ザ・パニックホラー・ムービー?だるまさんが転んだ?『ワールド・ウォーZ』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)と家族の乗った車が、渋滞にはまっていた。すると、前方で爆発音が聞こえ、トレーラーが無数の車をはじき飛ばしてクラッシュし、パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状態から家族を守ろうと、妻子を連れて逃げるジェリー。やがて、彼は人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。(yahoo映画より)

[感想]
ブラッド・ピット×家族×地球危機」なんて、ステレオタイプなストーリーで、予告観た時はスピルバーグの『宇宙戦争』ぽい感じなんじゃないかな?と、『宇宙戦争』好きな僕個人としてはなかなか期待していたんですが、公開が近くなるにつれて「『ワールド・ウォーZ』とか大層なタイトル付けているけど、Zって何のことだ?ドラゴンボールZマジンガーZじゃあるまいし、いや、シンフォギアGみたいに二期だからなんとなく付けただけじゃ…その前に二期じゃねーし」とかありとあらゆることを考えているうちに、町山氏がTwitter町山智浩氏が観客を騙す日本の映画宣伝に苦言 - Togetterこんなことを言っているものだから、ああ期待しているベクトル違うけど、ゾンビ映画なら観たいなっと思い糞暑かった新宿で鑑賞。

宇宙戦争 [DVD]

宇宙戦争 [DVD]

観た後は、「ああ、町山がこんなこといいたくなるのわかるな」ってくらい序盤でゾンビ映画宣言されちゃっていて、あの広告の仕方は酷いよねーって改めて感じてしまった。それと同時にこのベクトルの映画なんで今撮りたかったのかなーってずっと不思議に感じていた。導入部の世界が何か謎のウイルスが蔓延していくと、時間圧縮ニュース形式でわからせる作り方は他の映画(具体的にあんまり覚えてないけど)でも使われているし、あのニュースにフラッシュバッグ詰め込んだ形式って便利ですよね。「ああ、何かとてつもないことが起きそうな気がする…」からの家族との団欒シーンですから、ここで間違っても家族との〜な感じの映画ではなく、パニックホラームービーの扉を開けちゃっていますね。
ここで一旦、配給の「守るのは家族か地球か?」の話をすると、配給側の「ブラピ様が出ているのにゾンビ映画なんて言い難いし、家族とのシーンあるし、世界も救うから家族か地球かでいいんじゃん」って苦し紛れに無茶苦茶な宣伝文句を付けたのが、映画を観るとわかるんですよ。開き直って「ゾンビVSブラピ〜世界を制するのはどちらだ?〜」くらいでも良かったんじゃない。実際そんな内容だしさ。
それと最初の疑問として、なんでこんな映画撮ったんだろう?と感じていたのは、ラストシーン付近でずっと「戦わなければ〜」とか戦え!戦え!ってうるさい映画なんだよね。いや何となく9.11以降っぽいっちゃぽいし、特に気にすること自体おかしいのかもしれないけど、なんだかずっと引っかかってたんだよね。ワールド・ウォーって言ってるし、これから何か起こすんじゃないの?って映画にそこまでの力があるか知らないけど、変な気分になったんですよ。まあ、考え過ぎなんだろうけど、なんで今?ってね。

それと、ゾンビ映画としてはどうなの?論が勿論ある訳ですが、やっぱりこいつら走ります。しかも戦闘力はかなり高めで車の窓ガラスとか余裕でぶち破るし、多少のドアだったら吹き飛ばしますよ。(終盤のWHOの施設でドアが吹き飛ばされなかったのはちょっと不思議でしたが)僕個人的に言えば、『ゾンビ』もちろん『死霊のえじき』とか凄く好きだから、ロメロ信者ってわけでもないけど、歩いて情けなく「うええええ、おおお」とか言いながらアホっぽいゾンビがむちゃむちゃ人をおいしそうに食べているのがいいと思っているので、ゾンビ映画としてはなんだかなと感じました。でも、『28週後…』は近年のゾンビ・ムービーのなかでは好きだし、走ってもありなものはあります。(『ドーン・オブ・ザ・デッド』は本当に駄目でしたけどね)だからこの映画をゾンビ映画として捉えてしまうと、ちょっと微妙要素強いし、人に噛み付くのがアスリート並みだから全然おいしそうじゃないし、ゾンビ魅力の欠片もなかった。ただ、ホラー演出というか俗にいう”ビックリ演出”が結構全面に使われていて、娯楽映画観てるんだって意識が強かったし、適当にジェットコースタームービー観たかったら楽しめるんじゃないかなーと思いました。
途中途中で少しギャグ的に、ブラピの顔とゾンビを交互に映し出したり、だるまさんが転んだごっこを始めたり、あれだけルールを説明されているのに、どいつもこいつも馬鹿ばかりで死ぬし…って馬鹿というか褒め言葉的に使うとアホ要素がたっぷりでその辺も見所なのでは?と感じました。

まとめると、文句言いながらも中々楽しめちゃったからどうしようって感じです。

死霊のえじき [Blu-ray]

死霊のえじき [Blu-ray]