『チキンとプラム』を観ました。※ネタバレあり

夢を失ったときが、人が死ぬときか‥‥

[あらすじ]
愛用のバイオリンを壊された音楽家ナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、代わりのバイオリンを探したが見つからず、とうとう死ぬことにした。ベッドに横たわったナセル・アリは人生を追想する。修行の日々から人気者だった時代、大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮、そして成就しなかった恋。数々の思い出がナセル・アリの脳裏によみがえる。(yahoo映画より)

[感想]
とても不思議な雰囲気の映画でした。予告の頃から気になっていたんですけど、話は結構単純で、妻に最愛のバイオリンを壊された芸術家が、もう、この世に生きている意味が無いと自殺を決意し、死ぬまでの八日間、これまでの人生を振り返るという内容。
あらすじを聞いてしまうと、邦画でよくある安易に泣かせるあれでしょ?感が否めませんが、そんな簡単な内容に陥っていなく、ちょっと小難しいなあと僕は感じました。
冒頭だけ観てると、芸術家が絶望するのはわかったけど「なんで死ぬの?」って不思議に思うかもしれません。そりゃあ一般人の神経じゃ一生わからないのかも知れませんが、この映画では、芸術の他に、死ぬ理由としてしっかりと「愛」が描かれています。
勿論、もうあのバイオリンの音を出せなくなったのが直接的な原因ですが、あのバイオリンとともに過ごした人生やら何やらを全て破壊されてしまったという事実。自分の人生全てを否定されてしまったら、確かに生きる希望がなくなるかもしれません。
とは言え、飲まず食わずでベッドで横たわるなんて普通の覚悟じゃできません。他の死に方では、自分の価値は下がってしまうと‥‥
あんな死に方絶対嫌ですよね、恐らく一番とは言わないけど、かなり辛い死に方だよ。でも、映画の映像や演出だったりが、結構トリッキーになっているので、観ていて重い話だなーとはあんまり感じないです。前半〜中間までは、コミカルな風に描かれていましたが、クライマックスはちょびっと泣きそうになりました‥‥

結構期待していたので、んー不思議な映画だったなーと言う印象なのですが、振り返ってみると面白かったかな。

評価点:57点