”ふたり”を印象づける愛らしい演出『魔法つかいプリキュア!』第1話の感想

魔法つかいプリキュア!』第1話「出会いはミラクルでマジカル!魔法のプリキュア誕生!」を見た。
脚本:村山功 絵コンテ&演出:三塚雅人 作画監督:松浦仁美 総作画監督:爲我井克美

僕自身も大好きで周りの評判もかなり高かった『Go!プリ』の後ということで、かなり慌しい雰囲気になるかと思ったが、”ふたり”にこだわったスマートな演出が冴え渡った1話だったと思う。それと『Go!プリ』が中学生ながら大学生くらいの意識をもった少女たちを描いていたが、今回は意識的に精神年齢を下げてきている。キャラデもさることながらタイトルの「魔法つかい」は、まるで近所に”お使い”にいくかのような少女を連想させるタイトルである。この”つかい”は実際に魔法を”使う”ことや、魔法使いの見習い(魔法に使われる)的なニュアンスが含まれているだろう。そのため、第1話のアバンではリコがホウキに乗って上手く飛べていないところを、この後キュアミラクルになる朝日奈みらいが目撃する。ドジっ子というよりも、物語の性質上に必要な設定として”つかい”が演出されているのだ。

その「魔法つかい」と同時に何度も強調されたのが、みらいとリコのふたりでいるところだろう。『Go!プリ』の反動もあるかもしれないが、放送前から『ふたりはプリキュア』のふたりに回帰した作品のような戦略で練られていたと思える。『Go!プリ』と『まほプリ』第1話を比較して考えても、物語の世界観を見せ視聴者を没入させる手法をとった『Go!プリ』に対して、『まほプリ』は世界観をそっちのけで、みらいとリコをつなぐ演出に徹していた。まず一方的なリコとの出会いとして、みらいは大きな月を見上げることでリコを発見する。そのときの彼女の目は光り輝いているのが印象的で、その後もその目が強調されたバストショットやクローズアップを多用することで、彼女が何かを見つけた様子を印象づける。

そして交錯する”ふたり”の演出(写真上)。ふたりの視線が絡み合う前にクマのぬいぐるみ(モフルン)が、リコを見つけて”ふたり”の出会いを演出する。見上げるみらいと見下げるリコといった構図。この出会いは、怪物(ヨクバール)に襲われたときにも反復される。クマのぬいぐるみを落として掴むリコと、リコが落下したのを掴むみらい。”ふたり”の出会いではスローモーションで印象づける(写真下)。その後、リコが「かいぶつよ!あっちへ行きなさい!」と怪物に言葉を浴びせるが、途中からみらいも同じように「かいぶつよ!あっちへ行きなさい!」と呪文のように唱える。こういった言葉にも”ふたり”の世界に立ち入るな、といった”ふたり”を印象づける演出だ。

そして変身シーンも同じようにふたりを印象づけるように、手をつなぎながらプリキュアに変身する。実に多幸感たっぷりな百合が味わえる。プリキュアになってからもふたりの動きがシンクロすることでエモーションを生み出す。やはりプリキュアとしての物語というよりも「魔法つかい」の”ふたり”に比重を置いているせいか、ヨクバールは退治されることもなくさらっと逃げていってしまう。

そしてラストに待っていた魔法の世界。駅から魔法の世界に入っていくあたりは『ハリポタ』あたりを連想してしまったが、改札口だったことがまたうまい演出だなと唸った。これまでは”ふたり”の世界だったけど、これからは魔法の世界を描き物語への入り口として改札を選んだんだろうな、と。

さらっと印象的な感想を述べたが、ふたりを印象づける愛らしい演出が多かった。空を上手く飛べないのでドラマが発生する。見上げるから落ちてくる(リコ)。落ちるから拾う。(クマ,リコ)といったような上下運動を意識させる演出が「魔法つかい」の題材にもあっていてよかった。1話で世界と人間関係をビシッとキメた『Go!プリ』に比べると…となんていっているとヨクバールにされてしまいそうだが、キャラデも好みですし今後も期待して見ていこうと思いました。でも、「キュアップラパパ」は恥ずかしいよね(笑)

魔法つかいプリキュア! 主題歌シングル(DVD付)

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