『死霊のはらわた』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
うっそうとした山奥にたたずむ小屋を訪れた、ミア(ジェーン・レヴィ)をはじめとする5人の若者。小屋で「死者の書」という不気味な書物を見つけた彼らは、はからずも邪悪な死霊をよみがえらせてしまう。解き放たれた死霊はミアにとりつき、若者たちに襲い掛かる。おぞましい姿に変ぼうしたミアと戦いながら山から脱出しようとする若者たちだが、死霊の力によって行く手を阻まれてしまう。助けを呼ぶこともできぬまま、一人、また一人と、彼らは死霊にとりつかれ……。(yahoo映画より)

[感想]
あのサム・ライミの『死霊のはらわた』のリメイク作品。初日の新宿ピカデリーということで、オリジナルファンたちで賑わっていました。私自身『死霊のはらわた』は、昨年のホラー映画ベスト10で4位に選出させて頂きましたが、わりと最近観たってこともありそこまで思い入れは強くありません。しかしながら、サムライミの野望は感じることが出来ました。
あのデパルマの傑作『キャリー』もリメイクされるらしいし、『リング』も昨年話題を呼びました。(良いか悪いかは別として)『サイレントヒル』も続編が作られるらしいし、ホラーの回帰が近年目立っているように感じます。さてさて、今回の『死霊のはらわた』ですが、わざわざリメイクして語り直す必要があったのでしょうか、語り直すといってもサム・ライミはプロデュース側にまわっているので本来の意味での語り直しとは別ですが、Goを出したのが理解出来ません。
今では、スパイダーマンシリーズでおなじみですが、オリジナル版当時のサムライミの状況と言えば、お金も全然なかったらしいですし、なんか強烈な作品を世に送り出して有名になりたかった。今『死霊のはらわた』を手がけるには意味合いがかなり違うはずです。
今作の監督は、フェデ・アルバレスという無名監督ですが、当時自分が無名だったって言うこともあり、無名監督を推したんではないでしょうか。
無名監督作品だった本作を、無名監督による語り直し、果たして内容はいかに!? っとわりと煽られてしまった気がします。

あらすじで語れてない部分を細くすると、薬物依存症であるミアの治療を行うため、山奥の小屋を訪れます。オリジナル版と決定的に違うのはこの点で、主人公を薬物依存症にすることで、取り憑かれていても「薬のせいよ、幻覚よ」のようにすべてを薬漬けによる幻覚症状だと判断してしまい事実を隠してしまうということです。そうすることによって、緊張感を際立たせ、何が起こっても”ミア”がやった!という風に関連付けるようにしてしまいます。実際に、ミアの兄貴の犬が殺されていた(瀕死状態)ときもすぐに薬物依存症の”ミア”がやったんだと事実をぼかしてしまうのです。この脚本の手直しはなかなか上手いなと素直に感じました。

あとはご存知のようにオリジナル版と同様に惨劇が始まります。

惨劇についての感想は、結構ばらけると思いますが、一回でもオリジナル版を拝見してれば、「あれ?こんなものだったっけ、白目は?」
今回の悪魔は、あの有名な白目ではありませんでした、恐らくファンだったらがっかりするんじゃないでしょうか。
リメイクというからに、今の時代のホラー映画のように気持ち悪いリアリティだったり、取り憑かれた女の動きはジャパニーズホラーっぽかったりと、現代的ホラー解釈で語り直されていますが、個人的にはうーん、やっぱりオリジナルの迫力はないよなーっと残念な気持ちでした。
最近オリジナル版を観た自分としても、もっと鬼気迫る恐怖というものがひっきりなしに、襲ってきたと思うし、もう少し、おもちゃ箱をひっくり返したようなぐちゃぐちゃ感が欲しかったところです。

恐らく興行的にはわりと成功する方なんじゃないかと思いますが、わざわざ30年ぶりに語り直す必要もなかったんじゃないかなと思いました。