元ファンの僕が選ぶ「ムック」ベストソング10

「ムック」のベストソング10を選んだ。

この流れ既に終わってる感あるし、「ムック」でやるなんて誰得でもないのですが…というのは、さておいて、そもそも「元ファン」って言葉はずるいんですよ、卑怯なんですよ、逃げ入りまくっているじゃないですか。今は外にいるから、遠慮ないなしに、クールに、そしてソレっぽく、ハッタリかませてしまう。だから、先に「ごめんなさい。僕が悪かったです」と言われてもいないのに謝っときます。ごめんなさい

まあ、本当の理由は、先日のグラインドフリークスでETERNAL ELYSIUM.の岡崎幸人が昭和歌謡を弾き語っていたことまで遡る。そこで、やっぱり暗い音楽っていいな。昭和歌謡の暗さいいな。その昭和歌謡ヴィジュアル系の気持ち悪さとニューメタル以降に裏打ちされたヘヴィネスさをプラスしたムックってやっぱりヤバいよね。うん。という感じになり、ムックの再認識をしたくなったからである。

まー長くなるので前置きはこの辺にして、『志恩』以降はすっかりファンを辞めてしまった僕ですが、わりと好きなバンドだったので好きな曲10公開。順不同です。


■翼を下さい

翼をください」と言っても、「このおーーーぞらにーーーつばさをーひろげーーー」の誰でも歌ったことがあるだろう、アレではなく、『ギリシア神話』のイカロスを題材とした曲です。個人的にはムックではかなり珍しい王道V系サウンドではないかな?と思う。歪んだジャキジャキしたギター、メロディックなリード、爽快感あるリズム。何より、この中二感たまらないね。大好き。


■ズタズタ

※音源が落ちていなかったので、収録されているアルバム「葬ラ謳」の写真でも貼っておきます)

これはものすごい曲。当時のムックは、そこまでメタルに近づいていないと思っていたのですが、本物のドゥームをやっている。反復、繰り返しの美学、重く、暗く。これはV系の中でもムックでしか出来ない芸当だろう。決して上手くないボーカルの達郎の気持ち悪い(褒め言葉)低い声が特徴だ。V以外探しても、ここまで特徴あるボーカルってなかなかいないし、グロウルやガテラルを使わずして、ドン底まで突き落とす声。最高です。


■ママ

さてさて、タイトルだけ見ると「マザコンじゃねーか気持ち悪い」と聞こえてきそうですが、これはよく歌詞を意識しながら聞いてもらうと、トリックが隠されているのですね。泣きですよ。泣き。これぞ、V系サウンドだし、Vじゃないと成立しなさそうな奇跡のような名曲。


■誰もいない家

鍵っ子だったなら共感しそうな曲。あと、ボーカルの達郎が猫好きということで、愛猫ソングでもある。また、この曲が収録されている「朽木の灯」は、モロに海外ニューメタル勢あたりの影響を感じるリフだったり、メタリカのリフ丸パクリしている(しかしかっこいいんだなこれが)曲があったりと、Dir en greyもそうだが、V系がヘヴィネスサウンドを求めていた頃のアルバム。ただ、ムックは影響だけではなく、昭和歌謡の日本的な暗さを見事にマッチさせたので、無数のV系に埋もれずに売れたのだと思う。


■あやとり

アコギが昭和歌謡っぽさを際立てていてとても良い。また、中盤あたりで、ディストーション聞かせたギターが「きゅいーーーん」と始まるところのゾクゾク感はヤバい。暗い曲だが、ものすごく美しい曲だ。


■大嫌い

ある意味ネタ枠だが、曲も短くて、ヘヴィネスかつ、エッジの効いたサウンドが心地よい。「あなたのことが大嫌いです」と、ここまで、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、あなたが大嫌いです。とか言われたら、逆に好きになってしまうやろと。


■この線と空
MUCC - この線と空 [Kono sen to sora] - YouTube
はてなの検索が弱いのでリンク貼ります。

是空』のヘヴィネスな楽曲の中では、妙に爽快感ある異質な曲である。DIR EN GREYの『Vulgar』における「я to the core」のような曲と言えるだろう。あそこまでパンキッシュな曲ではないが、ハードコアパンクのような暑苦しさ、ロックの爽快感、が詰まっている。


■アカ
Aka (Antique Album Version)-MUCC - YouTube
※リンク貼ります。

いくらV系と言えど、ここまで気持ち悪くて、暗い曲あってたまるかと思われても仕方ない曲。バラード〜ミドルテンポの少しストーナーな煙っぽいギターが印象的。聞いている間、真っ暗な部屋に独ぼっちになるような感覚。メロいリードギターに、悲痛な達郎の声。本当に初期の初期から、ものすごい曲を作っちゃってる。素晴らしい。


■夜
Yoru-MUCC - YouTube
※リンク貼ります。

『痛絶』のなかでも、別格級に凄い曲。全体にかかるノスタルジーさに、達郎のささやくようなボーカル。キャッチーなサビ、クライマックスへの盛り上げ方といい大変素晴らしい。


■朽木の塔
Mucc - 01 kuchiki no tou ( budokan 666 ) - YouTube
※リンク貼ります。

ムックは『朽木の灯』以降、路線をすっかり変えてしまい「暗いさ」への決別を果たした。今ではデジタルなダンスナンバーもあるらしい(詳しくは聞いていないので知らない)。個人的には、ギリギリ『志恩』までで、「アゲハ」聞いた時、すっかり普通のV系になってしまったとファンを離れた。本人達が好きでやっているのでケチつけるまねしないけど、この絶望的な暗さは、そして、このボーカルは、二度と現れないだろうと思うと寂しい。それくらい貴重なバンドだった。
さてさて、「朽木の塔」は彼らの最高傑作、そして、私的オールタイムベストアルバムにも入る『朽木の灯』のラストを飾る11分を超える曲。他にも「未完の絵画」や「暁闇」と迷ったのだけど、ムックの過去への決別。そんな意味が含まれたこの曲を外す訳にはいかなかった。これまでのムックの要素が全て入ったあまりにも重要な曲。


ムックは好きな曲が多過ぎて、まあ、未練タラタラ。結局「朽木」以降は1曲もいれなかった。「極彩」とか「月光」「雨のオーケストラ」「流星」とか結構好きなんですけどね。ただ、それ以前と比べると僕の趣味じゃないからなーと選ばなかった。以上