定番・奈々ソンへの回帰 – 水樹奈々『禁断のレジスタンス』を聴いた。

水樹奈々の30枚目のニューシングル『禁断のレジスタンス』が発売された。最近の奈々さん事情と言えば、昨年™とのコラボでシングルを2枚出し紅白出場。今年の春には9枚目のスタジオアルバムのリリース。そして、6月からそのアルバムを引き下げての夏ツアー。そして、シンガポール、台湾公演と精力的に活動しているが、シングルは『Vitallzation』から約1年3ヶ月ぶりとなる。

今作は水樹奈々主演の『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』のOPテーマソングという扱い。実際に聴いてみると、コレは間違いなく「いつも通り」の奈々ソンである。別に悪い意味で「いつも通り」という言葉を出しているわけでなく、僕はどこか懐かしさを感じてしまったのだ。

似たようなベクトルだと、今年のニューアルバムに収録されている『VIRGIN CODE』だと思うが、シングル限定に考えてみると、前作は「シンフォギア」の世界感を煮詰めて水樹奈々の限界のその先まで追求した曲だったし、そうすると王道・奈々ソンとしては二年前の「なのはA's」のEDテーマソング『BRIGHT STREAM』まで遡ることになる。これまでは「なのは」の新作公開の度に「なのは系」の似たようなベクトルの曲が聴けていたが、最近は新境地の開拓やコラボソングが多かったので、今回のベタなアニメOPソングは久々に感じた。

「始まり」を感じさせるようなイントロから、シンセをガンガン聴かせ、ドラム・ギター・ベースと暴れまくる。とにかく、ド派手な定番・奈々ソング。しかし、今作は「なのは」ソングの代名詞エレガ(Elements Garden)が関わっておらず、一瞬「あれ?」と思った。二曲目に収録されている劇場版ヤマトの主題歌「BLUE」(こちら大傑作です!)では、藤間さんが絡んでいるが、こちらは作曲及び編曲にもエレガの息がかかっていない!!考えてみれば、去年「シンフォギア」年であったし、最近はパンチの効いた新たな境地を目指してきたエレガだったので、別の作曲家がこの曲を作るのは何か意味があることなのかもしれない。

ド派手で「アツくて泣ける」がテーマの「なのは系」の攻め曲。そもそも、初期奈々ソンとはベクトルが違った。アレがファンの窓口を広げるきっかけ(エタブレなど)だったし、それが2年前くらいまでの定番だったが、「なのは」が一旦落ち着き、昨年から新境地を目指し「シンフォギア」のトリッキーな曲や「革命デュアリズム」のようなトンでもない曲に走っていた。そして今回、新たに別の作曲家が定番・奈々ソンを作曲する。これは、ある意味の原点回帰で、水樹奈々の定番を定番な人が作らないという凄さ…だろう。今作の加藤祐介とは「天空のカナリア」ぶりのタッグとなるだろうか、いや「シンフォギア」でも少し絡みがあったか。

まあ、とにかく久々のアニメOPらしさに溢れまくった曲。目新しさはないけれど、これぞ現代アニソン界の女王・水樹奈々による気合いの入ったニューシングルだ。ここでは、カップリングの「BLUE」と「ドリームライダー」にはあまり触れないでおくが、前者は「愛の星」を継ぐ素晴らしいバラード、後者はデジタル・サウンドで爽やか・軽やかで良い曲でした。以上