この意味深さ、アニメだけでノレるか?『メカクシティアクターズ』

14年上期が終わるということで、駆け足で春アニメを消化しているなか『ピンポン』『ラブライブ!』など、わりとキャッチーな作品や『シドニアの騎士』『ブレイク・ブレイド』など物語の重みとハイクオリティな映像作品を楽しんでいた。ところが、シャフト制作ということでメカクシティアクターズも見ているのだが、これがちょっと意味深で不思議な作品。

1話の概要を抜き出すと、ある引きこもりの男が、数年ぶりにデパートに出かけたところ、偶然にも強盗に遭ってしまうという事件が発生する。その引きこもりの男も何故か初音ミクっぽい電脳少女を携帯端末に宿しており、少女の力やなんだか良くわからない現象で事件が解決してしまう。最初の強盗に遭うシーンはなんとなく『ダークナイト』のような印象を受けたが、あくまでも強盗団が物語に強く結びついてくることはなく、謎の現象(わけがわからない意味深さ)が1話を牽引し、その現象を巡ってのお話が、後の話に繋がってくる。

やはりシャフト制作ということで、おなじみの「シャフ度」や人と人との距離感や立ち位置の消失のような演出が冴え渡っており、この意味深さを余計に訳が分からないように見せており、シャフト演出は成功しているように感じる。ただ、この意味深さが本当にわけがわからない域に達している。僕は常日頃、言葉で説明する演出は大嫌いと言い放っているので、結構ストーリーが訳が分からなくても面白ければいいと思っているのですが、この作品は解説読まないと何が起きてるんだかさっぱりわからない。


(シャフ度)

複数の話を数話またがって展開したり、過去の話が混ぜる構造はよく使われるけど、全容が明らかになるのがかなり先なのでさっぱりわからない。わけがわからないというのは、「ピングドラム」の前半でも感じたが、あちらはお話をしっかりと集束していっており、尚かつ1話と最終話が深く結びついていた。このアニメはどうだろうか?確かに種明かしが次第にされていくんだけど、あっと驚くような物語の集束を感じられず、正直、散漫になっている気がした。

という疑問点が出てくるのも、当たり前のようでこの作品はアニメだけでなく、「カゲロウプロジェクト」というマルチメディアプロジェクトで、小説、漫画、CDまで媒体が広がっており、どうも他にも話があるらしい。それではどう考えてもアニメだけで補完することはどうも難しいはずだ。ただ、ネットをチラホラみていると原作補完している人でも「11話」がわけがわからなかった人が多かったらしく、波紋を呼んでいる。


ただ、事実として、アニメ補完だけの僕が11話まで観れているので、シャフトの演出力とよくわからないけど、惹き付ける魅力ってのが少なからず存在しているのだと思う。それと、総監督が新房さんであり、「まどマギ」でおなじみの「希望」とそれに対する代償のような駆け引きも存在する。軽くネタバレすると、「まどマギ」の契約を引っくり返しており、代償を差し出す代わりに「希望」を叶えるという構造。ただ、その「希望」を勝手に第三者が叶えようと目論んでいるから、話がややこしい。叶えたい願いと、それを阻止したいという狭間で動かされる複雑な心境を考えると、「まどマギ」のほむほむ最終ループ時のまどかの選択を見届ける前の心境に似ているのかな。

まあ、後残すところ1話となっていますが、果たして物語がどのように集束されていくか楽しみに待っていましょう。

カゲロウデイズ 1 (MFコミックス ジーンシリーズ)

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メカクシティデイズ(DVD付)

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