男のロマンと様式美『次元大介の墓標』※ネタバレあり

一昨年TVシリーズとして好評だった『峰不二子という女』の続編次元大介の墓標を見てきました。ただ、続編と言っても、個別の作品として見ても充分わかるような作りとなっており、初見の方も楽しめる作品になっている。

監督はTVシリーズ作画監督を務めていた小池健。『峰不二子という女』では、ご存知「不二子」が主人公だった為、作画については、もっと荒々しく、男を惑わすようなエロティックな作画だったが、今回「次元」が物語の中心にいるので、洗礼されたハードボイルドかつキャッチーな絵に移行していたように感じられた。今回、映画として公開されたが、25分×2話で前編・後編とわけられているので、深夜アニメを見ているようなテンポで話が進む。個人的には、折角、映画館で公開するなら1本の映画にしてしまえばいいのでは?という疑念が湧いたが、面白かったので良しとする。


この作品で強く感じたことは「男のロマン」の話だったということ。まず、今回の直接的な敵、殺し屋・ヤエル奥崎の仕事ぶりは、いつも同じプラダの白いスーツを着て、殺す前にターゲットの墓標を作り、サイコロを振り、出た目の数で必ずターゲットを仕留めるという様式美で殺しをこなす。武器に関しても、スナイパーライフルに、早撃ち時には、極めて軽い銃を使い相手よりも有利な条件で戦う拘りっぷり。ヤエル奥崎は、殺しに関してかなり拘りがある人物である。対して次元に関しては、アイコンであるのハットと相棒S&W M19(.357マグナム弾を撃てる銃)という威力のあるる銃を使っているが、早撃ちに向かない装備。そんな早撃ちにそぐわない装備で、ヤエル奥崎との最初の決闘で負けてしまう。しかし、あくまでも自分の装備は変えない拘りであり、この映画はそういった殺しに拘りがある最強ガンマン同士の戦いなのだ。


次元以外にルパンや峰不二子も出るし、その他アクションについても面白い。最初の強盗シーンの (1)窓ガラスぶち破り→(2)車に落ち飛び跳ねる→(3)その反動で相手に蹴りを入れる というアクションは、宮崎アニメ的なアクションの連鎖のように感じたし、全体的に頭脳戦が繰り広げられるが、そういった気持ちのいいアクションも用意されている。


そして、ラストのヤエル奥崎VS次元の激シブ早撃ち決闘である。ネタバレになるので詳しくは避けるが、この決闘は勝ちを拘り続けた様式美よりも「男のロマン」に拘り続けた男が勝利する瞬間だった。確かに、装備的には相手がいかに有利な状況だが、自分を腕を信じ、その装備だからこそ出来る技で相手を倒す!という、なんともシブくて唸る決闘だった。


峰不二子という女』のファン以外にも、それまでのルパンやカウボーイ・ビバップなどの激シブなアニメが好きな方でもハマれるだろう作品だと思いました。第三弾とかあるんですかねー。気長に楽しみに待ってますか。

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