1クールものアニメのお手本的な第一話『神無月の巫女』

先日エントリーした「マーニー」や大好評の「アナ雪」でWヒロイン、百合というキーワードが言われると、改めて百合に着目したいな〜ということで、久々に神無月の巫女の1話を再見したのでさらっと書きます。

神無月の巫女』は、2004年のTVアニメ。女2人、男1人の三角関係恋愛ものであるが、そこにロボット、輪廻転生、百合要素をぶち込んだ傑作アニメです。三角関係やロボットと聞くと「マクロス」的なものだと思うかもしれないが、あそこまでロボット同士の戦闘が、重要視されるわけでなく、あくまでも一つの要素として存在しているだけ。(一部アツいシーンもありますが)

ストーリーは、地球をダークサイドに落とし込もうと目論む「オロチ」という集団と、地球を守る「巫女」(月の巫女と、日の巫女)との戦いである。具体的に言うと、オロチは巫女を殺し、巫女はオロチを封印しようとする。その巫女の封印する行為がこの作品の核となる重要な事であり、ネタバレになるので詳細は書きませんが、物語後半の重要な選択に繋がってくるポイント。

そして面白いのが、実は仲間である男の1人が実はオロチ側の存在。本人は、覚醒するまで巫女たちと普通に学生生活を満喫していたので、巫女を守りたいという一心でオロチの宿命を「気合いと根性」で振り払い巫女側につくという、ちょっと無茶苦茶な要素もブレンドされている。


前段が長くなったが、今回改めて1話を見てみたところ、そういったストーリーの要素、もっと言えば全12話すべてが1話に濃縮されていると感じた。基本的に『神無月の巫女』の1話は「ウテナ」の要素を下敷き(学園、寮、薔薇、親しい女友だち、OPの語り、高嶺の花)としながらも、輪廻転生というこのアニメの重要な事項にも触れ、三角関係、百合等の要素がギュウギュウに詰め込まれている。だから、ネタバレ後の2回目以降の鑑賞者には、唸る要素がたっぷりであるが、初見時には、あまりにも要素が詰め込まれすぎて、展開が早く感じてわかり辛い部分もあるかもしれない。

ただ、そのカオスから生まれる何とも言いがたい只ならぬ雰囲気は、初見時から感じ取れるし、ちょっとしたミステリー要素もあるので、百合アニメが好きでない人にもオススメしたい作品である。あまりにも百合要素がある回もあるので、苦手な人はキツいかもしれませんが…(漫画版だともっと直接的に書いているらしいです)


また、2004年と言えば今でも続いている「リリカルなのは」シリーズの1作目が始まった年でもあり、世の中がゆりゆりしていた時代だったのかもしれない。*1

あまり普段からアニメを見ていない方や、「アナ雪」「マーニー」的な百合より全然手前の友情物語的なものを想像すると、ちょっとガチっぽさに引いてしまうかもしれませんが、ラストも含め本当に美しい愛の物語ですので、ちょっとでも気になった方には見てほしい作品ですね。
神無月の巫女 〈期間限定生産〉 [DVD]

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*1:リリカルなのは」小学生の百合っぽさ、というかよく言うと純愛物語。百合を度外視しても戦闘美少女ものを語る上で外せない作品である。1stシリーズはとても上手く映画化されているので時間のない方はそちらから入門するのもいいかも。