『最強のふたり』を観ました。※ネタバレあり

まさしく”最強”の映画だ!

[あらすじ]
不慮の事故で全身麻痺(まひ)になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき……。(yahoo映画)

[感想]
これは大変素晴らしい!まさに”最強”の傑作映画だった。
「フランスで3人に1人が観た」と言われる程、フランス本国で大ヒットした。前評判がいいのもうなずけます。

冒頭のカーチェイスシーンと言えば、今年で言う『ドライヴ』を思い出してしまい少しブルーな気持ちになりましたが、全く違う方向へ話は進んでいきます。
車いすの厳格そうなおじさんに、若い黒人!ということで、どんな話なの?介護なの?と、思う暇もないセンス溢れるシーンから始まり、完璧ぶっとんでしまいました。

そこから話は一旦過去に戻り主人公ふたりの出会うシーンから始まります。過去に戻って説明する構造だと、最近だと『私が、生きる肌』がありましたね。あれは最低な映画だったけど。
『私が、生きる肌』がなんで楽しくないってのは、説明がうるさすぎて退屈なんですね、(ワンピースみたいに)アルモドバルの変態思考のオナニー映画なんですね。
最強のふたり』も過去のことを振り返っていく構造にしても退屈じゃないのは、観客を楽しませるのに徹しているからじゃないかなと思います。
主人公のフィリップとドリスの二人の掛け合いが見事。

普通介護って、(想像ですけど)仕事(ビジネス)に徹するか、もしくは、同情(家族)してやってるかだと思うんですが、フィリップは全くどちらでもない。元々動機不純で、採用試験受けにきたレベルなんでビジネスでもないし、介護してても全く同情しない。
ドリスは最初、めんどくせーなー的な雰囲気もあったけど、富裕層と貧困そうの全く違う境遇のフィリップの暮らしがどんなものが楽しみながら介護をしていたし、フィリップには介護人というより、”友達”として接していました。
普通だったら、どん引きするようなギャグもフィリップとドリスのふたりだから、通じ合えて更に仲良くなっていきます。

フィリップ、ドリスのふたりの出会う前の過去は、ものすごく暗いものなんですが未来に向かってどんどん明るくなっていきます。
ふたりは出会うべきして出会ったのだろうし、本当に出会えて幸せだった。(この辺凄く個人的に感情籠ってます)
ものすごく普通で映画的なお話なんだけど、元々が実話ということで、すごく説得力を持っている作品です。
また、音楽のセンスもキレキレだったし、会話もユーモアたっぷりだった。

お話については、恐らく誰もがどこかのシーンで共感しちゃったり、ああ面白いこの映画!と思えるんじゃないかな〜。
すごく映画的で、バランス感覚が良くて誰もが楽しめる今年のナンバーワン候補に挙がる傑作映画でした。

評価点:91点