『悪の教典』を観ました。※ネタバレあり

心理戦の皆無、やっつけ仕事感

[あらすじ]
ハスミンというニックネームで呼ばれ、生徒たちから圧倒的な人気と支持を集める高校教師・蓮実聖司(伊藤英明)。生徒だけでなく、ほかの教師や保護者も一目を置く模範的な教師だったが、その正体は他人への共感や良心を持っていない反社会性人格障害者であった。学校と自身に降り掛かったトラブルや障害を取り除くために、平然と殺人を犯しては校内での地位を強固なものにしていく蓮実。しかし、ささいなミスから自身の凶行が知られそうになってしまう。それを隠そうと悩んだ彼が導き出した答えは、クラスの生徒全員を殺すことだった。(yahoo映画より)

[感想]
原作は、2ヶ月前に読んでからの鑑賞でした。普段原作が良かったのに!なんてあんまり言わない人なんです。(『私を離さないで』は、原作の良さが半分も伝わらなかったと思ったけど)
特に今回の『悪の教典』に関しては、発想としては面白いし、ハスミンが殺戮を繰り返すところは、「キャー!ハスミン殺して!殺して!」なんてファンになりそうになりました。しかしながら、正直薄っぺらい内容を上下巻にわけられたときたら‥‥(読みやすかったから助かったけど‥‥)
原作では、ハスミンが何を考えて殺戮をするのかってのが、ある程度書かれていたので、道徳的にどうとは思わず、「どんどん殺せ!」と応援が出来たもんなんです。

ところが、映画版『悪の教典』は、すっとぼけたやっつけ映画でした。(原作読んでなくても面白くないと思うよ)

OPの夫婦の会話からして、僕が最初から残念な気持ちになってしまいました。(ちょっと演技酷くないかあれは‥)

それと、原作が上下巻に渡るからといって、明らかに下手くそな圧縮率‥‥(無料ダウンロード音楽じゃないんだから‥‥)
原作もそうだけど、最後の校内殺戮に至までのだるだる感‥‥しかも、本当にたるい内容ばかりで、期待?していた保健室S○Xシーンやら、ハスミンと生徒とのラヴシーンも明らかに少ない。どこがR-15指定なの?と首を傾げました。その割に”ゲイ術家”の先生と生徒のラヴシーンがやけに長い。(気持ち悪くて気持ち悪くて‥)
終盤の殺戮シーンの説得力の無さ‥‥ハスミンが相当な武闘派だって事がバックグランドとして描かれるべきですが、省きすぎて生徒2人しか生き残れないとか、どんだけ生徒無能だよって思うよね。原作から思ってたけど、やっぱりあの殺戮は無理がありすぎで、映画になっちゃうとそれが画として観れちゃうから尚更マヌケさが伝わってきてしまっている。
原作がまだ許せたのは、殺戮中もその前もハスミンの心理描写がある程度描かれていたので、サイコパスの思考がわかって多少なりとも恐怖感を与えてくれてたけど、映画はどうしても意味も無い殺しにしか見えない。だいたいハスミンは快楽で殺しやってるわけじゃないし、もう少し心理描写は欲しかったところでしたよね。
あと、意識的かわからないけど、片桐怜花(二階堂ふみ)のハスミンびびり感が足りない。もっと最初から疑ってかかる描写が欲しいところ。

全体的にやっつけ感ファッション感覚が拭いきれない映画になってしまっていました。もう少しがんばってほしかったですね。

評価点:41点