ギリギリ崖の上行くように、フラフラしたっていいじゃないかよ!/『寄生体X』※ネタバレあり


寄生体Xはジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』やトビーフーパーの『スペースバンパイア』を模範しながらもフランス映画の雰囲気も絶妙に保ったギリギリのお馬鹿サンプリング・ムービーだ。

11年前、ハレーすい星が地球に一番近づいた日、両親が殺害されてしまったクリス(ファビアン・ウルフロム)は、そのことが深い心の傷となっていた。今年も11年ぶりにすい星が地球に再接近してくるが、すい星が近づくにつれ人々の行動に異変が生じ、手の付けられないほどの暴力的なミュータントとなり人間を襲い始める。クリスは地獄と化した街から脱出を図るべくサバイバルを繰り広げる。

ハレー彗星が接近して〜」というくだりはもろに「フーパーヨ・ロ・シ・ク!」なプロットだが、『寄生体X』はかなりシュールな演出が光る。最初にネタバレに走ると、「実は主人公もミュータントでした!」じゃんじゃん。的な内容になるんだけど、まず観客は主人公の身体の異様さに着目する。主人公クリスは暗闇が苦手だ。ミュータントなら暗闇よりも光が苦手そうだななんて思うけど、導入部で両親が「この間までおねしょして・・・」なんて発言があったり、父親が母親を裂いていたり暗闇がトラウマになるよな理由は随所に散らばっている。この映画は勿論SF映画の部類に入るけど、冒頭主人公がコンビニ?で、買い物をする途中、ミュータントらしきおばさんとの対峙するシーンはホラー映画演出が使われていたり、ちょっとゾクっとする演出も使われている。それに中盤以降街がミュータントに汚染され、近所の強面おじさんと一緒に行動するシーンなんかは、バイオハザード等(ゲームの方)のサバイバルアクションホラーに感じたし、強面おじさんがデカイミュータント倒すシーンとかゲーム・ムービー的に感じた。少なからず現代的な表現に感じたし、全体的に霧がかかったような映像でディストピアSFっていうと『ブレードランナー』(全然話違うけど)的な雰囲気もあったような気がする。

そう言った要素を含めると「ああありがちなB級低予算SFか」って思うかもしれないが、フランス産映画ってこともあり、どこかおフランスな映画の線もギリギリ保っているのが魅力じゃないだろうか。とくに、やたら女が発情期迎えていて、いきなり主人公に迫ったりする感じとかおフランス産映画っぽいなと感じた。まあそこでも生足を舐め回すようにジョジョにカメラが目線あげて「おっぱいどかーん!」とか馬鹿っぽくて好きでしたよ。
正直腑に落ちないし、ちょっと書き足りない部分とか粗が目立ったんだけど、世界の終わり的なクラブというか素人パーティーシーンとかも好きでしたし、常にギリギリ崖の上走っている感じが好みでした。上映館少なめだけどお勧めです。

遊星からの物体X [Blu-ray]

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バイオハザード

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