お馬鹿P.O.V映画/『武器人間』※ネタバレあり

■あらすじ
ナチスドイツとソ連が激闘を繰り広げている第2次世界大戦の東部戦線。ある任務を下されたソ連偵察部隊は、ナチスドイツの占領地域へと潜入する。やがて、彼らは古びた教会で大虐殺が行われた形跡を目の当たりにする。さらに教会を調べる彼らは、その地下に迷路のように張り巡らされた通路と研究室を見つけ出す。そこでは、フランケンシュタイン博士の末裔(まつえい)が不死身の武器人間を創造しようと、死体と機械をミックスするという禁断の行為に手を染めていた。

世の中には馬鹿な奴がたくさんいるなーと、日々関心することがあるが『武器人間』もまさにお馬鹿野郎だった。まず、事前情報全く無しの状態で鑑賞したので、「ナチスドイツと旧ソ連の第二次大戦中?意外と真面目な映画ひいてしまったか?」と肩すかしをくらったんだけど、みるみるうちにお馬鹿展開になってきたので結果から言うと結構楽しめた。

作風としては『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『クローバーフィールド』『クロニクル』などでお馴染みP.O.V形式で撮られたアクションホラー作品。『クローバーフィールド』『プロジェクトX』のように今ある事を事実っぽく映し出すってよりも、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『トロール・ハンター』のように、マグガフィンを追いドラマが始まっていく構造なのでそちらの作品のほうが近しい。その為、導入部では「ソ連の偵察兵がナチスドイツ占領下に入ってナチスを殲滅する」が目的となっています。そこから次第に、残虐に殺されたドイツ人の死体を発見していくことで「何が起こっているんだ!?」とミステリー色を強めている。

そして武器人間との戦闘になってからは面白くて、特に地下のシーンだとアクションホラー系のゲームしているように感じて面白いんだけど、P.O.Vだとそれが顕著に現れていてドアップの武器人間に爆笑してしまったり、檻でバタバタしている武器人間、上半身だけで這いつくばる武器人間…とぶっちゃけ武器人間めちゃんこ弱い。村人があんなに惨殺されてたけど、少し戦術考えれば余裕で倒せるっしょってくらいの戦闘力しか無い。特に換気扇頭に付けた武器人間とか後ろがら空きでしとめられちゃうよ!
やっぱりP.O.V作品なので嘘っぽい演出があったりして、特に武器人間に襲われているのに、全然殺されないでドアップ映像撮り続けているとかどう考えてもおかしいのですが、あれもお馬鹿に振り切っていてこの映画だったら許されるだろう。(多用していたので嘘っぽいと感じる人もいるかもしれませんが)
そのお馬鹿武器人間だけではなくて、ブラックユーモア溢れるお馬鹿演出が繰り広げられる。僕が気に入ってるのは、アイアンメイデンみたいな武器人間にロシア兵の一人がザクってやられてヘルメットが頭から離れなくなってしまい、ドイツの看護婦にヘルメットを外させるんですけど、「ああ、、グシャ!ビシャッ」と血が飛び、「ゆっくりだ、ゆっくりだぞ」って仲間に言われてヘルメットを取ったら脳みそごとダラダラ〜って外れるシーン。ここで看護婦が「ご、ごめんなさい…」って謝るところで爆笑しそうになった。その後も、実は偉かったドイツ兵(撮影者)が死体の山に落とされて、もがきながら抜け出そうと「バタン!」とジタバタするシーンとか死臭ただよってて最高だったw

そして最後、ハンニバル・レクター登場で共産主義とナチの脳みそを切り取って半分を一つにまとめる外科手術を披露していてP.O.Vではあるけど、過去のホラー映画オマージュなる演出も含まれていて良かった。P.O.Vって嘘を本当のように語るので、どうしても『クロニクル』のような克服をしない限り、「どうせ嘘でしょ」って作り物感が出てしまうけど、『武器人間』は馬鹿に振り切って、嘘を嘘で覆って成功したタイプの作品だと思いました。

映画観終わった後「あの撮影酔っぱらっちゃったよ〜」って後ろに座ってた女子たちが言っていたのであまりP.O.Vに慣れていない人・苦手な人は酔ってしまうかもしれないし、なにせグロ描写が駄目だったら絶対にお勧め出来ない映画です。まあ馬鹿映画!グロ・機械人間・ハンニバルレクター!YES!って人は是非劇場で。

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