エメリッヒ版『ゴジラ』ってそんなに駄目だったの?

今年はハリウッド版「ゴジラ」公開ということで、早速前売り券を買いにいってポスターGETや!なんて騒いでいたのですが、ポスターが丸められて渡されずそのまま開いて袋で渡されたので買ってきたときには折れまくる始末。。(これから前売り券買う方は輪ゴム持参を勧めます。)

まあ、そんな事はどうでもいいとして、今年、60周年ということで、かなり注目度も高く、予告を見る限りじゃすごい迫力と終末感。これは今年のベスト候補か?と思っているのですが、公開前に過去のゴジラを復習するかということで、当時、散々文句言われ続けていた、エメリッヒ版『ゴジラを小学生ぶり?くらいに見ました。

個人的には平成ゴジラから入ったので、当時アメリカ産ゴジラに見向きもしなかったんですよ。確か、親父が借りてきたのをぼけーっと見ていただけで、「これ?ゴジラなの?」って小学生〜中学生くらいだったので映画の善し悪しも語れなく、変なゴジラだったなーって印象しか残っていなかった。

ところが、今回再見した結果「いや、めっちゃ面白いやん。。。」と、こんなに面白かった作品に対して、子供だったので造形ばかりに目が向かってしまっていたのだなーと。(まあ、造形も重要なんですけどね)とにかく興奮したのは、もちろん迫力はあったのだけど、それ以上に画面が広々して見えたこと。軍がゴジラの足跡へ向かうところ、難破した船を見つけた時の超ロングでのエスタブリッシュメントショットとか劇場で見たら「うわ〜〜」っと思ったんじゃないだろうか。ゴジラがマンハッタンに留まった後も、何度か夜のマンハッタンをロングショットで映し、街がダークサイドに落ちてる感を煽っていたし、凄いシーンの目白押しだった。

迫力面だと、最初にマンハッタンに登場したときのシーンやマンハッタンのビル内をヘリがばばば〜っと飛んでいるところ、ゴジラの卵がボコボコ生まれていくところとか、気持ち悪い部分もしっかりと画にしていて好感がもてた。ゴジラの子供をぶっ殺すシーンも残忍で最高でしたね。

あと、ビジュアル面だったり、細かな演出部分だと、印象的なのが終盤までずっと雨が降っていること。映画において雨は、人物の心情描写だったりしますが、TVのニュースネタに尽きた人が「この時期、雨のニュースしかない」のようなこと言っていたり、映画においての雨の意味と、この街における「雨」の退屈さを対にして表現しているのが上手かった。それと、集団が逃げるシーンで殆どの人に黒い傘を持たせているのに、注目させたい人物には赤い傘を持たせたりと細かい演出も上手い。

ちょっと気になったのは、二回くらい「タイヤ」が画面を横切るんですよね。一回目はタクシーでゴジラから逃げるシーン。二回目は、ゴジラが死んでタクシーを潰すシーン(もっとあったらすみません)。あれは、運動を示してるのやら躍動感出したいのかよくわからなかったのですけど、効果あったかな?とちょっとよくわからなかった。まあ、生きているときと死んでいるときも飛び跳ねた?から・・・(無理に考えるのはやめよう)

エメリッヒの映画ってそんなに思い入れはないけど『インデペンデンス・デイ』の宇宙船のビジュアルとか、子供の頃から焼き付いて離れないし、『デイ・アフター・トゥモロー』も内容覚えてないけど、画面だけは覚えてる。それと、この前見た『ホワイトハウス・ダウン』もめちゃくちゃ面白かったんですよ。あれも完全にビジュアルの映画。ヘリでリンカーン記念館の前までばばば〜って飛んでいくシーンとか絶景(CG&模型らしいですが)だったし、ヘリが街を飛んだりするシーンとかたまらない。

押井守もエメリッヒは「SF映画は絵なんだ」って割り切っていて〜なんて話を出しているように、エメリッヒは確実にビジュアルの人間だなって確信した。ただ、ヘリからホワイトハウスを見たときに「屋上で男二人が殴り合っています!」みたいなバカっぽい事言わせたり、なんだか体育会系バカさが抜けないよね。そこも愛くるしいんだけどさ(笑)

とにかく、2時間以上あったけど楽しめたのですよね。地味にゴジラが子供が死んでいるのか確認してるところとか、泣けるは言わないけど良かったよ。知能指数高いゴジラだったし演出が活きてる。まあ、特別何回も見直そうとも思わないんだけど、1年に1作こういう映画見れたら、いい映画見たな〜って誰しも思うんじゃないだろうか。

話を戻すと、そりゃ〜「ゴジラ」の造形には誰しも文句言いたくなるし、金子修介の『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』でも、「同類とは〜認めてない」的な表現もあったけど、パニック映画としては最高でしたし、日本と同じことをしても駄目だっていう気持ちがあったんじゃないですかね。その辺は汲んであげたいと思ってしまった。次のゴジラも気になりますが、たまには記憶に残ってない映画も見直して見るもの良いもんだなーと感じた、エメリッヒ版『ゴジラ』でした。

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