90年代の曖昧でおセンチな記憶と記録
この記事読んでいて、自分にとっての90年代ってなんだったろうなと、おセンチに浸っていた。
僕の90年代というと、小学〜中学の狭間くらいで、X JAPANに夢中になり、V系やヘヴィメタルを聞き始めた年頃である。
90年代のメタルシーン(特にメジャーシーン)であれば、80年代に元気があったスラッシュメタル勢が失墜し始め、その代わりにメタルの中でもメロディを排除していたデスメタルというサブジャンルに、At The GatesやCarcassなどが、あろうことか叙情性のあるメロディを取り入れ、それが90年代の主流となった。*1
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90年代後期になると、メロデス*2と、アメリカのニュースクールハードコアから流れを受けたバンドたちが、相互作用の結果、メタルコアと呼ばれるジャンルが生まれ、ゼロ年代初頭にかけて、飛ぶ鳥を落とす勢いでヘヴィメタルの玄人以外のライトユーザーまでも取り込みブームとなった。ちょっと話が脱線すると、例えば映画の世界にも影響を及ぼしており、2003年に公開された『フレディVSジェイソン』のサントラには、そう言ったメタルコアないしニューメタルと呼ばれたバンドが軒並み参加した。*3
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ゼロ年代初頭は、90年代にブームとなったメロデス勢、ニュースクールハードコア勢からの影響を受けたバンドが残った。また、一概にどちらの影響とも言えず、違った流れもあり、ダブステ、hiphopなどをヘヴィロックにぶち込み見事に昇華させたKornや同じくhiphop要素やDJ、ヘヴィロック、ヘヴィメタルをクロスオーバーさせるというか、ちゃんぽんさせたSlipknotなどが突然変異で出現。Slipknotが成功したのは、全員奇怪なマスクをかぶるというスタイルと、9人(今は違いますが)という人数の多さ。そう言ったビジュアルによるお祭り騒ぎ感やエンタメ感を強め、普段、激しい曲を聴かなかった層までも取り込んだと思う。*4また、もう一つの要因としては、メタルコア・ニューメタル、突然変異型のSlipknotなどに共通するのは、激しい中に急遽美しい歌メロを混入させ、キャッチー感を出したバンドが多いということ。ビジュアル面でイカつい格好をしていてもクリーントーンを入れることで、一般層にも受け入れ易いスタイルが生まれたと感じる。
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日本では、こういったメタルコアないし、ニューメタル勢の影響を、80年代後期から90年代に一斉を風靡した、ヴィジュアル系と呼ばれるジャンルなどにも与えた。*5 そもそもV系の創始者であるX JAPANが元々スラッシュメタルやジャパコア勢を源流としたサウンドに影響を受けていたので、V系のメタル化への道というのは、最初から決まっていた道筋だったのかもしれない。ただ、同時にこういったメタルコア・ニューメタルと言ったジャンルは、特に玄人メタラー方からはなかなか受け入れ辛いサウンドだったということもあり、
「スリップノットやっべーぜ!こんなヘヴィでファストな音楽なんてない!!」
と言っていた僕の友人や、そういったメタルコア、ニューメタルがメタルの窓口となった新人メタラーは玄人たちの猛攻撃disに耐えられず散っていったという一説もある…(あいつ何してるんだろうな…)
どのジャンルにも言えるかもしれないが、年表を10年ごとに区切ってみると、10年前の影響、その後の10年への影響が判り易い。ただ、こういった方法が、一概にそう言えない部分もあり、見落としが無いように記憶ないし、記録にとどめていく必要があると思う。
その他のジャンル、例えば、アニメとすると、その後のアニメ作品に影響を与えたセーラームーンや、社会的にも話題となったエヴァがあった。それに、奇妙な雰囲気をもったウテナもあったし、ロリコンの元凶と呼ばれるCCさくら、ハードボイルドで映画の影響下にあるカウボーイ・ビバップなどもあった。漫画だったら、スラダン、うしとら、ダイの大冒険…など、90年代に発表もしくは頭角を表した作品がある。あの発行部数No1のワンピースが生まれたのも90年代だった…
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振り返り過ぎたので、映画やゲームには触れないが、90年代というのは、バブルがはじけた後にも関わらず、JPOPはミリオンを出しまくってたし、ゲームも爆発的なヒットを飛ばしていた。それだけ活気があった年代なのだろうか?ただ、人間の記憶というのは、振り返ると過去を美化して考えるので、その時見えていたものが、見えなくなってしまう場合がある。それはそれで、人の記憶的で良かったりもするが…
こういったおセンチに浸っていると、「昔は良かった…」のような思考になってしまいがちだが、「今は今」と、20年後がおセンチになるように、一日一日ルーチンワークを繰り返して生きて行くしかない。また、おセンチなことは2030年代に考えますかね。
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*1:厳密に言うと、At The Gatesは、メロデスというかメロいデスメタルだし、(ただ、彼らのリフは多くのフォロワーを生んだ)Carcassの4th「Heartwork」はその後のフォロワーとは少し変わった正統派に近いヘヴィメタルサウンドでもある。(声はともかく)
*2:メロディックデスメタルの略称
*3:in flams、chimaira、Slipknot、Lamb of god…などなどのアーティストが参加した豪華なサントラ
*4:ビジュアルであると、メタルとは少し違うが、Marilyn Mansonも成功している。
*5:代表格:Dir en grey