記憶、SF、トム・クルーズと言えば?『オール・ユー・ニード・イズ・キル』※ネタバレあり

日本のラノベ原作作品をアメリカが、しかもトムクルーズが主演ということで話題となったSFアクション映画。今週から公開なのですが、先行上映やっていたので観に行きました。

ストーリーは俗にいう「タイムリープ」もので、軍の広告屋として活躍していたトム・クルーズが、無理矢理戦場に投げ出され、あるきっかけから1日を何度も繰り返してしまう「巻き込まれ型」のタイムリープ作品。近しい作品はビルマーレイ主演の『恋はデジャ・ブ』と恋はデジャ・ブから着想を得たと言われる『七回死んだ男』だと思う。

原作は数年前に読んだので、僕の記憶違いがなければいいのですが、映画化にあたって、かなり改変された内容になっています。基本の筋書き、「タイムリープ」「ギタイと呼ばれる敵との戦争」ってのは同じですが、導入部から違うし、ラストに至っても全く違います。

あまり記憶違いなことを言ってもしょうがないので、詳細はバレは少なめにしますが、改変で良かったと思うのが、2つあって、1つ目が、1週目のときに、全てのシーンを映さなかったこと。原作では、1週目に起こることは全て語っていたと思いますが、映画版は、ループする2日間を「1日目:トムが訓練場に連れて行かれる」のあとにすぐ「2日目:戦場に行く」まで飛ばしているんですね。原作だと、最初から1日目の過ごし方まで書かれているんですが、映画では省いている。これは、単純に上映時間を短くする理由があるかもしれませんが、登場人物が「あそこは、普通に過ごしていたけど、こうしたらどういう日が過ごせるだろうか?」っていう、数回のループでは本人が重要性に気づかなかったことを、見ている側にも実感させてくれるし、単純に映像が新鮮で「飽きさせない」効果を生んでいると思う。

2つ目が、原作ではめんどくさかった、記憶の転送(過去への)を「タイムリープ」と親しみのある言葉で説明したこと。原作だと、まず、あのギタイを倒して敵を殲滅してとか、ややこしいし、「タイムリープ」というか記憶だけ過去に戻るっていう、めんどくさい設定だったんですけど、映画はシンプルでわかり易かったので、この改変は素晴らしい。

その2つの改変が個人的に、かなりハマったところ。後は単純に、出会う二人のうち一方に記憶があり、もう一方には記憶がないというその状況。勝手に親しみを感じてしまう状況の萌え度と、この手の作品の多いおセンチっぽさが殆どなかったことがよかった。記憶の引き継ぎというと、去年の『オブリビオン』だし、無骨なパワードスーツ(既視感あるけど)や、ギタイの気持ち悪い動きも良かったし、あるシーンではモロに「パシリム」を思い出すシーンがあったのもたまらなかった。

個人的には近年のSFだとトム繋がりで『オブリビオン』の方が好きですけど、原作知らなくても面白いし、無駄に長くないし、別に映画ファンじゃなくても面白いと思います。きっとオブリビオン好きなら「オブリビオーーーーン」と叫ぶだろうしオススメ。最高でした。

■参考:『七回死んだ男』と『恋はデジャ・ブ』の過去記事

ルーティンワークからの脱却『恋はデジャ・ブ』※ネタバレあり - つぶやきの延長線上
繰り返しの美学『七回死んだ男』 - つぶやきの延長線上