『デス・レース』を観ました。※ネタばれあり。

バカ映画をシリアス路線にリメイク!これは、これで悪くないと思います。

[あらすじ]
 孤島の刑務所で繰り広げられる過激な死のレース「デス・レース」を放映し、人気番組となっている近未来のアメリカ。殺人の濡れ衣を着せられたジャンセン(ジェイソン・ステイサム)は刑務所の所長ヘネシージョアン・アレン)からレース出場を迫られ、美人ナビゲーターのケース(ナタリー・マルティネス)を乗せレースに参加する。(yahoo映画より)

[感想]
 75年のロジャー・コーマン製作のカルト映画『デス・レース 2000年』を、バイオハザード('02)シリーズで有名なポール・W・S・アンダーソンが大幅リメイクしたカーアクション映画。
原作の『デス・レース 2000年』は、つい先日、シネマテークにて夜のコーマン祭で上映されてたのを初めてみました。実に面白いバカ映画でしたね。
リメイクと言っても、原作と同様な部分は、ストーリーの大筋を握るデスレースぐらいなもので、内容は全く異なる映画となっています。
まず、原作はバカ映画だなーと笑いながら見れる映画ですが、リメイク版は陰鬱で、何故主人公ジャンセンがレースに参加したのからかと、バッチリ意味付けまでしています。それと、ポール・W・S・アンダーソンらしさも兼ね備えていて、特に導入部分の家で不意に襲われ催眠スプレーで眠らされ‥‥ってシーンの引きは、『バイオハザード』的(ミラジョボビッチが浴槽で倒れるシーンですね)な使い方だなーと思いました。
それと、肝心のレースのルールが大幅改善されています。原作では、三日間のゴールするまでに”どれだけ人を轢き殺すか”がレースの鍵になっていました。(なんて酷い映画なんだ!笑)


ちなみに、原作のポイントは人を轢き殺すと加算されて‥‥

女性       :年齢に応じて男性より10ポイント増し
10代の若者   :グンと大きく40ポイント
12歳以下の子供 :更に大きく70ポイント
75歳以上の老人 :空前絶後の100ポイント

これだけ見ればいかに、バカ映画かってのがわかりますね。笑


しかしながら、本作は生き残って一位でゴールをする。それだけでいいのです。それだけと言っても、世界全土で放送されるデスレースは、視聴率が命な訳で、銃、ロケットランチャーは出るわで‥‥恐らく生き残るのは、原作よりも難しいはず。原作は、”人を轢き殺せ!早くゴールしろ!”ってのがレースの目的でしたが、リメイク版は、”生き残れ!”ってのが目的になっていると感じました。それだけ、必死になって何をしなければならないのか‥‥

それはこのレースが、囚人達の自由がかかっているからです。レースを5勝すれば、釈放が約束されています。
主人公は、もともと囚人ではありませんでしたが、この刑務所のしくんだ妻殺しの罪で服役することになります。刑務所は、デスレースでもうけを出します。映画冒頭のカーチェイスで初代”フランケンシュタイン”が5勝目前で殺されてしまいますが、これも刑務所がしくんだ罠で、視聴率をとれる男、稼ぎ頭のデスレースのスーパーヒーロー”フランケンシュタイン”をそう簡単に、釈放する訳にはいきません。”フランケンシュタイン”を失った刑務所は、元スーパードライバーのジャンセンに目をつけるのです。
バカストーリーに意味を持たせている点は、『バイオハザード』でも思ってましたが、なかなか巧いんです。でも、この映画ちょっと気に食わないところが、二点ほどあります。

1)フランケンシュタインマスク外すの早すぎ!結局このハゲのアイドル映画かよ!
  ミラーガラスになってるのは卑怯でしょ!もう少し、走りで魅力をだしてから、ヒロインに”ねえ、マスクとってよお‥‥私、あなたの走りにしびれちゃった”とか、よくありそうな台詞が欲しかった!

2)原作と比べ、カーアクションはいいけど、キャラに魅力がなさ過ぎ。
  まず、1)で言ってるけど、ヒロインの魅力がゼロ。綺麗だし、スタイルも抜群なのにもったいない。それとその他のドライバー達の魅力のなさ。原作は80分でも全てのドライバーが魅力的だったし、一人一人死なないで!!って思ってても死んじゃうっっって、ちょっとした愛着もあった。それに対して、本作は全然駄目。正直、妻殺しの犯人と最後までいたマシンガンジョーの顔がやっとです。それと、一番不可思議なのは、いつ惚れたの?と思うほどの最後のシーン。ヒロインは、惚れるのはわかるけど、ジャンセン!お前は、妻愛してたんじゃないのかよっ!若くて綺麗なねーちゃんならなんでもありか?とお約束な主人公とヒロインの結ばれには腹立ちました。原作のほうがヒロイン綺麗だったしね。

と言ったものの、途中で出てくるタンクカーみたいな奴は、『マッドマックス2』を彷彿させるし、ストーリーに勢いがあるし、飽きずに最後まで見れて良かったです。細々したところは気になりましたが、総合的に言えば面白かった!と言える作品でした。

ついでに、映画の最後に出る字幕

−この映画に登場するカーアクションは、十分に安全を確保したうえでプロのスタントマンが行っています。 絶対に真似しないでください。−

誰にも真似できねーって。笑

評価点:54点

[作品概要]
作品名 :『デス・レース
監督  :ポール・W・S・アンダーソン
製作年 :2008年
製作国 :アメリ
上映時間:105分

[関連作品]
デス・レース 2000年』(’75):インディペンデント映画界の神ロジャー・コーマン製作の原作映画です。リメイク版はシリアル路線ですが、こちらはブラックユーモアあふれるコメディ路線、人を殺してポイントを稼ぐという、めちゃくちゃな設定の映画です。レースカーのデザインも後の『マッドマックス2』等に大きな影響を与えていると思います。来週から始まる『ベルフラワー』を楽しむ為にも、元祖カーアクション映画の本作は見逃せない一品です。