水樹奈々「アパッショナート」が思ったよりも、メタルしていた件について

「奈々メタル」と謳われたアパッショナートは、今年の4月に発売された水樹奈々の10枚目のアルバム『SUPERNAL LIBERTY』に収録された曲だ。

いまさら「奈々メタル」と言われても『悦楽のカメリア』『ミュステリオン』や昨年の™西川さんとのコラボ『革命デュアリズム』など、近年はメタルに非常に近しい曲をリリースしていた。ただ、「メタル」としての売り込み方はあまりしていなかったと思う。しかしながら、『アパッショナート』は水樹奈々のラジオ「スマギャン」でも、「参考にメタルを聞きながら、ちょっと宇宙がどうたら〜でメタルを〜」なんて話をしていたし、自ら作曲を兼ねている。(このような業界なので、どこまで作曲しているかは定かではないが)

この高らかに「メタル」宣言をしたことが、個人的には、「そっちの世界に行ってしまうのか」と心の友が彼岸に行ってしまったかのような気持ちになった。もちろん個人的にいえばメタルが好きだし、いくつかそういう曲があるのもいいかなーと思うのだが、水樹奈々としては、スパジェネ、ポップマあたりが大好物なのでなんとも寂しい気持ちになった。

そんな複雑な心境のなか新作が発売となり聴いてみると、ヴァイキングメタルよろしく、それでかつRPGの戦闘シーンのBGMかのような曲調だった。確かに「メタル」しているが、昨年の「デュアリズム」もあったし、今までの水樹奈々から脱線することなく、目新しさは感じなかった。個人的には去年の「ヴァイタラ(略)」のような衝撃とはならなかったのだ。

まあ、前置きがかなり長くなりましたが、LIVEで聴いたらかっこいいんじゃないだろうかと、そこまでハードルは上げずにいつものLIVEと変わらい気持ちで、6/14、15と三重県サンアリーナに参戦し、生で『アパッショナート』を聴いてきたのだが…

「すみません。ハードル低過ぎました…これぞ、メタルや!メタルでしかない!」いやマジでビビったんですよ。確かに、メタルだとしても「悦楽〜、ミュステ、革命〜」あたりの慣れがあったので、まっさか自分の顳顬にズッドーンとぶち込まれるなんて想像してなかった。まずメタラーとしては、ペンライトを振る前に身体が動いてしまったんですね。オールスタンディングだったら、モッシュピットが発生するんじゃないかってくらいのパワーにビビりましたよ。しかも、衣装も素晴らしくてミュージックビデオの世界観を出したかったといっているように、優雅で攻撃的な衣装に、スタンドマイクさばきもかっこいいし、かなりエクストリームしていた。チェリボ*1も流石であり、あの凄まじい速度で駆け巡る曲を完全に自分のものとし、ギターピロピロ、ドラムドコドコ、ヴァイオリンきゅ〜〜〜〜と言ったように、全員がエクストリームしていた。


しかしまあ、他の曲も本当にやばくて、「VIRGIN CODE」のイントロの鳥肌は今年一だったと思う。奈々さんはこんな強烈な曲を音源以上に歌いきる。もちろん歌声は最後まで全力全開であるが、会場を縦横無尽に走り回ったり、ダンス曲だったりと、この人は何者なんだ?と、更に奈々さんへの尊敬の念を抱いた。僕はエクストリームしきったが、この日一番エクストリームしていたのは水樹奈々だったと言うことだ。

SUPERNAL LIBERTY

SUPERNAL LIBERTY

*1:水樹奈々のバックバンド