東京からスタートしていて名古屋でもすでに公開されていたのだけど、あまり大きいスクリーンではないから行くのを渋っていたのだけど、なかなか熱い展開になってきた。【初回限定版】ユ…

『コングレス未来学会議』覚書――夢と現実の差異

年始ゴロゴロお正月休みを過ごしていた時に、未見映画を消化していたのだけど『コングレス未来学会議』これには心底驚かされた。コングレス未来学会議 [Blu-ray]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2016/02/17メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ …

2016年に見た新作映画ベスト10

2016年もグラインドコアのように音速で駆け抜けました。もう目の前に2017年が立ちふさがっています。年末最後の更新なので総まとめ的に……今年も音楽とアニメを両立させてたくさん映画が見れました。素晴らしいバンドに出会ったり、人生ベストに入るアニメに…

血を!肉を!魂を!戦争映画ベストテン

今年も早いもので12月!そして『男の魂に火をつけろ』のワッシュさんのベストテン企画に参加させていただきます。今年は「戦争映画」ということでこのような結果になりましたー。ワッシュさん集計お願いいたします。 2016-10-31 キートンの大列車追跡(バス…

片渕須直『この世界の片隅に』感想――記憶を記録として残すこと

今年はアニメ映画がたいへん賑わっている。新海誠監督『君の名は。』が興収200億円が見えてきてポスト宮崎と呼ばれたり、『聲の形』も大ヒットしている。ツイッターなどを見ていてもアニメファンのみならず、広い層に受け入れられていると感じる。そして、ク…

酒はどこへ行った ‐ ホン・サンス『あなた自身とあなたのこと』感想

ベルトラン・ボネロの新作が東京国際映画祭(以下、TIFF)にて土日に掛からないことを恨みながら、ホン・サンスの新作『あなた自身とあなたのこと』を見てきた。ホン・サンスは『次の朝は他人』や『カンウォンドの恋』あたりの少し切ない感じの作品が好きだ。…

ヤりたいからヤるんでしょ? - 岩切一空『花に嵐』感想

PFFアワード2016・コンペ部門の準グランプリ作品(PFFアワード2016『花に嵐』|第38回PFF)。ツイッタ−でフォロワーさんが絶賛していたので青山シアターにて鑑賞(公開は10月23日まででした)。大学に入学した主人公が映画研究部に入り、部室の置いてあるカ…

アイドル成分100パーセント! ‐ 山下敦弘『超能力研究部の3人』感想

当時タイミングが合わず見れなかった山下敦弘『超能力研究部の3人』(2014)がHuluに入っていたので、2週間無料トライアルを有効活用して見た。短めの感想というか覚書 「ぜんぶウソ。っていう、ホント。」 映画はフィクションであれドキュメンタリーであれ…

肖像画に残される想い−黒沢清『ダゲレオタイプの女』感想

『クリーピー』に続き今年2本目の黒沢清『ダゲレオタイプの女』を見た。まずは結論からいうととてもよかったと思う。素直に面白かった。『リアル』以降の黒沢清の長編映画って『クリーピー』もそうなんだけど、どこかぎこちなさっというか違和感があっていい…

夏に見た新作映画

夏からの備忘録ですが、感想書いていなかったのを抽出してみました。殆どFilmarksには上げていますが多少アップデートしています。今週末からは『ダゲレオタイプの女』が始まりますね。これまた楽しみだ。 『ライト/オフ』デビッド・F・サンドバーグ 「もし…

3年後の『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』と『君の名は。』

気がつけば早いもので『まどマギ叛逆の物語』から3年*1近く経っている。2013年は宮崎駿の『風立ちぬ』や高畑勲の『かぐや姫の物語』とジブリの重要作品が公開された。他にも今や話題の新海誠『言の葉の庭』も公開された年であり、単に売上だけで見た話であれ…

ショットと音響による演出 - マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット『レッドタートル ある島の物語』感想

『お坊さんと魚』や『岸辺のふたり』のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督『レッドタートル ある島の物語』を見てきた。ドゥ・ヴィット監督作品をシネコンの大画面で見れるのは奇跡でしかないように思える。実写でいえばゴダールやスコリモフスキをシネ…

山田尚子と「投げること」 - 映画『聲の形』 演出・感想 (ネタバレあり)

山田尚子『聲の形』鑑賞してきた。山田尚子映画としては『たまこラブストーリー』(2014)ぶりでしたね。先に結論を言っておくと傑作だと思いました。印象的なことから言えば切れ味抜群のカッティングによる様々なイメージの連鎖。エレクトロニカ的な劇伴も…

アニメ(イメージ)であるということ‐『ちいさなほしのゆめ』と『planetarian 星の人』覚書

2004年のKey原作作品ということで特にKeyファンでもゲームファンでもないので知らなかったんですが、配信版のアニメ『ちいさなほしのゆめ』は全部見ていたので鑑賞してきました『planetarian 星の人』。物語の構成は『ちいさなほしのゆめ』でほしのゆめみと…

ケント・マッケンジー『The Exiles エグザイル』(『異郷生活者たち』)覚書

先日東京へ帰省したタイミングと合ったのでPFFにてケント・マッケンジーの『The Exiles エグザイル』*1を鑑賞した。この作品アメリカではソフト化されていますが、日本では発売されていません。海外盤は字幕もないのでいいタイミングで見れたと思う。先に結…

