2016-01-01から1年間の記事一覧

起源をめぐる冒険/トム・ムーア『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』感想

アイルランドの監督が地元の民話ベースに東映アニメへオマージュを捧げながら傑作を作り上げた。いやはや恐れ入ったとはこのことだろうか。どうも『わんぱく王子の大蛇退治』のキャラクターデザインを意識しているようだが、それだけではなく東映アニメのよ…

赤い紐が繋ぎとめるもの/新海誠『君の名は。』 感想 ※ネタバレ含む

新海誠『君の名は。』を見た。見ている前提で感想を書いているので物語・演出のネタバレをしています。画面いっぱいに広大な空(雲)が映され、そこにひとつの赤い物体が線状に帯びて落ちてくる。まるで幻想風景のように美しいそのシーンは、遠くにいるある…

今更見た『プリパラ』1stシーズンの覚書

前々から見よう見ようと後回しにしてきて気づいたら100話超えていた『プリパラ』重い腰を上げて見たんだが、これが全話捨て回がなくメチャクチャ面白いという奇跡的なアニメだった。一気に1stシーズンを見終えたので簡単に感想を残しておこうと思う。『プリ…

小澤雅人 『月光』を見た(感想)

シネマスコーレにて小澤雅人『月光』を見た。 「月光には何か不思議な魔力でもあると云うの?」 「伽噺じゃあるまいし。月は太陽の光を反射しているだけさ。だからね、太陽の光は動物や植物に命を与えてくれるけれども、月の光は一度死んだ光だから、生き物…

『宇宙パトロールルル子』についての覚書

春〜夏とあまりアニメのことをかけなかったので思い出したかのように『宇宙パトロールルル子』について簡単な記録を。今石作品では『パンスト』ぶりに面白かったんじゃないかな。これ見て『キルラキル』みたいな“重い”のやるんじゃなくて、語りの速さや“軽さ…

「日陰」と「階調」/尾石達也『傷物語〈II熱血篇〉』感想(演出メモ)

尾石達也『傷物語〈II熱血篇〉』を見た。『鉄血篇』と比べても面白かった。前作(『鉄血篇』)はドラマツルギーと戦う前に暦が吸血鬼になるところまでの物語で、描き方によってはもっとコンパクトにまとめられたように見えた。ただそれは時間をわざと間延び…

ドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』の覚書

先日公開ぶりにドリュー・バリモア『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009)を見てすこぶる面白かったので気になったシーンのメモ書き。冒頭からネタバレしているので見ていない方は注意を。いきなりラストシーンを触れるのだけど、エレンペイジのチームと…

出崎統『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』(1990/TV)・演出メモ

先日『劇場版エースをねらえ!』が再発されてご機嫌がいいここ最近ですが、勢いあまって出崎ルパンまで再見しまくっててさらにご機嫌がいいので小ネタというかメモ書き。1990年のテレビスペシャル枠の『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』(監督・絵…

何も変わらなかった空気『ラブ&ポップ』と『アカルイミライ』

『ラブ&ポップ』(庵野秀明/1998/日本)・『アカルイミライ』(黒沢清/2003/日本) 「1999年7か月、空から恐怖の大王が来るだろう」 1999年に恐怖の大王が地球を滅ぼすと予言したノストラダムスの大予言。これ本当に実現したら今こうやって当たり前のように…

坂本真綾『LIVE TOUR 2015-2016“FOLLOW ME UP”FINAL at 中野サンプラザ』- ベストソング 3選

2015年-2016年はデビュー20周年という節目の年を迎えた坂本真綾を再認識する年だった。トリビュート・アルバム『REQUEST』の発売。さいたまスーパーアリーナでの記念LIVEとその様子を収録した映像作品の発売。厳島神社でのLIVE。オリジナルアルバム『FOLLOW …

庵野秀明・樋口真嗣の『シン・ゴジラ』覚書

庵野秀明・樋口真嗣の『シン・ゴジラ』を見た。突然だけど「映画に希望を見出した!」といった文言をみると気恥ずかしいというか、どうしても「希望」をテーマとかメッセージ性がどうとか、、、と唱えていると何かスッと手元からこぼれ落ちていくようであま…

最近聴いた音楽vol.8

完全に季節は夏になりました。これからもものすごい来日ラッシュが続きますねー。なんて雑談もテキトーになってきましたが、いつものやつです。 NAILS 『You Will Never Be One of Us』 YOU WILL NEVER BE ONEアーティスト: NAILS出版社/メーカー: NUCLE発売…

『PRANK! Vol.3 Side-A 水島精二評論集/Side-B 水島努評論集』への寄稿

羽海野渉(@WataruUmino)さんの『PRANK! Vol.3 Side-A 水島精二評論集/Side-B 水島努評論集』へ『SHIROBAKO』について書かせていただきました。 【C90新刊】PRANK! Vol.3 Side-A 水島精二評論集/Side-B 水島努評論集 刊行! - 惑星ノート LandScape plus…

ジェームズ・ワン『死霊館 エンフィールド事件』を見た(雑感)。

『死霊館』より早3年、待望のシリーズ最新作『死霊館 エンフィールド事件』を見た。簡単なメモ書きのような雑感です。映画の冒頭、ウォーレン夫妻は悪魔払いの調査中のようだ。幽体離脱をしたかのように自分の身体を横目にロレインは、家の中で寝ている家族…

2016年上半期に行ったLIVE+雑感

記録していないと忘れてしまうので、淡々とライヴ鑑賞記録書きます。ちょっとした雑感付き。おそらく今年のライヴはじめは昨年末の坂本真綾のカウントダウンライヴの後半戦なんだろうけど、昨年書いてしまったのでそちらは省きます。上半期19本なかなかちょ…

