『宇宙パトロールルル子』についての覚書

春〜夏とあまりアニメのことをかけなかったので思い出したかのように宇宙パトロールルル子について簡単な記録を。今石作品では『パンスト』ぶりに面白かったんじゃないかな。これ見て『キルラキル』みたいな“重い”のやるんじゃなくて、語りの速さや“軽さ”をやるべきなんだなって思った。それが可能だったのはショートアニメだったのも理由だろうか。画面の派手さと、語りの重さってのは相反していて、いくら流子が流されるままの一見“軽く”見えるキャラクターだったとしても展開が遅すぎた。その場でバタバタと足踏みしているように見えた。対して『ルル子』まずタイトルから忙しい。『宇宙パトロール(の or ・)ルル子』ではなくて、『宇宙パトロールルル子』パトトールとルル子の間に間髪いれない。いくらトリガー5周年だからってもったいぶって溜める必要がない。勢いだ!っと意志を感じる。

タイトルフォントも「ルルル」の「ル」は全て同じ大きさ。どの「ル」だって等価ってことがわかる。等価なのはドラマにもかかわってきて、学生でも宇宙パトロールになれちゃう。ルル子は普通を目指しているけど、普通って結局は「個人」ではなくて、人の集合体で平均値、最大公約数でしかない。映画評論家の町山智浩がベストの集計を見るより、それぞれ何を選んだかって見るのが面白いってよく語っているように、ひたすら「普通」であろうとするルル子が何をしていくのかって5分でパパッと見せる。語りがスピーディーでデーハーな作画がキマっていてインパクトが残る。その本編の語りの速さがあるから、エンディングテーマの遅さが際立つんだよね。余韻が残るように設計されている。

すべてが理屈では動いていないんだよね、まるで中身が空っぽのように身軽だから考えられないような速さを獲得できている。ブラックホール星人の目的も「ときめきジュエル」であり、くだらない初恋つまり「価値がないモノ」を欲する。初恋は誰にでも体験しうる普遍的なモノであり、ある意味くだらないモノ。実際に初恋の理由なんてくだらないものだったりする。だけど初恋のインパクトは強い。理屈がないから(身軽だから)、速さが際立つドラマが生まれている。また自社(and今石)パロディ(グレンラガン,パンスト,キルラキルリトルウィッチアカデミア…)によっても軽さを獲得できている。やりやすさという仕事的な側面もあるかな。

あとアニメ(ーター)見本市の『SEX and VIOLENCE with MACHSPEED』をやっていたのも功を奏したというか、この速さを実践しているもんね。うん、とにかく春〜夏アニメであれば上位に来る面白さだったと思いましたよルル子!

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