GWに見た映画の雑感

この間「感想書いていないと、内容忘れちゃいますよね〜」的な話をしていたんだけど、人間の記憶には限界がある。極端な話、毎日のように映画やアニメを見ていても、忘れてしまえば見ていないのと一緒なのかもしれない。ただ、記憶に残っていなくても、それが経験として脳内に蓄積されている可能性はあるので、無駄だったというわけではない。

まあ、そういった備忘録的に役立ってくれるのが、ブログであり、それに加えて感想の整理だったり、新たな発見が得られる場合がある。ということで、全部書くとめんどくさいので劇場で観賞した映画だけですが、感想です。(すでにうろ覚え)


◼『インヒアレント・ヴァイスポール・トーマス・アンダーソン

原作至上主義ってわけでもないのだけど、原作のブリブリ感が減退している気がしてノレなかった。(原作読んだのも数年前なのでアテになりませんが)撮影は、二人がいてそれぞれ切り返しで会話していったり、一人に着目して長回し+ゆっくりとしたズームインってのがメインで、『ザ・マスター』のような強靭な画力ってのは感じなかったな。まあこの映画ラリラリ探偵がラリラリしている映画なので、視界が明瞭ってわけにもいかないんだろう。ホアキンが監禁されて逃げ出すまでのシークエンスは面白かったですね。それ以外はあまりモーション無し。

物語がないっていうか、脈絡ないっていうような構造が、アルトマンの『ロング・グッドバイ』やポランスキーの『チャイナタウン』の引き合いに出されて語られていたような感じだけど、どちらも好きなんだけどニュアンス違うんだよな…。僕が原作に引っ張られすぎた感があるな…。でも、これまでの彼の映画とは違うし、そういったことはすごいんだと思う。多分。


◼『ザ・トライブ』ミロスラヴ・スラボシュピツキー

基本的に前回書いた感想で補完。聾唖者を観察したかっただけの映画にしか思えなかった。
手話の説明が必要な為、結果的に”長回しにせざるを得なかった”映画だったと思います。

声がなくても”やかましい”映画『ザ・トライブ』 - つぶやきの延長線上


◼『戦慄怪奇コワすぎ!最終章』白石晃士

『オカルト』とのクロスオーバー作品に仕上がっていた。『ある優しき〜』から思っていたが、白石監督優しくなったんじゃないだろうか。前作よりもはるかに優しく、そして次は『超コワすぎ!』が始まる。彼自身の作品のクロスオーバーであるが、何よりも「交わした約束、忘れないよ」な物語だったと思う。握手したところで泣いてしまった。


◼『龍三と七人の子分たち北野武

今のところ今年のトップクラス!終盤バスのシーンでは『狂った野獣』っぽいな〜と感じていたが、オマージュ云々よりも、今年見ていて一番気持ちいい映画だった。おそらく、撮影も時間をかけずに効率よく撮っているのだと思うけど、構図がバシッと決まっているというか、見やすい画面。ギャグも冴え渡っていたし、単純な感想になるけど面白かった。


◼『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』押井守

『パト2』との差分についての映画。一番の差分は、実行犯の思想が見えないところ。これは、幻の『押井ルパン』→『パト1』帆場の初期設定の系譜にあるのかも。今度、長文で感想をまとめようと思ってる。(願望)ただ、先に言うと面白くなかったわけじゃないんだけど、なんだかな〜と思うような映画だった。


◼『ワイルド・スピード SKY MISSIONジェームズ・ワン

アクションてんこ盛りシリーズの第七作目。旧作一気見してからの挑戦でしたが、ラストのポール・ウォーカーとの別れが本当に見事でしたね。思い入れなくても自然と泣けてしまいました。本当に愛されていた俳優だったんだな〜と感じましたね。


◼『ホラー・シネマ・パラダイス』ジョシュア・グランネル

期待せずに見たのですが、これが傑作!ホラーやコメディ枠を乗り越え、「他者とは分かりあえない」を理解した上で製作しているコミュニケーションの映画。ジョン・ウォーターズへの眼差しを感じる最高の映画でした。

◼『やさしい女』ロベール・ブレッソン

街の風景から、倒れる机、揺れる椅子、空に舞う美しいストール、そして倒れる女。といったオープニングのわずかなカットで度肝を抜かれた!美しい足、落ちる石鹸、階段での昇降、プロペラ飛行機模型などなど、彼女の運命を物語ったかのような運動の連鎖。そして、間違えば(こちらも間違ってしまっているが)『ゴーン・ガール』になりそうな、夫婦間の静かな対立。大傑作!


◼『生きるべきか死ぬべきかエルンスト・ルビッチ

シェイクスピアを扱いながら、ナチを茶化したコメディ映画。ルビッチ全て見たわけじゃないけど、今の所ベスト!といったくらい大好きかつ、大傑作な映画だと思う。本当に笑いっぱなしだった。ルビッチはヴェーラにて再見含めると『淑女超特急』『百万円貰ったら』『山の王者』『結婚哲学』『君とひととき』を観賞。『結婚哲学』か『君とひととき』のどちらか忘れたけど、エレベーターのシーン、それに『生きるべきか死ぬべきか』のモノマネする彼のシーンは、キチンとジョニー・トー『ドラッグウォー/毒戦』へ引き継がれているな〜と、映画って楽しいなと感じました。

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