『桐島、部活やめるってよ』を観ました。※ネタバレあり

ここで生きていくしかないんだ!

[あらすじ]
とある田舎町の県立高校映画部に所属する前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い人物だった。そんな彼の学校の生徒たちは、金曜日の放課後、いつもと変わらず部活に励み、一方暇を持て余す帰宅部がバスケに興じるなど、それぞれの日常を過ごしていた。ある日、学校で一番人気があるバレー部のキャプテン桐島が退部。それをきっかけに、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始めていく。(yahoo映画より)

[感想]
大変素晴らしい映画でした。正直タイトルを聞いたときから、全く期待していなかったんだけど、特に見る映画もないしって思いながら鑑賞したのですが、これは面白かった。

まず、桐島って誰やねん!神木くんじゃないんかいっ!!ってツッコミ!映画始まるまで、主人公だから神木くんのことだと思ってたんですが、違いました。また、主人公ってのも的外れで、一応の主人公は神木くんですが、作品としては立場の違う高校生を描いた群像劇となっています。

同じ場所(学校内)での群像劇と思い浮かべると、『エレファント』('03)とかを思い出します。
只、あの映画と違う点は、主題となる”事件”である『桐島、部活やめるってよ』の桐島の不在(事件側からの視点の不在)ということです。
『エレファント』では、”事件=校内乱射殺人”の犯人やその周りの人たちが巻き込まれているという図式で、事件が存在していましたが、この映画は、事件を起こしている側からの視点はなく、あくまでも桐島の周りにいる客観的な視点によるものです。

この図式にして面白いのが、それぞれの悩み事が違うところで、学校一の美人(設定上)と、周りにいる女子や、神木くん率いる映画オタクやら、帰宅部やら、多分高校生活というなかでも、あまり交流しないような人たちが一つの事件に複雑に絡み合ってしまうというところ。

これを観ていて観客が思うことは、「私だったら、どの配役だろう」と自分と重ねてしまう。ちなみに僕は、異性関係なく立場だけ考えると、きっと、橋本愛さんが演じるかすみ役ですね。
なんだか馬が合わないんだけど、ちょっと悪グループのすぐ横にいて、そしてかつ神木くんのようないわゆるオタク側にも理解はあるんだよって言う微妙な中間的立場。
決して主人公にはならず、何を聞かれても「ああ、そうだね。いいと思うよ!」とか適当なことを答えてしまう高校生だったと思います。
それと同時に、今の自分だったらこのときどの立場にいるだろうとか考えてしまい、終始ニヤニヤしながら鑑賞してしまいました。

しかしながら、学校を金〜火まで休んだくらいで事件になる桐島って何者だよ!そんなにカリスマか!っていうツッコミは観た人全員に与えたと思います。でも、いい映画だ!

評価点:80点