夏休み映画 vol.1 『学校の怪談』と『学校の怪談2』

せっかくの夏休み。旅行して美味しいご飯でも食べられればベストだったんだけど、今月末から11月末までライヴの連続で東京に帰省しなければならないので、出費を抑えるために昼間からビール飲んで名古屋で過ごしている今年の夏。これが本来の夏休みの姿なんや…と、いじけながらだけど、引きこもっているなら夏休み映画のことでも書いてみようと。「vol.」ってつけているけど、夏休み後5日間なのでどこまで続けられるか謎だが、vol.1として学校の怪談学校の怪談2』を取り上げる。*1

ものすごく当たり前のことを言ってしまえば、夏といえば「肝試し」だ。うなだれるような暑さの夏の夜。ある日は近所の墓地、またある日は林間学校の夜…。いつも「肝試し」では暑いはずなのに、ひんやりとした雰囲気を味わった。今でこそ、ホラーを好んで見ているけど、小学校・中学校の頃はホラーが苦手だった。『女優霊』や社会現象にもなった『リング』。『口裂け女』『メリーさん』等の都市伝説。目や耳を塞ぎ、時には心を閉ざし、過ぎ去っていくのをただ待っていたあの頃。そんな中、楽しく観れたホラー映画があった。それが、『学校の怪談』、『学校の怪談2』。

平山秀幸が監督した『学校の怪談』と『学校の怪談2』は、タイトル通りジャンルとしては「ホラー」となる。そもそも「ホラー」がジャンルになり得るのか?という問いについてはさておいて、ホラー映画ながら、妖怪と校内での追っかけはジェットコースターのようにハラハラドキドキするし、誰しも童心に帰ってしまうような、ちょっぴりおセンチなエンターテイメント映画としても優れている。この二本の映画に出てくる妖怪たちは、人の心に巣食っている「怖い」妖怪たちと違ってデフォルメされており、グッと窓口を広げているが好まれるポイントの一つであると思う。例えば、鎌を持ってテケテケテケテケと胴体を真っ二つにしてくるテケテケは、CGで愛嬌のあるキャラクターにされているし、人面犬にはきたろうを抜擢し、思わず笑ってしまうようなサプライズを見せてくれた。

ただ、そういった可愛い要素だけで作られた映画ではなく、キューブリックの『シャイニング』や黒沢清の好きな『幽霊屋敷の蛇』と同様に、屋敷から逃げることが必要とされるという意味で古典的であり、学校が崩壊するシーンは意図的にカメラを揺らして、パニック映画のように緊張感を生み出した。物語的に見ても『学校の怪談』ではちょっと切ない一夏の恋だったし、『学校の怪談2』では家族ものとして大いに泣ける。そして物語が終わると同時に僕たちの夏休み終わったんじゃないかと、現実にグッと引き戻される。『スタンド・バイ・ミー』を見て青春だのなんだのって、日本にも『学校の怪談』シリーズがあるんじゃぞと、声を高らかに上げたい。

本シリーズは『学校の怪談3』、『学校の怪談4』と続く。3は平成ガメラシリーズの金子修介にバトンタッチされるが、前作までのように「和風」っぽさで勝負はできないと大胆にも「洋風」コンクリートの学校でトライしている。4は平山秀幸に監督が戻るが、もう「学校の」という部分がほとんどなく、それまでのシリーズとはガラッと雰囲気が変わっている。こういったシリーズも試行錯誤の上なんだな…と子供ながら思っていた。

というわけで短めに『学校の怪談』1と2の話。
会社始まる前にもう一回見たいな…。

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*1:ファンが長らく待ち望んでいた単品DVDが発売される。