2017-01-01から1年間の記事一覧

富田克也『国道20号線』(2011)感想

曇天模様の空を見上げながら肌にベタっと張りつく湿気に思わずしかめ面をする。「名古屋の夏がやってきた」と、先日からクーラーをつけ始め、人類はなんだかんだすごいのだなと感心していたが、その文明をもってしても景気は一向によくならないし、世界がい…

年代別映画ベストについて

ついこの間、何度目かのハッシュタグ遊びが流行っていて、自分も色々と出したのでそれのまとめです。ツイだと流れてしまうので。ツイの文字数制限上10作品の見映えが良かったので10選にしています。■21世紀ベスト ガーゴイル (クレール・ドニ) 魔法少女ま…

2017年上半期に見た新作映画ベスト10

今年も早いもので気がつけば半年経過してるらしいです。例年のごとく映画を見る日々が続いております。見逃した映画もたくさんあるのですが、上半期は心霊ビデオを入れて63本見ていたようです。下半期はジェームズ・グレイやボネロの新作が待ち遠しいのです…

少し遅れてきたボーイ・ミーツ・ガール――アダム・レオン『浮き草たち』感想

今年はボーイ・ミーツ・ガールが調子がいい。時代や容姿を飛び越えて異形なモノとの出会いを描いた『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』はこれまでのティム・バートンの総決算的な映画で、優しさがあふれた愛おしい映画だった。昨年、東京国際映画祭で上…

物語から遠く離れて――M・ナイト・シャマラン『スプリット』感想

M・ナイト・シャマラン『スプリット』を見た。短め感想。『スプリット』及び彼の過去作品の結末(次の段落から早速してます)にも言及しているので注意してください。どんなに結末だけの人と言われようともシャマランのよさって、彼の作家性の極地である『レ…

『映画秘宝EX 究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』を読んだ

人さまのベストを見るのはとても楽しいことだ。ベストを見る行為はその人の人となりが見えてくる…といったことが言われるが実のところ、人となりが見える/見えないってのは鑑賞者側が勝手に思惑を推測したりする愉しみのひとつ。まあ、真実が見えるかといわ…

「アニメクリティークvol.6.0 新房昭之ノ西尾維新、『傷物語』完結記念号」への寄稿について

告知です!このたび、5月7日(日)に開催される文学フリマで発売開始となる、「アニメクリティークvol.6.0 新房昭之ノ西尾維新、『傷物語』完結記念号」に寄稿させていただきました。企画主旨等は以下リンク先をご覧ください。場所は「カ-31〜32」です。 文…

ウィルソン・イップ『イップ・マン 継承』感想

17年上期で最も楽しみにしていた映画『イップ・マン 継承』を見に行ってきた。(以下、タイトルを『継承』と略します)物語の始まりはマイク・タイソンが「あの小学校の土地がほしい」と、部下たちに小学校を襲わせるところから。たまたまその学校に通ってい…

ポップに!ディープに!繋げよ乙女『夜は短し歩けよ乙女』感想

一夜の映画がこれまでポップであってもいいのだろうかと思うくらいに、『夜は短し歩けよ乙女』は黒髪の乙女がポップな世界に没入していく。黒髪の乙女が一夜にして体験した不思議な出来事は洗礼といったものだろうか。今まで彼女が体験してこなかった出来事…

『イップ・マン 継承』が公開されたので何となくドニー・イェン ベスト5選+α

みんな大好きドニーさんの主演新作の『イップ・マン 継承』がやっと公開(地方順次公開)とのことでTLも賑わっておりますので、この勢いのままドニーさんベストをやってみようといったことに。といっても、ドニーさん主演作品を全て見ているわけではないので…

続『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナの総合力

2017年4月2日で放送開始から『少女革命ウテナ』20周年ということで先日からやっているエントリー。『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナとの出会い - つぶやきの延長線上ウテナは『美少女戦士セーラームーン』でシリーズ・ディレクターや『劇場版美少女…

地獄でド派手にドンパチやるぜ!『キングコング: 髑髏島の巨神』を見た!!!感想

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ『キングコング: 髑髏島の巨神』IMAX 3Dで鑑賞。物語はベトナム戦争後、未知の島・髑髏島を発見したアメリカが、ロシアより早く地質調査に踏み切るぞと、軍隊を引き連れ満を持して髑髏島を目指すが、そこはバケモノが済む地獄…

『少女革命ウテナ』20周年に向けて――ウテナとの出会い

あまり普段こういうことを書かないのですが、永遠のアニメ・オールタイムベスト・ナンバーワンである『少女革命ウテナ』が、2017年4月2日を持って1997年4月2日の初回放送開始から20周年ということで、ウテナとの出会いを書いておきたいな…といった気持からの…

ガース・ジェニングス『SING/シング』(字幕版)を見た【感想】

先日℃-uteの『To Tomorrow/ファイナルスコール/The Curtain Rises』リリイベ*1の待ち時間の合間に『SING/シング』を見てきたのだけど、これが傑作でした。イルミネーション・エンターテイメントは『ミニオンズ』撮ったところだったよな〜程度しか覚えてなか…

インターネットでの再放送――久しぶりに『輪るピングドラム』(2011)をAbemaTVで見返した

ツイッターでやたらやかましく宣伝活動をしてたのだけど、AbemaTVで『輪るピングドラム』(2011)を鑑賞した。『ピングドラム』は2010年代のなかでもベストクラスに好きだし、オールタイムベストを考えても少なくても100本に入るだろう。好きな作品なので個…

