美少女アニメで『あしたのジョー』をやるということ ‐ 『ViVid Strike!』 #01 「フーカ・レヴェントン」感想

「また新クールだ〜」と未見の夏アニメを横目に『ViVid Strike!』1話を見たところびっくりして腰が抜けるかと思った。ヴィヴィオとアインハルトがメインだった前作『魔法少女なのは ViVid』は美少女アニメっぽさの塊みたいな作品で、かわいい女の子を観察してりゃいいかなってスタンスで見ていた(正直ほとんど記憶残っていないんだけど)。『ViVid Strike!』もそんなノリかなって油断していたのだけど、いい意味で裏切られた。

これ美少女版の『あしたのジョー』なんだよねって。ハーモニーと時間圧縮によって出崎感を見事に匂わせている。冒頭男たちにいじめられるシーンでいきなり反撃をハーモニー*1で表現。そしてシーンが切り替わるといきなり数年経っているようでなぜかフーカが暴走族の巣へ乗り込んでいきなり戦闘が始まる。かっこいいアングルで敵を滅多打ちにするシーンでは新海誠もびっくりな逆光+レンズフレアの多用。車のフロントガラスが舞うシーンもかっこよすぎる。闇の中で孤独に戦う光(の使者的)のような表現だろうか。この後、孤児院時代の友達のリンネが、格闘技やることで性格が変わったとフーカから語られるが、「戦う」理由としてリンネが何か抱えているのかもしれない。だから闇を照らす孤高の光ではないかと感じた。

それにしても暴走族にひとりで立ち向かう姿や、喧嘩して職を失い一度アインハルトの申し出を断るあたり「これからフラフラとドヤ街を徘徊するんだろう」と匂わすアウトロー感。いやこれはモロに矢吹丈じゃねえかと。職もない宿もない、ただひたすら各地を転々とする喧嘩番長。ひたすら孤独で世間に抗う感じ。まさか美少女アニメないし、まさかの「なのは」シリーズでこんなことができるのかと。

喧嘩番長が格闘技の世界に入ってヒヨッ子に見えた美少女にボコボコにされるあたりは定番といったところだが、喧嘩番長に光るものを見出し「才能」を見せつけるシーンたまらない。バンチャで『魔法少女リリカルなのはViVid』1話を見直したのですが、前作は美少女アニメの部活ノリでこんなに鬼気迫るアクションやってなかった。それが良い/悪いは置いといて音響からして「ドスッドスッ」と思いパンチを繰り出しているし、動きも単に動かすだけではなく、ゆっくりとした動き(でも重い)と組み合わせることで緩急をつけスピード感を獲得している。パンチのコンボをキメるあたり、ちょっと格闘ゲー感があってこれもかっこいい。


シーンは関係ないけど光の扱い方がジョー2っぽい。アニメの「記憶」として定着していきそうな瞬間を表現しているような。



もっと探せば似ているシーンある気がするんだけど、この辺もキテる。たまらないね。

孤高の喧嘩番長が格闘技界へ殴り込み。見ながらも涙が出てきた熱い青春モノ。2話以降がどう美少女アニメに回収されていくのか、といったところも見逃せないがこの路線で最後まで貫いてほしいなと心から思う。西村純二は『グラスリップ』で世評にも態度を変えずあのまま突っ走ったのでビビストも突き進むんじゃないだろうか(作品そこまでノレなかったんですが曲げないところは信頼できる)。フーカが戦っているシーン「その瞬間を生きている」と感じて、矢吹丈の青春のように人生をひたすら突き進んでいる感じがしてほんと素晴らしい。光の(効果としての)扱い方といい出崎を感じる。幼少時代からあれよあれよという間にジムでヴィヴィオに一発キメるまで進む圧縮感たまりませんな。それと眼力ね。フーカやばいわ。そしてこの(↓)表情!(『宝島』のジョン・シルバーかな)今期はビビストでキマりかこりゃ!2話も楽しみ!


*1:撮影処理のハーモニーか?撮影処理のレンズフレアを見るとやはりハーモニーも撮影処理だろうか