虚淵玄の罪滅ぼし 『仮面ライダー 鎧武』最終回を見た。
「まどマギ」の虚淵玄が脚本を担当した「鎧武」が最終回を迎えました。
前回46話を見た際に、こんなエントリーをしています↓
このときは、鉱汰と舞の二人が「まどマギ」でいう概念のような存在になり、二人で世界を救おうとしたので、もしや「まどかとほむら」への罪滅ぼしでは?と考えに至った訳です。「まどマギ」の場合は、TV版でまどかに世界を救わせ(本当に救われたかは別として)、残されたほむらが「叛逆の物語」で、更にまどかに叛逆して自分が辛い目になってしまうハメに。「まどマギ」は救った者も、残された者も一人で背負ってしまった物語である。
正直、今後「まどマギ」の続編がたとえあったとしても、二人が同じ気持ちで、笑って日常生活を過ごせるとは到底思えない。決定的に二人の気持ちにすれ違いがある。対して「鎧武」はどうかというと、これまでの虚淵玄の集大成なセルフオマージュが満載ながらも「まどマギ」への意識が強く感じた作品。そして、最終回で徹底されたのが、決して「一人に背負わせない」ということだ。
「黄金の果実」の存在が決定的だったが、最終回にもそういった「一人ではない」演出がされており、「残された人々が何を背負って生きて行くか?」という課題に対する回答がされていた。それは例えば、貴虎であれば自らユグラシドル・コーポレーションで背負った罪を「俺の罪滅ぼしだ」と一人で新たに出現した敵と戦おうとする。それまで脇役的な存在の城之内は「俺の罪滅ぼしでもある」と初瀬への罪を贖おうとする。その「罪滅ぼし」は自分の罪への対峙ということになるかもしれないが、街を守って、亡くなった者への誓いを果たすという「誰か」を守る為の行為。
そして、鉱汰の敵として最後まで争い合った光実も「鉱汰さんはもういない。だから、僕達がヒーローにならなければならないんだ」「見ていてください鉱汰さん。今度こそ、みんなを守ってみせます」と過去の仲間で最大の敵であった鉱汰との和解。鉱汰の気持ちがわかった瞬間であり、今度は踏み外さないぞと、過去の自分との決別の瞬間。あの人の意思を次ぐという、男泣き号泣ポイントだった。
そして、最後はその二人で戦う。「まどか」と「ほむら」では決して実現し得なかったこと。すれ違っていた二人の気持ちが重なり、「まどマギ」の一歩先へと奥へ進んだ瞬間。この物語は決して「ヒーロー」は一人じゃない。みんなでこの世界を守り抜くんだという強い意志。自分が道に迷っても必ず、誰かが自分を正しい道へと導いてくれる優しさ。「まどか」「ほむら」にもいた筈なのに、二人はすれ違ってしまった。「まどか」に関しては自己完結している見方が出来るけど、「ほむら」は何をしても永遠に元の「まどか」に出会うことは出来ない。世界を観測してしまう能力。「ほむら」は自分が観測してしまうことで、全てが狂ってしまったのだ。何をどう足掻こうが、自分の想いとは反する。自分が観測してしまっているので、あの頃の「まどか」に出会うことは一生できない。だから敵対することにした。
「まどマギ」は大人にならない話。対して「鎧武」は大人になる話だった。これは「まどマギ」で絶対に出来ないことを「鎧武」で罪滅ぼしとして実施したのではないか。勘違いなのかもしれませんが、どこか虚淵玄の優しさを垣間見た作品だった。1年間お疲れさまでした。
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