ある日、山から帰ってきたら人が変わってしまっていた――ナ・ホンジン『哭声/コクソン』感想

ナ・ホンジン『哭声/コクソン』を見た。(演出について書いていますが、物語の結末には触れていません)古くからの言い伝えで「神隠しにあった」とか、「道を歩いていたらいつの間にかに全然違う場所にいた」といった物語がある。どうだろうか、最近だとデ…

スティーブン・キジャック『WE ARE X』感想

スティーブン・キジャック『WE ARE X』鑑賞。『DAHLIA』から既に21年経ちアルバムを作るんだか、壊しちゃったんだか、そんなことばかり持ち上げられるYOSHIKIですが、長年のファンとして『WE ARE X』は足を運ばざるを得ないというか、見なければならない義務…

恋愛の不格好さ――デミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』感想

恋愛に夢中になると「この人とどんな風に歩んでいくのだろう」と未来に希望を見出したり、本当にうまくいくのだろうかと、少し不安になったりする。もちろん、全てが上手くいくわけでもなく、喧嘩したりしまいには破綻することもあるだろう。あの時あーして…

舞い落ちる黄色い葉――『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』第七話・第八話【感想】

例のごとくスロースターターの僕は『ACCA13区監察課』くらいしか追えていなかったのだけど、HDDにたまってた『落語心中』2期を見たら、あまりにも傑作で感動した。1期のときから素晴らしき声優たちの活躍、劇伴とショットの選択など、完璧な作品だと思ってい…

今、このアクション映画がアツい!『トリプルX:再起動』と『ドラゴン×マッハ!』!!!!!!

アカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』と思いきや、『ムーンライト』だったということで世間がざわざわしているらしいですが、アクション映画界隈というかドニ―・イェン大好きクラスタたちの間では、『トリプルX:再起動』の話題で持ちきりのタイムライン!僕も…

嘘っぽさがつきまとう――ロバート・ゼメキス『マリアンヌ』感想

ロバート・ゼメキス『マリアンヌ』たいへん素晴らしかった。ゼメキス新作は『フライト』ぶりに鑑賞。昨年『ザ・ウォーク』をスルーしてしまったのだけど、そちらも見なきゃな〜と。スパイものというと昨年スピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』があった…

ジョン・ヒューストンの『ゴングなき戦い』をBlu−rayで見たよ!

ジョン・ヒューストンの『ゴングなき戦い』(1972)をBlu−rayで見たよ!この前夜中にAmazon徘徊していて、『ゴングなき戦い』Blu−ray出てたんだ!!って衝撃(しかも結構前)を受けて即ポチした話(他にも『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』ク…

『ハイキュー‼』3期までイッキミした(覚書)

昨年『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』が話題になっていたのと、フォロワーさんも激押ししていたのでぜひ見たいなと思っていた『ハイキュー‼』でしたが、なんとか1期から3期まで見れた。初めは1ヵ月くらいかけるかな〜と思ってけど、王道ジャンプ…

村瀬修功『虐殺器官』覚書

Project Itohとしては『屍者の帝国』、『ハーモニー』に続いて3作目になる『虐殺器官』を見てきた。個人的な伊藤計劃についての思い入れはあまりなくて、『ハーモニー』は好きだけど『虐殺器官』に関しては殆ど忘れていて映画を見ながら物語も思い出した。SF…

時間と空間の生成術――ペドロ・コスタ『蓮實教授との三時間、日本の列車の車中にて』

ツイッタ―にも書いたんですが、何度か繰り返し読んでいる『蓮實教授との三時間、日本の列車の車中にて』。これは『論集 蓮實重彦』に収録されている映画監督ペドロ・コスタの寄稿文。本論集のなかでも、短い文章で、さらっと読めてしまうのだけど、ひとつの…

出崎統『劇場版エースをねらえ!』について

先日放送された「ニッポンアニメ100年史」にて、庵野秀明と押井守が出崎統について語ったらしい。特に『オンリー・ユー』で「映画ではない」と気づいた押井守は『劇場版エースをねらえ!』を繰り返し見て、アニメを映画にする方法を学んだというのは有名な話…

これぞ日本のカルト・ノワール!――中平康『猟人日記』(1964)感想

中平康『猟人日記』(1964)を見た。中平康って『狂った果実』(1956)が有名で、大学生のころに「ヌーヴェルヴァーグに影響を与えた」とか評判で『狂った果実』を見たんだけど、全然面白くなくて「まだまだ修行が足りないんだな」とか思ってた。社会人にな…

『ViVid Strike!』#5.5「総合魔法戦競技」感想

『ViVid Strike!』Blu−ray2巻の特典 #5.5「総合魔法戦競技」を見た。 絵コンテ:のりみそのみ 演出:新子太一 アクション監修:飯野まこと 作画監督:池田広明 楽しみにしていた『ビビスト』の特典エピソード。5.5話は本編でいうと、リンネがジルと出会う5話…

2010年代の水樹奈々最高傑作!――水樹奈々『NEOGENE CREATION』感想

前作よりわずか1年1か月という超ハイペースでリリースされた、水樹奈々12枚目のフルアルバム『NEOGENE CREATION』。前作『SMASHING ANTEHMS』も1年半という短期間でのリリースとなったが今回はさらに短かった。昨年は夏ツアーをやらなかったので普段よりは時…

アニメ鑑賞しているとつきまとうこと

いまさらながら新米小僧さんが集計された『話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選』の投票集計をじっくり見ていた。 「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」投票集計: 新米小僧の見習日記 1位の『ユーフォ』5話は自分も選んだけど、1期から通してみても上位の…