チンピラ!殺し屋!チャンバラ!スペースオペラにアイデンティティとは?

三連休は東京へ帰って、独身の友だちと「人生歯ごたえないねー。人生いきてないねー。ふにゃふにゃだねー。骨抜きだね〜」とか周りが結婚ラッシュだけど、自分ら何も成長していない疎外感みたいなものを感じつつお肉たくさん食べて幸せモード。とりあえず、単品だとなかなか書けない映画の単感想を降下します。手抜きごった煮それいけ!アンパンマン的な(…


『リトル・オデッサ

リトル・オデッサ [DVD]

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今年は『エヴァの告白』で、話にはノレなかったけど、後半にかけて恐ろしく美しい構図の連鎖に「ジェームズ・グレイはただ者ではない」とハマってしまい、とうとうデビュー作まで手をつけた。これを二十代で作ったとは、グレイ恐るべし。まさに家族のお話。兄弟の関係、家族の関係、街のギャングやチンピラの関係など、深々と2時間を切って語り尽くす。そしてラストの銃撃戦の緊張感は素晴らしかった。それに、『トゥー・ラバーズ』もゲロ上手だったけど、空間の仕切り方の上手さはこの頃からだった。これで全作品見たし、『エヴァの告白』を再見する準備が万全となった。(11月にBlu-ray、DVD発売です)


『剣鬼』

剣鬼 [DVD]

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殆ど見ていなかったので今年から三隅研次を見始めたのだけど、これもすげー面白かった。ケモナーの子供だった的なめちゃくちゃ(でも昔はこういうの本当にありそう)なオープニングからどうなるのかと思ったら、それが足が速いという伏線となり、まるで「ターミネーター2」のT−1000かのような”追っかけ”見事。もしかしてターミネーターの元ネタだったりするの?馬が追われるシーンの構図とかそっくりじゃないかな。今度は『剣』でも見ます。


『クローズ・アップ』

クローズ・アップ [DVD]

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勝手に人様の名前を語り、相手に信じ込ませてしまう事件が発生。でも演じている本人も、本人だと思ってしまっていたら?自分のアイデンティティとは何なのだろうか?自分が自分であることは、また、実は他人だと思っていたら、自分だったら?なんて考えてみたら、ゾワっとした。凄く怖いお話だし、ドキュメンタリーとフィクションのすんごい構造になっている。もう一度見直さなきゃなあと感じる。本当に凄い映画。


フライト・ゲーム

密閉空間に強引なキャラをぶち込むだけで、これだけなエンタメ作品になるのは、なかなかの手腕。イントロは、なるべく空間を映さないようにしてクローズアップ、しかも無理矢理暗くしたようなレンズ使ってなるべくボカせることで刑事が問題あり、アル中、であることの演出。機内に入ってからは、息をつかせぬ激しいカット割りのアクション。正直犯人の動機とか全くどうでもよかったし、強引過ぎる映画なんだけど、許せちゃう。何より、リボンや銃を使った人と人との繋ぎ方。相手に与えて、それをまた返す。そりゃうるうるしちゃうよ。面白かったです。


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

正直全くノーマークでスルーしようとしていたら、TLが絶賛だらけだったので鑑賞。事前情報ゼロで、しかも、アメコミということでの面白さで言えば、過去最高レベルなんじゃないでしょうか。我々が見たい画、演出、キャラ、をどんぶり一杯見せてくれて、知識無しで楽しめる。今年のエンタメで一番窓口が広い映画だと思った。あと、ボンクラ「うえええーーーい」な映画じゃないでしょうかね。僕も面白かったんですけど、TLで騒がれているほど、熱狂的にはなれずに、ちょっと疎外感。まあ、単純に僕の映画じゃないし、何言っても負けだし、言わなくても負けてる、「勝手に完全敗北宣言」な気分になった。


9月は、名古屋シネマテークさんでベロッキオ特集や、『フランシス・ハ』など楽しみな映画がたくさん。旧作もどんどん見ていきましょ。