ヒツジ！キツネ！トラ！／『サプライズ』※ネタバレあり

両親の結婚35周年をみんなで祝福するため、息子のクリスピアン（AJ・ボーウェン）と恋人エリン（シャーニ・ヴィンソン）をはじめ、久しぶりに家族が顔を合わせる。だが、彼らの一家団らんの時間は、ヒツジやキツネやトラのマスクをかぶった集団が押し入ったことにより突如終わりを告げることになる。いきなりの襲撃に誰もがパニック状態に陥るが……。（yahoo映画より）

ヒツジ・キツネ・トラのお面をかぶった犯人たちが、一家団欒の時をぶち壊す。『サプライズ』は原題『YUU'RE NEXT』とタイトルで思い切っているように、犯人侵入型のスラッシャーホラームービーだ。お話としては凄くベタになっていて、『ホームアローン』や『ファニーゲーム』『スクリーム』あたりを思い浮かべる人も多いよう。特に殺され方でホラーとしての「お約束」もしっかりと用意されている。

両親の結婚35周年を祝う為に集まった家族は、両親の息子と主人公エリンのカップル、兄貴夫婦や弟と弟の彼女…（正直たくさんいて誰が誰だか忘れた）と、10人程度が会食を始めます。まあ兄貴と主人公の彼氏の仲が悪い事から発展するんですけど、最初に殺されるのは兄貴に「CMが最高の芸術だ！」なんてボロカスに言われる芸術映画監督。その次に兄貴がボウガンで肩を負傷するんですが、兄貴を一発で殺さないことで、兄貴の存在が「お笑い担当」であるとここで宣言してしまう。
次に殺されるのは女（誰だか忘れた）で、「私が一番脚が速い」と、外に出て助けを呼ぼうとしますが、扉から走り去った瞬間にピアノ線で首ちょんぱ！とにかく「お前ら笑えよ！」（特に走る瞬間スローモーションで大爆笑）って演出が次々に繰り広げられます。ちなみに、兄貴はピアノ線が張ってあるのに外に飛び出してダメージを食らうお笑いも披露し、最後は実の弟にさされまくって死ぬんですが、これが漫画『ワンピース』の「白ヒゲ死亡」をギャグに昇華してしまっている天才演出。（爆笑し過ぎてこらえるのに必死でした）最初からなかなかバレバレな伏線を張ってあって、それも面白いのですが、一家の母親が殺されるシーン*1なんて良くありがちな都市伝説をそのまま使い回ししている。

一つ一つの殺され方を観ているだけで面白いんだけど、最高なのは主人公エリンの最強っぷりを発揮するところで、小さい頃親父に「どこに行っても生活出来るように」と取得したサバイバル戦術を駆使してヒツジ・キツネ・トラのお面をかぶった犯人たちを逆に殺しまくる！特に犯人しとめた後に、これでもか！！ってくらい殴り殺すシーンは他の家族がどん引きしビビりまくってしまうほど。地下室ではカメラのフラッシュを使い巧みな戦術で犯人をしとめるし、一番爆笑したのは、電動ミキサーで犯人の頭をグチャグチャにミキサーしちゃうところ！確かに理に適っている使用方法だ！と大爆笑していました。

そして最後のあのシーンへの伏線には頭が下がるばかり（本当に頭下げないとね）で、マジ馬鹿だけどよく考えられた演出に翻弄されました。今年のホラー大賞にノミネート！次はお前だ！（YOU'RE NEXT）