「悩まない」ことについて−『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』覚書

リブート『ゴーストバスターズ』にも行かず、スコリモフスキの『イレブン・ミニッツ』に落胆し『ライト/オフ』も鳴かず飛ばずといった先週末を過ごしていたのですが、何気なしにTL(の極一部)でヒットしていた『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シ…

起源をめぐる冒険/トム・ムーア『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』感想

アイルランドの監督が地元の民話ベースに東映アニメへオマージュを捧げながら傑作を作り上げた。いやはや恐れ入ったとはこのことだろうか。どうも『わんぱく王子の大蛇退治』のキャラクターデザインを意識しているようだが、それだけではなく東映アニメのよ…

赤い紐が繋ぎとめるもの/新海誠『君の名は。』 感想 ※ネタバレ含む

新海誠『君の名は。』を見た。見ている前提で感想を書いているので物語・演出のネタバレをしています。画面いっぱいに広大な空(雲)が映され、そこにひとつの赤い物体が線状に帯びて落ちてくる。まるで幻想風景のように美しいそのシーンは、遠くにいるある…

小澤雅人 『月光』を見た(感想)

シネマスコーレにて小澤雅人『月光』を見た。 「月光には何か不思議な魔力でもあると云うの?」 「伽噺じゃあるまいし。月は太陽の光を反射しているだけさ。だからね、太陽の光は動物や植物に命を与えてくれるけれども、月の光は一度死んだ光だから、生き物…

「日陰」と「階調」/尾石達也『傷物語〈II熱血篇〉』感想(演出メモ)

尾石達也『傷物語〈II熱血篇〉』を見た。『鉄血篇』と比べても面白かった。前作(『鉄血篇』)はドラマツルギーと戦う前に暦が吸血鬼になるところまでの物語で、描き方によってはもっとコンパクトにまとめられたように見えた。ただそれは時間をわざと間延び…

ドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』の覚書

先日公開ぶりにドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009)を見てすこぶる面白かったので気になったシーンのメモ書き。冒頭からネタバレしているので見ていない方は注意を。いきなりラストシーンを触れるのだけど、エレンペイジのチームと…

何も変わらなかった空気『ラブ&ポップ』と『アカルイミライ』

『ラブ&ポップ』(庵野秀明/1998/日本)・『アカルイミライ』(黒沢清/2003/日本) 「1999年7か月、空から恐怖の大王が来るだろう」 1999年に恐怖の大王が地球を滅ぼすと予言したノストラダムスの大予言。これ本当に実現したら今こうやって当たり前のように…

庵野秀明・樋口真嗣の『シン・ゴジラ』覚書

庵野秀明・樋口真嗣の『シン・ゴジラ』を見た。突然だけど「映画に希望を見出した!」といった文言をみると気恥ずかしいというか、どうしても「希望」をテーマとかメッセージ性がどうとか、、、と唱えていると何かスッと手元からこぼれ落ちていくようであま…

ジェームズ・ワン『死霊館 エンフィールド事件』を見た(雑感)。

『死霊館』より早3年、待望のシリーズ最新作『死霊館 エンフィールド事件』を見た。簡単なメモ書きのような雑感です。映画の冒頭、ウォーレン夫妻は悪魔払いの調査中のようだ。幽体離脱をしたかのように自分の身体を横目にロレインは、家の中で寝ている家族…

現実と虚構の揺らぎ/森達也『FAKE』を見た(感想)。

森達也『FAKE』を見た。今年のドキュメンタリー映画は豊作で、既に『ヤクザと憲法』、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE in 台湾』などの傑作が公開されている。森達也の『FAKE』もそこに加えることが出来る傑作だ。本作は2014年にゴーストライター…

2016年上半期に見た新作映画ベスト10

さて今年も残すところ半分になってしまいました。たくさん映画を見たなーと思いながらも、案外見ていないかもなーなんて思ったり、日々の疲れがどっと出たり、日々暑いしで大変なシーズンです。じゃあ恒例の上半期ベストを。 中島みゆき 夜会VOL.18 橋の下の…

映画の誘惑とシステム/黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』(感想・ネタバレあり)

黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』を見た。(ネタバレ=物語・展開についても触れています)『クリーピー 偽りの隣人』初日に行ってきた。『リアル〜完全なる首長竜の日〜』、『岸辺の旅』とテン年代に入ってからの黒沢清の長編映画はどうもしっくりきていな…

今年は『クリーピー』と『ダゲレオタイプの女』が公開されるので何となく黒沢清7選

今年は『クリーピー偽りの隣人』と『ダゲレオタイプの女』と黒沢清の映画が2作品も公開される。『一九〇五』こそ企画倒れなってしまったが、『リアル』以降は、『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』(2013,短編)、『Seventh Code』(2014,…

映画が見たけりゃバットを振れ!『ビリギャル』(テキトーな雑感)

どうやら黒沢清が『ビリギャル』を絶賛していたらしい…といった話を数ヶ月前に聞いて、「うおおおお見なきゃ」とか思う前に記憶の片隅から消え去り、先日WOWOWで放送してたのでラッキーと思い録画してボチボチ鑑賞。『トウキョウソナタ』撮っているときにた…

とりあえず殴ってみようか?/黒沢清『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』感想

『クリーピー』の公開が近いし、黒沢清でも再見しようかなーと思いつつ、『東京藝術大学大学院映像研究科映画選考第七期生修了作品集2013』(タイトル長)に収録されている黒沢清の短編『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』を見ていなかっ…