『愛のむきだし』を観ました。(DVD)

愛のむきだし』 園子温 08年 

園子温さん、すんません!今までなめてました!でも...

[あらすじ]
敬虔(けいけん)なクリスチャンの家庭に育ったユウ(西島隆弘)は、ある出来事を境に神父の父(渡部篤郎)に懺悔を強要され始める。父の期待に応えようと、懺悔のために毎日罪作りに励むうちに罪作りはエスカレートし、いつしかユウは女性ばかり狙う盗撮魔となっていた。そんなある日、運命の女ヨーコ(満島ひかり)と出会い、生まれて初めて恋に落ちるが……。(yahoo映画より)

[感想]
 園子温監督を一躍メジャー映画作家として、世間に知らしめた話題作。僕も前々から観たかったんだけど、近所のTSUTAYAには置いてないし、GEOにもねーじゃんと住んでる町を恨みながら、中古で買うか!とか思ってたところ、ネットレンタルがあるじゃねえか!とポチッとレンタルしました。(実際なかなか貸し出し中になっていて2週間くらいは戦い続けてましたが...)
楽しみ待っていましたが、元々僕と園氏との相性はこれまで悪く、『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』と最近のメジャー作品しか観てませんが、どうしても過剰演出だったり演技がいけすかなくて駄目でした。でも、『愛のむきだし』は前々からいいと聞いていたので、もう一回騙されたと思って観てみようかな〜なんて思いながらも観ました。
そして、ポチッと再生ボタンを押したんですが....なんだこのヘンテコな映画は!と、最初のエピローグ1時間長!!と思いながら、グイグイと画面に無理矢理引っ張られるように、濃密な映像のなかに吸い込まれてしまった!これはまずいと思ったねー。たいていここまで惹き込まれちゃうと冷静に映画観れなくなるから。
まず登場するのが、AAAの西島隆弘君。いやー、AAAなんて全然知らねーけど、なんと言う好青年。爽やかのベクトルが少し違う気がするけど、君に届けの風早くんレベルに爽やかでしょう。西島君演ずるユウ君は、幼い頃、母親が死んで、マリアを探しなさい(だっけ?)と言われて育ち、その後父親が恋人つくるんだけど、すぐに逃げられて、おかしいベクトルに進んじゃうんです。父親は神父で、ユウ君に毎日懺悔をさせるようになるんですが、ユウ君はすごくいい子なので、罪なんて殆どありません。そこで、可笑しい考えになり、罪を作れば良い!と勘違いするんですねー。そして、ユウ君は時に、盗んだり、喧嘩するんだけど、結局エロが一番の”罪”という結論から、盗撮に落ち着きます。でも、いくら盗撮しててもキャラ崩壊しない爽やかさを保っており、全然嫌らしくならないのが、西島隆弘君の魅力でしょう。
それと、ユウ君を尊敬する三人の脇役もなかなかいい。変態を尊敬するバカってのは最も愛すべき登場人物だと思うよ。
そしてチンピラに女の子が絡まれるシーンになり、ヒロイン満島ひかりちゃん登場ですよ!この映画は満島ひかりちゃんが恐ろしく可愛く撮られています。監督絶対変態だろうな!それだけは確かだと思うよ!(ここまでで1時間ですよ!長い!)
ここで、ユウ君は人生初めての”勃起”を経験します。別に嫌らしい意味じゃないですよー!タイトルの『愛のむきだし』とあるように、ユウ君の愛情表現は”勃起”なのです。ここでバカにしていると、ここから2時間後くらいの”勃起”にカウンターパンチくらいます。それくらい感動する(笑)

だんだん書くのがめんどくさくなって来たので、簡単にことを進めますが、満島ひかりちゃん演ずるヨーコとユウ君が家族になるってエピソードが進んでいきます。ここで園マジックにかかったと!後で、だんだん気づいたけど、この件のユウくんは結構まともな男子高校生なんですよね。そりゃあとなりに好きな子がいれば、居ない間に部屋に忍び込んだり、パンツを盗んだり...............しないよな。
確か1時間くらいの間、あの仲良かった3人組が出てこないんですよね。あれ、あいつ等出てないなーと少し忘れかけてきた頃に登場ですよ。確か、ユウ君が女装してたのをコクってフラれたシーンだったかな。あーここで出てくるのねーと、一瞬で現実に戻されました。この時に、ユウ君変態じゃなくて普通の高校生やん!と、園マジックにやられました。
それでそれで、パ○ウェーブ研○所みたいな白をカラーとした新興宗教との交戦があったりするわけです。マジックにやられて現実に戻ってきた僕は、意地悪に映画を見始めましたが、テンポのよさだったり音楽センスのよさに飽きずに、もっと観たいもっともっとと、約4時間の長尺映画をスッキリと観ることが出来ました。最後は泣きながらエンドロールまでしっかり観てしまった始末です。
 この『愛のむきだし』は、全くリアルを描いていなかったのに、”愛”という究極の問いに真っ正面からぶつかり、”愛”を”むきだし”を、一生懸命表現した作品だったと思います。

 『冷たい熱帯魚』や『ヒミズ』では、リアルを少しながらも描こうとして、演出、演技との噛み合いが上手くいかず、修復不能までぶちこわれてしまった映画でしたが、『愛のむきだし』はエピローグで風呂敷を広げても、収縮→破壊→創造と、上手く進んでいたし、作品のテーマ的にも園氏の映画とマッチした作品だったんじゃないでしょうか。
それと、西島隆弘君と満島ひかりちゃんが文句なしで良かった。演技の上手さが、どうこうよりも、テーマの”むきだし”さに一生懸命にぶつかって演技をしていたのが好感がもてます。特に、後半のバスシーンとかすごく好きです。いやあ、またこの二人には園氏の映画に出て欲しいね。特に、満島ひかりちゃん!

なんだか、まったくまとまりのない文章になってしまいました。さっき観たばっかりで、まさに、”むきだし”状態で書いたので自分でも何書いたかよくわかりません!只、まだ園さんは信じないぞ!でも、新作は観るから、どんどん映画撮ってくれ!

評価点:92点