他人との境界線はどこか?『夜桜四重奏〜ハナノウタ〜』※ややバレあり

春〜夏と殆どアニメを追えていなかったので、冬はちょっと映画を抑えめにしてアニメを観る時間が増えている。おかげで先日楽しみにして買った『巨匠とマルガリータ』のドラマ版をまだ観れていない。(来年に残しておこうか)今年はあと幾つのアニメが見れるんだろうかと取捨選択しながら選んでいるのが楽しい。
そんな時に『凪のあすから』なんて傑作に出会ってしまったのだ。凪あすは、異族間同士の共存共栄をピーエーワークス十八番の綺麗なアニメーションで描いているが、もっと普遍的なテーマ、他人とのコミュニケーションがあり、友情・恋愛・結婚・親子の絆、生きることと、人間の本質が込められている。
「こりゃあ、今年一かもしれん」と、凪あすに唸っているうちに出会ってしまったのが、夜桜四重奏〜ハナノウタ〜』


※公式より

夜桜四重奏』は人間と妖怪が同じ大地で共存共栄し合い、その日常を様々な事件が襲う。その度に、吸血鬼、龍、猫、半妖怪、それに人間たちで協力し合い解決する。戦闘描写もそれぞれのウィークポイントをフォローしつつかっちょ良いバトルを披露してくれて面白い。それにフェティッシュなパンチラにケツ、そして胸と、そこまで萌え〜だったりブヒーのように不自然でなく、「普通このくらい動いてればパンツ見えるよな」と納得してしまうバランスに保たれており、エンターテイメント的にも成功している。
「異族間同士の共存共栄」似たようなテーマの凪あすは、海と陸と二つを分け合う境界線がしっかりしている。夜桜四重奏は少し複雑で同じ大地で普通に暮らしているが、一応妖怪には妖怪の世界もあるらしい。舞台となるのはあくまでも人間界の一つの街である。二つの世界を取り巻く状況としては、凪あすの場合、基本的に海と陸はいがみ合っており、直接的にアニメで描かれていないが、何年も同じように海と陸との衝突を繰り返しているのだろうと感じる。1話の汐鹿生の事どもたちが、地上の学校に通いだす導入部から、海と陸の関係の境界線がしっかりと線引きされており、お互いがこの問題をどうクリアしていくか?が物語のキーになってくる。
対して夜桜四重奏の導入部では、最初から上手く人間と妖怪が共存共栄し人間と妖怪がチームワークで事件を解決していくというバトルも披露し、凪あすとは違い最初から上手くいっている。ただ、そこには少し闇の部分も見え隠れしていて、1話の時点で普段よりも「悪意」を感じる事件が発生する。表面的には上手くいっているが、裏では何かが動いていて単に上手くいっている訳ではないとミステリー要素で物語を牽引する。
そして、この物語の一つのキーとなる「調律」という技の存在を知ることで、実は上手に共存共有するにもリスクがいるらしいと気づき、導入部で感じた「悪意」が徐々に物語を蝕み共存共栄の難しさをハッキリと自覚する。


※ちゃんとパンツが見えるよー。

観ていてとくに面白かったのが、「悪意」の存在が明らかになった後の人間と妖怪の戦闘シーンで、人間も妖怪と戦うために人間離れした技を披露するが、妖怪に「人間離れしている」と言われる。しかし人間側も「化け物と戦うなら化け物になるしかない!」とハッキリと作品の重要なテーマを言い放つ。人間と妖怪は姿形・能力は違うが本質は同じであるということだろうか。このシーンは震え上がるような感動があった。
凪あすのようにハッキリと目に見える形で異族間の境界線を引いている作品ではないが、同様に共存共栄がどれほど難しいか。だけれども、そこで諦めず一歩進む事が大事であると普遍的なテーマが隠れている。
リアル生活でもこの作品と同じように「人と人の考えの違い」にぶつかることが多々あると思う。夜桜四重奏はそんなテーマを妖怪と人間の共存共栄というフィルターを通して伝えてくれる。こりゃ傑作ですよ!と自身をもってお勧め出来るそんなアニメでした。

これは1期アニメかな?二期くらいあってもええなーと終わってしまうのが、しわ〜すの終わりとともに寂しく感じる。ちなみに前作は観てないのでこれから補完せな〜とたぎっております!それに、キャラみんな可愛いし、ドンパチもかっちょいいし本当オススメですよー。