ドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』の覚書

先日公開ぶりにドリュー・バリモアローラーガールズ・ダイアリー』(2009)を見てすこぶる面白かったので気になったシーンのメモ書き。冒頭からネタバレしているので見ていない方は注意を。

いきなりラストシーンを触れるのだけど、エレンペイジのチームとライバルチームの決勝戦が終わった後のシーン。そう、「腕立て伏せ」をしている司会の男なんだけど、このシーンがいいんだよね。というのも、エレンペイジのチームは決勝戦で敗れている。一般的な映画であれば、「エレンペイジの試合姿を見て親が理解を示し、しかも優勝しましたー!親子仲良し〜(じゃんじゃん」みたいなのがハッピーエンドだと思うんだけど、その辺ハズしてくるんだよねこの映画は。でもエレンペイジのチームもまるでお祭りのように騒いでいるし、この腕立て見て祭りシーンってものすごく映画的だなって思った。

エレンペイジのチームが負けてしまったけど「ナンバー2!ナンバー2!」と喜んでいる。毎年ビリチームだったわけだけど、映画の序盤でも同じように「ナンバー2!ナンバー2!」と喜んでいるシーンがある。その試合では2チーム中2位なのでビリなわけだけど、ラストシーンで反復されるんだよね。それと「祭(的な)」シーンももう一つあって。エレンペイジがイメージガールとしてポスターになったシーン。優勝したチームのリーダーが吹っかけてくる。ここで喧嘩となってまるでパイ投げのような混沌としたシーンに繋がるんだけど、そこでパッとすぐにシーンが変わる。この混沌さってどうも冒頭の腕立てシーンのように衝動的だし、その行為のみが画面に映えているように見える。

ローラースケートに理解を示す親といった背景があるので、優勝しなくても物語は成立する。凝り固まった頭をほぐすようにエレンペイジは次々に追い抜いて飛び越えていくんだよね。だから膨れ上がったエモーションが腕立て伏せを通じて画面が続いていく。最後の最後まで混沌としていてハチャメチャで停滞がないからめちゃくちゃ面白い。ゼロ年代屈指の傑作だと思う。しかしながらドリュー・バリモアもう一本撮ってくれないだろうかね。

ローラーガールズ・ダイアリー [DVD]

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