ルーティンワークからの脱却『恋はデジャ・ブ』※ネタバレあり
先日のエントリーで話題にした『七回死んだ男』で作者がこのネタは『恋はデジャ・ブ』から引用したと書いていたので観ることに。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
ビル・マーレイ演じる人気気象予報士フィル・コナーズは、自分の人気に浮かれてしまって調子にのって正直天狗になっている。序盤のループでは、仕事をさぼったり、女の子を口説いたり、はしゃぎまくるのであるが、次第に自殺等を試みループから抜け出そうと試みる。何回もループを重ねるごとに、そんな試みもあきあきしてしまって、普通に田舎町の人々の役に立とうとしたり、ピアノを必死に練習し一流のピアニストにまで成長する。ここで面白いのが、一回のループでは到底街の人全てに気に入られるなんて不可能なはずだが、最後には街の人気者のように扱われていることだろう。それが、”デジャ・ブ”効果なのかもしれないし、本人が時間通りに一日を過ごせば仲良くなるのかもしれない。情報が多いようで実は多くを語らない映画だったということもあり、この曖昧さに好感がもてる。
ただ、SF的要素は本当に弱い。結局最後まで、なぜ何回もリープしてしまったのか全く回答がないままハッピーエンドを迎えてしまう。
『7回死んだ男』が上手かったのは、この作品の軸となる”なぜかリープしてしまう”に、無理矢理と理由をつけそのエピソードを本の冒頭で済ませてしまったことだ。別にあの理由が特別上手いとは思わないが、冒頭で全て説明してしまったのが上手いと感じたし、”なぜリープするの?”というノイズに頭を支配すること無く、ややのミステリー性と家族間コメディ要素で最後まで一気に読めたことだろう。
そんな影響下にある作品よりは、ふわふわしていてゆったりと観れる作品だと思うし夜中に鑑賞するのに向いている映画だと思う。
また、巻き込まれ型タイムトラベル作品であるが、普段の自分たちの生活に置き換えられる作品とも感じた。特に、何故かわからないけどリープしてしまうっていうのは、普段、朝起きて満員電車に乗り仕事をこなして帰宅し、就寝…そしてまた朝起きて……という生活を繰り返していると、ふと、”何故こんな生活をしているのだろう”と誰しも考えてしまうことだと思う。そこでその生活が嫌であれば、何か行動を起こせばいいし、行動を起こせない人もいる。僕自身との人生とも重なり合ってしまい、なかなか考え深い作品になったし、ルーティンワークから抜け出させようとするちょっとした自己啓発な気もした。
理詰めばかりのタイムトラベルに疲れた人が観れば、きっと何らかしら思うことがあるんじゃないだろうか。いい映画でした。
- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/10/07
- メディア: 文庫
- 購入: 22人 クリック: 145回
- この商品を含むブログ (160件) を見る