異文化交流プリキュア!/『魔法つかいプリキュア!』第7話「人魚の里の魔法!よみがえるサファイアの想い!」感想

『まほプリ』7話傑作話数だった。みらいのキャラクター像は好きだけど正直アニメとしては1話や3話などの好きな回以外は、そこまで『まほプリ』に惹きつけられていなかった。7話は「人魚伝説」をモチーフに自分−他人との外の世界へのつながりを、みらい−リコに見立てていて心底気持ちいい。

まず、アバンの「誰かいませんかー?!」みらいの問いかけから始まる補習授業風景。みらいの問いかけは補習授業の「貝の蓋をあける」にも適用され「貝はどこに耳があるんだろう。ヤッホー!」とこれまた大声で探してしまう。それとみらいのキャラクター像に迫るオープニング−CM明けの一コマ。

魔法つかいなんだから水の中でも平気だろうといった常識は補習授業を受ける彼女たちには通用しない。魔法をかけて水の中に入っていくシーン(時間)の省略をパパッと進行させながらかわいく表現する素晴らしい手法。そして今回のキーは「人魚伝説」。人魚伝説は世界各地で航海者たちに目撃され伝説として伝わってきた物語である。僕は世代的にだろうけど、ディズニーの『リトル・マーメイド』で初めて人魚伝説の類にふれたと思う。地上の世界に憧れたアリエルが、王子に一目惚れして美声と引き換えに人間になる物語。それと思い出深いのはFF5のセイレーンだろうか。どちらにせよ、こういった物語は”伝説”として人間と密接な関係にあり、都市伝説や怪談話のように人の数だけ伝説が増えていく。

そして今回の『まほプリ』で伝えられる人魚の物語はこうだ。

「貝が口を開いていたとき、海の中だけではなく人魚は空も泳いでいた。そして人魚が外に出て他の種族と交流をしていた。でも、人魚が空を泳ぐのをやめた頃から貝は眠ったように口を閉ざしてしまった。」
「人魚の心に光戻りしとき、再び輝きの人魚現れ、我らを広き世界へと導く」

昔は空を飛んで外の世界と異文化交流をしていたが、今ではそうでもないし象徴である貝も閉じてしまった。さて、貝が開くとはどういうことだろうか。先生が「貝にあなたたちの心が届けば開く」といっているが、この答えはみらいとリコの関係性に大きく関わっている。外の世界にいって怖くなかったの?と聞く人魚の子供たち。みらいは魔法世界に対して怖いとは思わなかった。見たことない世界、それがとにかく彼女には刺激的で面白かった。昔は空をも飛んでいた人魚たちが、そんな話をするみらい−リコの姿を見て他人(外の世界)と新たに”交流”してみたいなと思う。『ふたりはプリキュア』を意識させるような”ふたり”の強調がされていたが、案外『まほプリ』やりたいことは”ふたり”といったことよりも、人(世界)との”交流”なのかもしれない。

そして補習授業で渡された貝たちが開いで輝き、象徴的な存在の貝も開きリンクルストーンがみらいとリコの元に現れる。この一連の流れ、もちろんリコとみらいの関係性から”開いた”ともいえるが、再び異文化交流を始めようと思った人魚たちの想いも相まって”開いた”といえるだろう。

また、人魚に捕まったモフルンも効果的な演出として有効活用されていた。アバンやCM明けのみらいのように省略に徹した演出だけでなく、変身までの時間をかせぐ意味でもモフルンを活用した時間の引き伸ばしは有効的だ。モフルンがいなきゃ変身ができない。だけれども、モフルンがいないことでみらいとリコの関係性がさらにクローズアップされ関係を掘り下げることができる。あまりにも使用しやすいキャラクターなのでこの先どんな扱われ方をされるのか心配であるが(笑)

あとは全体的な話をすると、リンクルストーン毎にモードチェンジされるプリキュアが魅力的でいいですね。『まほプリ』は対象年齢を『Go!プリ』からぐっと引き下げた作品なので、プリキュアになった瞬間の大人びた姿には妙にぐっとくる。特に今回のサファイアは妖艶な人魚を象徴する宝石ですから、普段よりも大人びて(へそだしだったし)いたし、みらいの声のトーンも年上感が出てましたね。これ全てのストーンが集まったら、モードチェンジをしながら戦闘するのだろうなと、これからが楽しみな『まほプリ』いいね!となった話数でした。