一人の男の苦悩『マン・オブ・スティール』※ネタバレあり

[あらすじ]
ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、滅びる寸前の惑星クリプトンから生まれたばかりの息子を宇宙船に乗せて地球へと送り出す。その後クラーク(ヘンリー・カヴィル)は、偶然宇宙船を発見した父(ケヴィン・コスナー)と母(ダイアン・レイン)に大事に育てられる。そして成長した彼は、クリプトン星の生き残りのゾッド将軍と対峙(たいじ)することになり……。(ネタバレあり)

[感想]
最近流行のリブートシリーズで今回は『スーパーマン』だった。僕は、『スーパーマン』の前作も観てないし、もともと思い入れもない。どちらかというと、鳥山明のアラレちゃんのスッパマンでスーパーマンを知ったくらいのゆとり一歩手前世代だ。僕の勝手な認識だと、スーパーマンってのはただ超人的な奴で、全身タイツの変態衣装で空を飛び回るハレンチな筋肉馬鹿だと思ってた。(ファンからすると大変失礼な話である)
今回、ザックスナイダーとクリストファーノーランが組んだ(ザックが『エンジェルウォーズ』でこけたから名前貸し思ったけど)と、今作はスーパーマンとしての葛藤というか一人の男の葛藤話になっていた。さすが、この二人のタッグである。リアル思考になっている。

スーパーマンであるジョー・エル兼クラーク・ケントは、生みの親が暮らしていたクリプトンと、育ての親が存在して尚かつ自分も育った地球の二つの故郷を持っている。自分が超人的な力を持ち、世界から怖がられ阻害されてしまうので育ての親に力を使うなと言われたクラークは悩み耐えなんとか抑えながら暮らしていた。しかし、宇宙船を発見しクリプトンの生き残りゾッドと対峙する。ゾッドの目的や故郷のことで悩み、地球かクリプトンかと間に挟まれスーパーマンは悩む。生みの親は共存を目指せと言ったが、正義の象徴であるスーパーマン自らゾッドを殺してしまう。これはスーパーマンの苦悩であるが、一人の男の苦悩として描かれていたなーと思う。仕事や恋愛にしろ友だち関係にしろ間に挟まれて悩んでって言うことは多いと思うし、なかなか結果を出すのは難しい。
なかなか、人の指導のもとでも上手く行かないことは多いが、人は失敗してから学ぶものだ。そう考えると、スーパーマンというよりクラーク・ケント(ジョー・エル)の成長秘話という感じだっただろうか。

ただ、原作そのものがどうなっているか知らないけど、本人のせいではないにしろスーパーマンが存在することで事件が勃発して、それを救済したからって”希望”や”正義”の象徴的にされるのはどうなんだろう。使わないけど、脅威としての核的な扱われ方でどうしてもこの話が胡散臭く感じてしまい全然ノレなかった。『パシフィック・リム』みたいにめちゃくちゃやっても好感度ばかり生まれた作品と違ってへんにリアリティを目指すから僕は駄目なんだろうな。特に無駄に意味付けした竜巻のシーンとかすげー嫌いでしたよ。

でも、褒めるところはきちんとあってやっぱりアクションが凄かった。『ドラゴンボールZ』っぽいとか、『魔法少女リリカルなのは』のドンパチっぷりを思い浮かべたし、良かったです。ただ、一番ノレたのは序盤のクリプトンで鳥みたいなやつに乗って飛んでいるところだったんだけど…
(そう言えば神と神まだ観ていない…)

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