現実と虚構の揺らぎ/森達也『FAKE』を見た(感想)。

森達也『FAKE』を見た。今年のドキュメンタリー映画は豊作で、既に『ヤクザと憲法』、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE in 台湾』などの傑作が公開されている。森達也の『FAKE』もそこに加えることが出来る傑作だ。本作は2014年にゴーストライター…

2016年上半期に見た新作映画ベスト10

さて今年も残すところ半分になってしまいました。たくさん映画を見たなーと思いながらも、案外見ていないかもなーなんて思ったり、日々の疲れがどっと出たり、日々暑いしで大変なシーズンです。じゃあ恒例の上半期ベストを。 中島みゆき 夜会VOL.18 橋の下の…

映画の誘惑とシステム/黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』(感想・ネタバレあり)

黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』を見た。(ネタバレ=物語・展開についても触れています)『クリーピー 偽りの隣人』初日に行ってきた。『リアル〜完全なる首長竜の日〜』、『岸辺の旅』とテン年代に入ってからの黒沢清の長編映画はどうもしっくりきていな…

今年は『クリーピー』と『ダゲレオタイプの女』が公開されるので何となく黒沢清7選

今年は『クリーピー偽りの隣人』と『ダゲレオタイプの女』と黒沢清の映画が2作品も公開される。『一九〇五』こそ企画倒れなってしまったが、『リアル』以降は、『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』(2013,短編)、『Seventh Code』(2014,…

映画が見たけりゃバットを振れ!『ビリギャル』(テキトーな雑感)

どうやら黒沢清が『ビリギャル』を絶賛していたらしい…といった話を数ヶ月前に聞いて、「うおおおお見なきゃ」とか思う前に記憶の片隅から消え去り、先日WOWOWで放送してたのでラッキーと思い録画してボチボチ鑑賞。『トウキョウソナタ』撮っているときにた…

とりあえず殴ってみようか?/黒沢清『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』感想

『クリーピー』の公開が近いし、黒沢清でも再見しようかなーと思いつつ、『東京藝術大学大学院映像研究科映画選考第七期生修了作品集2013』(タイトル長)に収録されている黒沢清の短編『ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト』を見ていなかっ…

AbemaTVで絶賛放送中の『少女革命ウテナ』話数ベスト10選

もう6月だっていうのに春アニメは『文豪』『ジョジョ』『マクロス』しか見ていない体たらく。最低限『三者三葉』『ふらいんぐうぃっち』『コンレボ』『アスタリスク2期』あたりは手をつけたいのだが、5月末までバンチャで見放題対象だった『ウルフズレイン』…

「暴力」に”ふれる”−真利子哲也『ディストラクション・ベイビーズ』感想

人を殴ったり、喧嘩したりってのは道理がある。「暴力」というものは日常と隣り合わせであり、いつ突発的に人を殴ったり、殴られたり、最悪の場合は殺人事件に巻き込まれる…。ある意味「暴力」は起こすというよりも、あるとき自然に”触れて”しまうものなのか…

最近聴いた音楽vol.7

サボり気味の音楽記事更新。6月も各地熱いイベントがあるし、色々と遠征したいが4月に遊びすぎたので自粛モード。さてさてテキトーに。◼Fight it out 『Locos Only』横浜の凶悪ハードコア・バンドFight it outの2014年作。先日のweekend nachosラストツアー…

『ザ・デクライン III』と『ぼくら、20世紀の子供たち』のフィクション性

先日、長らくソフト化されていなかったロサンゼルスの音楽シーンを捉えたドキュメンタリー映画『ザ・デクライン』(1981)と、『ザ・デクライン III』を見ることができた。『ザ・デクライン』はBLACK FLAGを代表とし1979-1980のバンドたちの活動をライヴや…

最近見た新作映画 春ーGW

さてさて暑くなってきましたゴールデンウィークまっさかり。GWといっても映画を見てアニメを見てライヴを見てって生活は変わらないわけですがね。そういえばCCさくらの中学編なるものが始まるらしいですね。これは歴史的事件ですよ。とか話題をそらしながら…

松田龍平がモヒカンにした理由『モヒカン故郷に帰る』(感想)

「世の中全ての事象に意味があるとは思わないほうがいい」殺人犯が逮捕されたときに犯人の身辺を洗い出し犯人像をマスコミは勝手に予想する。犯人はただむしゃくしゃしていたから人を殺したかもしれないし、偶然殺してしまったかもしれない。ただ人間は何も…

祝!出崎統『劇場版 エースをねらえ!』『劇場版 あしたのジョー2』のBlu-ray再発!-アニメと映画の関係について-

廃盤になってからAmazonのマケプレやオークションでプレ値がついていた出崎統の『劇場版エースをねらえ!』(1979)と『劇場版 あしたのジョー2』(1981)が、Blu-rayで再発売されることが決定した。 出崎統監督の傑作劇場アニメ「エースをねらえ!」「あし…

まさに”フリースタイル”な水樹奈々!/水樹奈々:NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016 (GENESIS,FRONTIER) 東京ドーム 2DAYS レポ(セトリあり)

さて待ちに待った水樹奈々さんの『NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016』東京ドーム公演に参戦してきました。東京ドームでライヴに参戦したのは08年のX JAPAN復活以来なのでめちゃくちゃ楽しみだった。それに、もともと水樹奈々さんのライヴに行きたいと思うように…

水樹奈々:NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016

水樹奈々さんの第2回目となる東京ドーム2DAYSまで一週間を切りました。きたる4月9日・10日は海外からパワーヴァイオレンス、スラッジコア、ジャパコアの伝説的バンドや各地方ものすごいイベントだらけなので、どうしよーーー。なんて悩んでいたのですが、前…