『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』を観ました。(ネタバレ有りです)

『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』 ジョゼ・パジーラ 2010年

タイトルださくね!?つーか前作に付けるべきタイトルな気が‥‥


[あらすじ]
 舞台は南米一の犯罪都市リオ・デ・ジャネイロ。この街では毎日スラムを根城にするギャングと軍警察との攻防が繰り広げられていた。刑務所暴動事件の失態を受け、リオ・デ・ジャネイロ特殊警察作戦部隊から保安局へと左遷されたナシメント大佐はタンキ地区の警察署から盗まれた銃の行方を追っていた。そんな中、盗まれた武器はタンキ地区のスラムのギャングが持っているというタレコミが入る。ナシメント大佐はかつて部隊に所属していた時の部下だったアンドレ・マチアス大尉と共にタンキ地区の掃討作戦を開始するが・・・。

[感想]
 前作『エリート・スクワッド』は、特殊警察BOPEから観たブラジルリオのギャング集団、腐った警察をバシバシやっつける映画でしたが、本作はまた一歩進んで、政治まで突っ込んだ作品です。気に入らないのは、タイトルくらいで、前作に迫る面白さでした。
 最初からネタバレですが、なんと前作主人公級だったマチアスが殺されてしまうし、ナシメントもBOPEから外されて公安へ飛ばされます(昇進だけど)。前作は純粋にリオの悪をぶっ飛ばすBOPEでしたが、今作はBOPEでさえ腐った警官に利用されます。
何故そんなことが起きるかというと、BOPEがディーラーを一斉排除することで、腐った警官は、逆にディーラーいなくなれば、直取引で俺等金持ちになれんじゃね?とバカな事を考え、そんな考えのもとに、ギャングのふりして交番襲ったり、どんどんBOPEがギャングを消すようにしむけます。それで腐った警官は潤い、政治にまでそのシステムを使っていくのです。

 前作と比べドンパチ感は薄れましたが、腐ったシステム(悪)は腐敗していっても、また姿を変え繁殖し、決して消えないのです。この悪い循環は、根本原因から変えていく必要がありますが、今も貧困層があふれるこの国では、当分なくならないでしょう。前作より更に一歩進んだ、力作だと感じました。個人的には、前作の作風の方が好きだし、テーマ的には凄いと思うけど、ナシメントが前線にいるほうがかっこいいと思っちゃうし、なんと言っても前作の訓練シーンとかいい刺激でしたしね。でも、傑作映画だと思います。

評価点:82点