『エリート・スクワッド』を観ました。(DVD)

『エリート・スクワッド』 ジョゼ・パヂーリャ 2007年

ハラハラドキドキ度MAX!警察から観た『シティ・オブ・ゴッド』!!

[あらすじ]
リオ・デ・ジャネイロローマ法王が来訪することになった。警察のエリート特殊部隊BOPEの隊長ナシメントは、法王が宿泊を希望した場所の近くにある、危険なスラム地帯にはびこる麻薬ディーラーを一掃せよとの命令を受ける。妻が妊娠し、過酷な部隊を引退しようとしていた彼だったが、この最後の仕事だけは、断ることができなかった。一方、正義心に燃える新人警官のネトとマチアスは、高い志を持って警官の任務を始めるが、腐敗し、堕落しきった警察の実態にショックを受ける。彼らはやがて、最も過酷で、最も死に近い任務をこなす超エリート部隊、BOPEへの入隊を希望するが…。

[感想]
 本国ブラジルで、社会現象にもなったリオデジャネイロの犯罪、汚職を描き綴った傑作。麻薬、強盗、殺人、汚職....と、『シティ・オブ・ゴッド』と同じテーマです。映画の構成にしても、主人公のナレーションの説明がつき、オープニングシーンから時間軸が戻って、またオープニングに戻るってのも同じ構成ですね。
違う点は、『シティ・オブ・ゴッド』が警察側を明らかな敵として描いている犯罪者視点に対して、『エリート・スクワッド』は警察(特殊部隊BOPE)視点でのリオの現状です。警察から観たら、犯罪者を徹底的に悪に描いていると思うかもしれないけど、特殊部隊BOPEから観たリオなので、ちゃんと警察の悪いところも描かれている訳であります。そういった意味では、『シティ・オブ・ゴッド』よりも一歩突っ込んだことを映像化しているんですねー。

 さてさて、肝心の映画のストーリーは、スラム街での緊張感ある交戦シーンから始まり、時間軸が一度戻り、主人公ナシメントの苦悩を描いていきます。家族と命がけの仕事の狭間に体調が悪くなったりするんですけど、名演ですねー。戦闘シーンは、すごくかっこいいし、奥さんにあたるシーンはすごくダサくて人間臭く、いい演技だと思います。
ナシメントの苦悩は、BOPEをやめたくても辞められないことであり、この映画は、BOPEを辞めたいがために、人材を育成するんです。その中で、ネトとマチアスの二人組に出会います。ネトとマチアスは、BOPEとギャングの交戦を生でみたことで、警察でもこんなに素晴らしい部隊があるのかと、合宿を志願します。
その合宿シーンが、めちゃくちゃに、志願者をいじめまくるんですが、本当に鬼。地面に飯を投げて1秒病で食わせたり、食えなかったらいい訳したやつに一人で食わせる。この部隊の訓練をみると『フルメタルジャケット』を思い出しますねー。でもキューブリックのそれよりも恐ろしく、ギャングと戦うには本当に命がけだし、めちゃくちゃな精神が必要ということを志願者に叩き込まれます。こういう映画観ていると、いや〜本当に日本には、兵役がなくてよかったなと身にしみて感じますねえ。
 『シティ・オブ・ゴッド』との一番の違いは、”ハラハラドキドキ”感がすさまじいということでしょう。正直『シティ・オブ・ゴッド』にはドキドキしなかったしね。やっぱり僕は、正義の味方が好きなので悪党を退治しているBOPEが輝かしく見えました。

評価点:84点