ウィル・スミスになる日『アフター・アース』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
人類が地球を捨て去り、ほかの惑星へと移住して1,000年が経過した未来。ある宇宙遠征任務からの帰路につく兵士サイファ(ウィル・スミス)と息子のキタイ(ジェイデン・スミス)を乗せた宇宙船にトラブルが発生して機体が破損、緊急シグナルを搭載した尾翼部が地球へと落下する。それを追って地球に宇宙船が不時着するが、ほかのクルーたちは死亡してしまい、サイファも重傷を負ってしまう。帰還に必要な緊急シグナルを捜そうと大自然に足を踏み入れるキタイは、地球の生態系が人類を消し去るために進化していることを知り……。

[感想]
巨大な権威の塊ハリウッドと戦うたった一人のインド人…『エアベンダー』の悲劇から早くも3年…シャマランの新作は観られないのではないかと不安な時期もあったが、これは見事なシャマラン映画になっていた。
シャマラン映画は、1カット目に印象的なカットを持ってくることが多いが、今回もウィル・スミスの息子ジェイデン・スミス君の超一流顔芸で印象的なカットを魅せてくれた。ジェイデン・スミス君は、走ってもかっこわるいし、アクションも凄い訳でもないし、演技も全然だけども顔芸だけは群を抜いて凄い。この顔芸と不穏な音楽を優雅に使いこなし、得意のホラー演出を更に押し進めている。設定上地球は、人を滅ぼす為にと謳われていたけど、そこまでの危険度は感じられなかった。ただ、今作は「恐怖への立ち向かい方」であり、心情に謳えかけるような演出が随所に見受けられる。
ウィル・スミスがゴーストになった瞬間とジェイデン・スミスがゴーストになった経緯は、殆ど同じに感じる。これは、ジェイデン・スミスは、実際にも親子関係だが、今回のジェイデン・スミスはウィル・スミスの過程的存在であり、ウィル・スミス自身でもある。そして、ラストの敬礼のシーンは、足を失ってウィル・スミスに助けられた人のようでもある。(重傷は逆でしたが)少し飛躍するが、大きい鳥は、キタイの姉的存在であり、キタイが殻に籠っているという意味合いをうまく演出してくれている。

それとシャマランらしく、潔く100分でおさめているのも肯定したくなるポイントである。これがSFなの?と言われれば、SFである必要もないし、映し出される画面に隠れたシャマラニズムを感じ取るのもファンとして必要だから僕は良いと思う。