祝!出崎統『劇場版 エースをねらえ!』『劇場版 あしたのジョー2』のBlu-ray再発!-アニメと映画の関係について-
廃盤になってからAmazonのマケプレやオークションでプレ値がついていた出崎統の『劇場版エースをねらえ!』(1979)と『劇場版 あしたのジョー2』(1981)が、Blu-rayで再発売されることが決定した。
特に『エースをねらえ!』についてはレンタル店では殆ど置いていなく、VHSで限られた場所にひっそりと存在していた作品である。またセル版の『劇場版 エースをねらえ!』のBlu-rayにはDVDで収録されていた出崎統のオーディオコメンタリーが収録されていなかった。しかし、今回のBlu-rayはそちらも収録されているということでやっと完全版の『劇場版 エースをねらえ!』が発売されることになるのだ。
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自己満足的な『エースをねらえ!』の話はここまでとして、「アニメを映画にする方法」とはなんぞや?ということを幾つかの作品とともに考えてみたい。
◼押井守が気づいた「間」について
アニメファンならずも映画好きでもファンが多い押井守。学生時代は年間1000本見るシネフィルだったとかそんな情報もありますが、やはり映画へのこだわりは強い。
「アニメで映画をつくること」旧WEBアニメスタイルの押井守特集で書かれている。そこでは、いかに「間」(=時間)をつくること。例えば、とにかくカット割りが早くてインパクトなる画をガンガン見せていけば映画になるかというと違う。ここでいわれる「間」とは結果的に観客がそのアニメの世界に没入してしまう時間を指しているんじゃないだろうか。画面から伝わって来る雰囲気や音(音楽)をじっくり味あわせ、ありとあらゆることを思考させることで観客から時間を奪う。それがよくいわれる「ダレ場」の話。そして『エースをねらえ!』から着想を貰い『ビューティフル・ドリーマー』を完成させ、完全に自分のものにして生まれた傑作が『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)だろう。
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まあ、ただ押井守のいう「映画」だけが映画なのか?と言われると、劇場公開してしまえば映画っちゃあ映画だし、そんなことはないといった意見もあるだろう。
◼ゼロ年代以降のサービスてんこ盛りの劇場版
藤津亮太の著書『チャンネルはいつもアニメ』「見せ尽くすことが招く〈映画〉の変質」の項では、『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』(2010)と『涼宮ハルヒの消失』(2010)を元に近年の劇場版の変容について触れている。それまでのアニメが目指した映画は、おそらく「映画的」であることが一種のキーワードになっていて、TVよりも短い尺の劇場版ではいかに使用するエピソードを絞って作っていたが、いまでは上映時間を延ばしてでも見せ場をとことん見せる手法にシフトしてきている。
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◼TV版に逃げず「映画」を目指した作品
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◼「OVA?いえ、劇場版です。」
近年だと『コートギアス 亡国のアキト』(2012-2016)など続々作品が増えているが、1話=60分程度の作品を数章にわけて映画館で上映するといった作品が数多く見られる。この手の作品で僕が好きなのは『劇場版 空の境界』(2007-2013)。もともと同人で書いていた奈須きのこ原作作品。伝奇小説から発せられる独特の”湿気”や、空虚感といったような作品のもつ雰囲気がめっぽう好きである。この辺りは京極夏彦の小説や昔よくV系を聞いていたので自分の趣味が露骨に出ているのだが、今作の中でも『矛盾螺旋』(2008)は別格級に作品の出来がいい。『矛盾螺旋』は物語自体にギミックがあるので、『俯瞰風景』(2007)のように雰囲気で持って行くような作品ではなく、わかりやすい面白さがある。
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◼日本の初期アニメ映画
いまではオリジナル・アニメとして最初から「映画」に挑戦する作品よりも、TVシリーズから映画に進む経路のほうが多いだろう。ただ実際にはTVアニメがバンバン放送される前から映画としてアニメはあった。日本の劇場アニメ(長編漫画映画)としては『白蛇伝』(1958)が最初と言われている。この辺りだと高畑勲の『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)が有名だろうか。今回は『空飛ぶゆうれい船』(1969)に触れていきたいと思う。
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◼自覚的に映画を目指した傑作
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自己満足で色々と書いてみたが、自分でも「映画」ってフォーマットに縛られて頭がコチコチになることがたまにあるので、ちょっと広い視野で俯瞰してみるとまた新たな発見があるかもしれませんね。とにかく祝!『エースをねらえ!』再発おめでとう!
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漫画映画(アニメーション)の志―『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』
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